豪雨時の避難 知っておきたい心得と備え〈動画約5分〉

近年、地球温暖化の影響もあり、ゲリラ豪雨や台風などにより日本全国で水害が多発しています。この動画では、防災の専門家サニー・カミヤさんへの取材記事を元に、保育者として知っておきたい豪雨や水害への備えについてお伝えします。自園の状況に照らし、取り入れて大雨シーズンに備えましょう。

この動画は『新 幼児と保育』2019年8/9月号に掲載された下記記事を元に制作しました。

知っておきたい保育園の水害への備え【豪雨が起こした「まさか」の災害 #3】
https://hoiku.sho.jp/178994/


大雨で道路が冠水し始めたら、子どもが歩いて避難するのはまず無理です。子どもにとっての水深10センチは大人にとっての水深30センチと同じで、流れもあるため歩行は困難です。わずかな高低差で水の深いところもあり、園の前が10センチ以下でもその先はわかりません。

また、冠水には雨水だけではなく、がれきやあふれた汚水も混ざっています。けがや感染症の危険もあるので、冠水する前に避難することが大切です。

特別警報クラスの豪雨の場合、複数の河川や危険箇所の情報が集中し、市区町村役所は対応に追われて混乱します。園の地域の状況は、現場にいる者にしか判断できません。あとで「避難する必要はなかった」という結論になっても、気象状況を先読みして早めに避難するのはまちがっていません。園児第一、安全第一でくだした判断なら、結果が空振りでもよいのです。

園児とともに大雨の中を避難することになったら、次の点に注意してください。

  • 長靴ではなく、上履きで

長靴は水が入ると重くなるので、上履きやスニーカーのほうがよいです。

  • 傘ではなく、雨がっぱで

個人用がない場合は、45リットルのポリ袋2枚でフードつきのポンチョができます。「ゴミ袋 ポンチョ」などでネット検索すると作り方が多数見つかります。

  • つえなどで足元を確認しながら進む

ふたが浮いたマンホール、ふたのない側溝に落ちないよう、保育者は常に足元を確認しましょう。

  • 避難後は水道水でよく洗う

避難場所に着いたら、水にぬれた足や手を水道水で十分洗い流しておきましょう。

ふだんから、避難ルートや園のまわりを「水があったら」という目線でチェックし、「アクションシート」の形にして園内で共有しておきましょう。地域の過去の災害履歴や公開されているハザードマップなども調べ、浸水や土砂くずれのリスクを知っておくことが大切です。

アクションシートの項目に沿って、「もしも大雨が降り続けたら」という想定でリスクと対応を考えてみましょう。

まずは想定される5つの危険について、どんなとき、どんなことが起きるかを書き出します。 

例えば、

・風雨が強いときは傘はささない

・いつものお散歩コースは下り坂だから水が強く流れる

・下った先に水がたまる

・ふたのない側溝があるから落ちるかも

・中学校の手前が少しがけになっているからくずれるかも?

といったことです。

その中からもっともリスクが高いと思うものを「どれが一番危険か?」の項目に書き出します。

次に、そのような危険なことに出会ったらどうするか、また出会わないためにはどうするか、具体的なアクションを書きます。

例えば、

・お散歩コースは避難ルートに使わない

・気象情報をこまめにチェックする

・ここのハザードマップを確認する

・園用の雨がっぱを家庭から持ってきてもらう?

・避難を決めるタイミングについて話し合っておく

などです。

最後に、アクションゴールの項目に、最優先で実行することを決めて書きます。

例えば、

・坂の少ない避難ルートを探してみる

などです。

水害のほか、地震や火事、不審者などさまざまなケースでこのようなアクションシートを作っておくとよいでしょう。

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