【セミナー映像】乳幼児の心の基盤づくり~発達とアタッチメント入門~《第1講》(遠藤利彦先生)〈約90分〉

東京大学大学院教授で同学の発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を務めている遠藤利彦先生による全6回のオンライン講座です。乳幼児の心の発達と「アタッチメント」の重要性について、最新の研究事例や知見を踏まえつつ、基礎からじっくり解説していただきます。

第1講のテーマは「他者との関係の中で育つ子ども」です。本講演では、人間の子供のもろさと有能さ、そして子育ての本来のあり方について、最新の心理学の知見を交えて紹介されます。

遠藤先生は「母子関係中心主義」が根強く残る日本の子育ての現状と、父親の役割や集団での共同子育ての重要性について指摘。生まれたときから驚くほどの力を持つ赤ちゃんの姿や、子供と周囲の大人とのやり取りが発達に与える影響の大きさについて、具体的な研究結果を交えて解説します。

特に、子供の心を育む「アタッチメント」と呼ばれる愛着関係がいかに重要か、家庭や園での多様な関係性の中で子供を育てることの意義について、遠藤先生のお話は説得力に富んでいます。

発達心理学の第一人者である遠藤先生だからこそ語れる、子育てに関する示唆に富んだ講演。乳幼児の心の成長について理解を深めたい方、保育や子育ての改善について考えたい方は必見です。

ぜひ本講演ビデオをご覧いただき、遠藤先生の深い洞察から学びを得てください。子供の可能性を開くカギが、ここにあります。

※2024年3月19日(月)に行った「せんせいゼミナール」オンラインセミナーの記録映像です。

講師:遠藤利彦(えんどう・としひこ)
東京大学大学院教育学研究科教授。東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を兼務。専門は発達心理学、感情心理学。おもな著書に『赤ちゃんの発達とアタッチメント』(ひとなる書房)、『「情の理」論』(東京大学出版会)、『入門アタッチメント理論』(編・日本評論社)などがある。

お話のトピック

【人間の子育ての特徴と本来の形】

  • 人間の子供は他の動物と比べてもろく弱い存在であり、手がかかる。そのため人間の子育ては、本来は親だけでなく親以外の大人や子供も含めた集団で共同して行われるべきもの。
  • しかし現代の日本では、「母子関係中心主義」が根強く残り、父親の育児参加も十分とは言えない状況にある。

【赤ちゃんの力と有能性】

  • かつては無力な存在と考えられていた赤ちゃんだが、実は生まれた時点から相当な力を持っている。
  • 赤ちゃんは自ら情報を探索し、周りの人を自分とのやり取りに巻き込む力を備えている。
  • 一人一人の赤ちゃんに個性があり、自分に合った環境を選んで作っていく存在でもある。

【子供の発達に重要な「やり取り」】

  • 子供の言葉の発達などにおいて、大人との豊かなやり取りや相互作用が重要。
  • 子供は、自分と積極的にやり取りしてくれる大人を「教えて」と判断し、その人から効率的に学ぼうとする。
  • やり取りが豊かであるほど、子供の可能性は拡張する。

【子供の心を育む関係性とアタッチメント】

  • 子供は関係性の中で育ち、やり取りを通して心の力を身につけていく。
  • 特に「アタッチメント」と呼ばれる、特定の大人への愛着や信頼関係の形成が重要。
  • 親以外の大人や異年齢の子供など、多様な関係性の中での経験が子供の心の成長を促す。

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