【セミナー映像】乳幼児の心の基盤づくり~発達とアタッチメント入門~《第2講》(遠藤利彦先生)〈約90分〉

東京大学大学院教授で同学の発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を務めている遠藤利彦先生による全6回のオンライン講座です。乳幼児の心の発達と「アタッチメント」の重要性について、最新の研究事例や知見を踏まえつつ、基礎からじっくり解説していただきます。

第2講のテーマは「アタッチメント:生涯にわたる幸せの揺りかご」です。人生の幸せは、乳幼児期に育まれる「非認知能力」が鍵を握っている。そう、世界的な研究が示唆しています。今回の講座では、その驚くべき事実が明らかになります。

愛情剥奪が子どもの心身に与える影響、3歳からの幼稚園教育が40年後の人生を左右するデータ。認知能力よりも非認知能力が幸福につながるという発見。そして私たちが無意識に経験している「アタッチメント」こそ、自己と社会性という非認知能力の礎。それが、生涯の健康とウェルビーイングを支えているのです。

AIには決してまねできない人間らしさの源泉。予測不可能な時代だからこそ、私たちは非認知能力を育むことが求められています。

保育者だけでなく、子育てに関わるすべての人に目からウロコの示唆を与えてくれる90分。乳幼児期の重要性を再認識できる必聴の講座です。

※2024年4月22日(月)に行った「せんせいゼミナール」オンラインセミナーの記録映像です。

講師:遠藤利彦(えんどう・としひこ)
東京大学大学院教育学研究科教授。東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を兼務。専門は発達心理学、感情心理学。おもな著書に『赤ちゃんの発達とアタッチメント』(ひとなる書房)、『「情の理」論』(東京大学出版会)、『入門アタッチメント理論』(編・日本評論社)などがある。

お話のトピック

長期縦断研究が示すアタッチメントの影響

  • 日本と世界における主な縦断研究の紹介
  • ルーマニアの施設児童の研究(BEIP):愛情剥奪が子どもの心身発達に及ぼす影響
  • 剥奪研究から示唆されるもの:乳幼児期のアタッチメント剥奪が心身全般に長期的ダメージを与える

乳幼児期の教育投資効果(ヘックマンの研究)

  • 乳幼児期への投資が生涯発達に及ぼす影響:就学前教育の質が重要
  • 「非認知能力」の重要性:自己と社会性の発達を促す保育の役割

ペリー就学前計画の介入研究

  • 3歳から2年間の幼稚園教育が40歳、50歳時点の人生に与えた影響
  • 認知能力(IQ)よりも非認知能力が長期的な幸福につながる
  • 家庭で十分なアタッチメントを経験できない子どもたちが、幼稚園の先生との関係で非認知能力を育む

非認知能力の重要性

  • 自己制御(マシュマロテスト)が学業成績や社会的成功を予測
  • OECDによる社会情動的スキルの重視
  • AIが実現できない人間の力としての非認知能力

未来の教育に求められるもの

  • 予測不可能な時代を生き抜くための「エージェンシー」と「共同主体性」
  • アタッチメントが非認知能力の基盤となり、生涯にわたる幸せと健康を支える

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