【セミナー映像】もっと知りたい0・1・2歳児の保育《第6講》友だち(工藤佳代子先生)〈約90分〉
東京家政大学ナースリールーム施設長の工藤佳代子先生による全9回のオンライン講座です。0〜3歳までの子どもたちが過ごすナースリーの微笑ましくも意味深い場面を写真とエピソードで紹介いただきながら、乳幼児の心身の育ちや行動に着目し、その受けとめ方や向き合い方を考えます。
第6講のキーワードは「友だち」です。子ども同士の関わりの中で育まれるかけがえのない経験について、深く掘り下げています。
保育の現場で欠かせない子ども同士の関わり。そこには楽しいことだけでなく、思い通りにならないことやぶつかり合うこともあります。しかし、そのような経験こそが、子どもが自分を表現し、相手の思いに気付き、人との距離感を学ぶ機会になるのです。
工藤先生は、友達との関わりの中で、子どもが自分とは違う個性から刺激を受け、様々な感情を経験することの大切さを説きます。また、トラブルを子どもの問題ととらえるのではなく、子どもの思いに寄り添い、言葉にならない気持ちを汲み取ることの重要性を訴えます。
保育の現場だからこそできる、子どもの関係性を積み重ねる営みを通して、一人ひとりの個性を育て、豊かな感情体験を積み重ねていく。それが子どもの健やかな成長につながると工藤先生は述べています。
保育者の役割は、目の前の子どもへの対応だけでなく、その先の成長をも見据えた関わりにあるのだと気付かされる講演です。子ども理解と保育者の在り方について、深く考えさせられる内容となっています。ぜひご視聴ください。
※2022年11月14日に行った「せんせいゼミナール」オンラインセミナーの記録映像です。
お話のトピック
はじめに
- 子ども同士の関わりは、保育の現場で欠かせないもの
- 楽しいことだけでなく、思い通りにならないことやぶつかり合うこともある
- そのような経験の中で、子どもは自分を表現し、相手の思いに気付き、人との距離感を学ぶ
子どもにとっての友達の存在
- 年齢の近い仲間や少し年上の子どもから受ける刺激が、子どもを育てる
- 友達と関わることで、様々な感情を経験する
- 大人が与えられないような刺激や感情を、友達との関わりから得られる
思いがぶつかるとき
- 自分の思いを表現し、相手の思いを知る機会になる
- 思い通りにならないことと向き合う経験が積み重なる
- 自分では気付かなかったことに気づき、思考の幅が広がる
トラブルへの対応
- トラブルは子どもの問題ではなく、環境や生活リズム、体調などから考える
- 子どもがなぜそうするのかを考え、言葉にならない思いを代弁する
- 噛みつきや引っかきは、言葉で表現できない子どもの思いの表れ
保育の現場だからできること
- 年齢の近い仲間や少し年上の子どもとの関係性が積み重ねられる
- 専門性を持った保育者が、子どもの立場に立って対応できる
- エピソードを通して保護者に発信し、子ども理解につなげられる
まとめ
- 友達との関わりの中で、子どもは自分とは違う個性から刺激を受け、様々な感情を経験する
- 思いがぶつかる時は、子どもが育つ瞬間ととらえ、解決を急がずに向き合う
- 保育者の役割は、目の前の子どもを何とかするだけでなく、その後の成長にまで影響を与えること
講師:工藤佳代子(くどう・かよこ)
東京家政大学ナースリールーム施設長。東京家政大学を卒業後、保育士として同大学ナースリールームに勤務する。9年間の勤務の後、ナースリールームを離れるが平成19年に復職、平成31年からは施設長を務める。
※東京家政大学ナースリールームとは・・・東京家政大学板橋キャンパス(東京都板橋区)内にある事業所内保育所の機能を備えた認可保育所。木々に囲まれたキャンパスの中、0〜3歳の子どもたちが過ごしています。