【セミナー映像】乳幼児の心の基盤づくり~発達とアタッチメント入門~《第3講》(遠藤利彦先生)〈約90分〉
東京大学大学院教授で同学の発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を務めている遠藤利彦先生による全6回のオンライン講座です。乳幼児の心の発達と「アタッチメント」の重要性について、最新の研究事例や知見を踏まえつつ、基礎からじっくり解説していただきます。
本講演では、アタッチメントを理解する際にとても重要な「安心感の輪」というコンセプトについてくわしく紹介されます。保育者は、子どもにとって「安全な避難所」と「安心の基地」という2つの役割を果たします。子どもが探索活動に夢中になっているときは安心の基地となり、怖がったり不安になったりしたときは安全な避難所となるのです。この2つの役割をバランス良く果たすことで、子どもは安定して成長していくことができます。
また、子どもの成長とは、「安心感の輪」が少しずつ広がっていくことだと言えます。子どもは一時的にくっつく対象から離れて一人でいられる時間が長くなっていきますが、だからと言って「避難所」や「基地」が不要になるわけではありません。むしろ、そこがいつでも変わらずにあるということが、子どもにとって何より大切なのです。
遠藤先生の講演は、アタッチメントと安心感の輪が、乳幼児の心身の健やかな発達を支える上で欠かせないものであることを示しています。保育者は、子どもに積極的に関わることも大切ですが、それ以上に「避難所」と「基地」であり続けることが重要だというメッセージが込められています。
この講演を通して、保育者としてのあるべき姿について、深く考えさせられるはずです。子どもの目線に立ち、その心の動きを理解しようと努めることの大切さを実感できるでしょう。 また、アタッチメント理論に基づいた具体的な関わり方のヒントも得られるはずです。遠藤先生の優しく温かみのある語り口は、聴く者の心に染み入ります。保育の質を高めるための新たな気づきと学びが得られることでしょう。
※2024年5月20日(月)に行った「せんせいゼミナール」オンラインセミナーの記録映像です。
講師:遠藤利彦(えんどう・としひこ)
東京大学大学院教育学研究科教授。東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を兼務。専門は発達心理学、感情心理学。おもな著書に『赤ちゃんの発達とアタッチメント』(ひとなる書房)、『「情の理」論』(東京大学出版会)、『入門アタッチメント理論』(編・日本評論社)などがある。
お話のトピック
第1章 乳幼児期の教育における「養護」と「教育」の一体性
- 乳幼児期の教育で最も大切なのは、「養護」と「教育」を一体的に展開すること
- 質の高い養護を通して、人間の生涯にわたる心と体の健康や幸せの基盤を築く
- その基盤となるのが、自己と社会性という非認知的な心の力
第2章 アタッチメント理論とその重要性
- アタッチメントとは、子どもが怖がったり不安になったりしたときに、特定の大人に近づいて安心感を得ること
- 子どもは感情の当事者として、周囲から適切なケアを受ける中で、自己と社会性の力を身につける
- アタッチメント理論の提唱者であるジョン・ボウルビーは、くっつきたいからくっつくという欲求の重要性を主張
第3章 「安心感の輪」というコンセプト
- アタッチメントにおいて重要なのが、「安心感の輪」というコンセプト
- 保育者は、子どもにとって「安全な避難所」と「安心の基地」という2つの役割を果たす
- 子どもが探索活動に夢中になっているときは安心の基地となり、怖がったり不安になったりしたときは安全な避難所となる
第4章 子どもの成長と「安心感の輪」の広がり
- 子どもの成長とは、「安心感の輪」が少しずつ広がっていくこと
- 子どもは一時的にくっつく対象から離れて一人でいられる時間が長くなっていく
- ただし、「避難所」や「基地」が不要になるわけではなく、むしろいつでも変わらずにあるということが大切
第5章 保育者の役割とまとめ
- アタッチメントと安心感の輪は、乳幼児の心身の健やかな発達を支える上で欠かせないもの
- 保育者は、子どもに積極的に関わることも大切だが、それ以上に「避難所」と「基地」であり続けることが重要
団体視聴
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