【セミナー映像】乳幼児の心の基盤づくり~発達とアタッチメント入門~《第5講》(遠藤利彦先生)〈約90分〉

東京大学大学院教授で同学の発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を務めている遠藤利彦先生による全6回のオンライン講座です。乳幼児の心の発達と「アタッチメント」の重要性について、最新の研究事例や知見を踏まえつつ、基礎からじっくり解説していただきます。

乳幼児期のアタッチメント(愛着)は、子どもの健全な発達と将来の人間関係構築に欠かせない要素です。第5回目となる本講演では「アタッチメントの個人差と養育環境」をテーマに、形成されるアタッチメントと養育環境との関係性について詳しく解説します。

ストレンジシチュエーション法を用いた実験結果から、アタッチメントの4つのタイプ(安定型、回避型、アンビバレント型、無秩序無方向型)とその特徴を学びます。さらに、「安心感の輪」の概念を通じて、各タイプの子どもたちが示す行動パターンを理解し、その背景にある養育環境との関連性を探ります。

幼少期のアタッチメント経験が、将来の人間関係や健康状態にまで影響を及ぼすことを示す興味深い研究結果も紹介されます。また「アタッチメント障害」についての基本的な類型知識も得られます。

保育の現場で様々なアタッチメントタイプの子どもたちと接する保育者の皆様にとって、この講演は子どもの行動をより深く理解し、適切な支援を行うための貴重な指針となるでしょう。子どもたちの健やかな成長を支える保育実践に、ぜひこの知見をお役立てください。

※2024年7月22日(月)に行った「せんせいゼミナール」オンラインセミナーの記録映像です。

講師:遠藤利彦(えんどう・としひこ)
東京大学大学院教育学研究科教授。東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を兼務。専門は発達心理学、感情心理学。おもな著書に『赤ちゃんの発達とアタッチメント』(ひとなる書房)、『「情の理」論』(東京大学出版会)、『入門アタッチメント理論』(編・日本評論社)などがある。

お話のトピック

アタッチメントの個人差について

  • 遺伝と環境の影響
  • 気質との関連性
  • 行動遺伝学からの知見
  • 文化差の存在

ストレンジシチュエーション法による実験の概要

  • 実験の目的と設定
  • 分離場面と再会場面の重要性
  • 子どもの反応の観察ポイント
  • 実験の限界と批判点

アタッチメントの4つのタイプ

  • 安定型の特徴と養育環境
  • 回避型の行動パターンと背景
  • アンビバレント型の特徴と形成要因
  • 無秩序無方向型の発見と重要性

安心感の輪とアタッチメントタイプの関係

  • 安心感の輪の概念説明
  • 各タイプにおける輪の回り方の違い
  • 養育者の役割(避難所と基地)
  • 輪の回り方改善の可能性

幼少期のアタッチメント経験が及ぼす影響

  • 期待違反法を用いた実験結果
  • 体や脳の発達への影響
  • 将来の人間関係構築への影響
  • 健康状態との関連性

アタッチメント障害について

  • 反応性アタッチメント障害の特徴
  • 脱抑制型対人交流障害の特徴
  • 障害の発生要因と環境条件
  • 一般的なアタッチメント不安定との違い

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