【セミナー映像】保育者のための最新赤ちゃん学入門《第5講》(遠藤利彦先生)〈約90分〉
東京大学大学院教授で同学の発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を務めている遠藤利彦先生による全6回のオンライン講座です。最新の研究からわかってきた「赤ちゃん」の心と成長の実態について、研究事例や知見を踏まえつつ解説いただきます。
この連続講座は、全6回の講義をとおして最新の赤ちゃん学の知見を保育者に分かりやすく伝える内容となっています。
第1回では、胎児期からの環境が生涯の健康に影響を与えることを学びます。第2回では、人間の赤ちゃんが未熟な状態で生まれ、長期にわたる養育が必要なことから、集団共同型育児の重要性を説きます。第3回と第4回では、赤ちゃんの意外な能力や個性、物理的世界の理解力について探ります。第5回は、赤ちゃんの人間に対する強い興味と、人との相互作用を通じた発達を扱います。最終回の第6回では、豊かな相互作用が子供の心の成長に欠かせないことを強調し、保育者の役割の重要性を再確認します。
最新の研究成果に基づき、赤ちゃんの驚くべき能力と、それを引き出す環境づくりについて学べるアカデミックな講座です。

「赤ちゃんは『ヒトの世界』をどう理解する?」と題した第5回の講義では、乳児期における社会性の発達、特に人との関わりや心の理解について、最新の研究知見をもとに解説します。赤ちゃんは生まれた直後から、人の顔や声に強い関心を示し、人との相互作用を求める存在であることが、様々な実験研究により明らかになってきました。
講義では、まず赤ちゃんの「人好き」な性質について、視覚・聴覚・触覚などの感覚モダリティごとの研究成果を紹介します。例えば、赤ちゃんは胎児期から母親の声を学習しており、生後すぐに母親の声を識別できること、人らしい動きのパターンを好んで注視することなどが分かっています。また、新生児模倣や共鳴動作など、人と同調しようとする赤ちゃんの傾向についても説明がなされます。
特に注目すべきは、赤ちゃんの「心の理解」に関する最新の研究です。従来、人の心の理解(心の理論)は4歳頃に獲得されると考えられていましたが、21世紀に入って開発された新しい実験手法により、生後15ヶ月という早期から、他者の信念や意図を理解している可能性が示唆されています。また、赤ちゃんは生得的に「善き心」を持って生まれてくることも、様々な研究から明らかになってきました。
保育実践において重要なのは、こうした赤ちゃんの社会的性質を理解し、適切な関わりを持つことです。講義の最後では、幼児式(ベビースキーマ)の概念も紹介され、赤ちゃんと養育者の関係性が自然に深まっていくメカニズムについても解説されています。
※2025年1月21日(月)に行った「せんせいゼミナール」オンラインセミナーの記録映像です。
講師:遠藤利彦(えんどう・としひこ)
東京大学大学院教育学研究科教授。東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)センター長を兼務。専門は発達心理学、感情心理学。おもな著書に『赤ちゃんの発達とアタッチメント』(ひとなる書房)、『「情の理」論』(東京大学出版会)、『入門アタッチメント理論』(編・日本評論社)などがある。
第5講のトピック
赤ちゃんの社会的志向性
- 人の顔への選好
- 人の声への関心
- 母親の声の早期学習
- 人らしい動きへの反応
人との同調と共鳴
- 新生児模倣
- 共鳴動作
- 相互同期性
- 感情伝染
心の理解の発達
- 心の理論研究の展開
- チンパンジーでの実験
- 誤信念課題と理解の発達
- 早期の心の理解
赤ちゃんの道徳性
- 私とあなたの心の区別
- 公平性への感受性
- 善意と悪意の理解
- 思いやりの発達
- 社会的情報処理の個人差
人を引き込む赤ちゃんの力
- 幼児図式(ベビースキーマ)
- 赤ちゃんの感応性
- 大人の過剰解釈傾向
- 相互作用の自然な成立
団体視聴
園単位でのお申し込み(請求書対応)も承ります。園・施設単位で複数人での視聴をご希望の場合は下記「団体視聴申込フォーム」よりお申し込みください。
【団体視聴料】 各回7,500円(税込)/1園
全6回セット申込み 40,000円(税込)/1園
※お支払い方法は請求書払いとなります(国内園のみ)
※グループ園の場合は1施設を1園として承ります。
※お申込み後に30日間有効の専用リンクを発行して送らせていただきます。園・施設でご視聴されるタイミングに合わせてお申し込みください(視聴期間は応相談)。

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