園の安全対策は掃除&整理整頓から!

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新型コロナウイルスの流行により、園の環境を清潔に保つことがこれまで以上に意識されるようになりました。ジャーナリストで、保育園・幼稚園の副園長も務めていた猪熊弘子先生に、園を清潔な場所に保つために勤務園で話し合ったこと、見直したことを語っていただきました。

お話

猪熊弘子先生

猪熊弘子先生
駒沢女子短期大学教授、ジャーナリスト。元・明福寺ルンビニー学園幼稚園・ルンビニー保育園副園長、Yahoo!ニュース個人オーサー。『死を招いた保育』(ひとなる書房)で日本保育学会日私幼賞・保育学文献賞受賞。近著に『重大事故を防ぐ園づくり』(ひとなる書房/共著)などがある。

保育室を先生の私物で飾るのをやめた

勤務していた幼稚園は各保育室にピアノがあるのですが、ピアノ周辺が先生の私物(お気に入りのアイドルの写真など)で飾られ、先生の「お城」のようになっていた部屋がありました。新型コロナウイルスの流行をきっかけに、保育室に私物を置くのはやめましょう、ということになりました。

理由はふたつあります。

ひとつは保育室を清潔に保つためです。掃除のときに手間がかかってしまったり、いったん片づけるのが面倒になって掃除が行き届かない場所になってしまったりするおそれがあるからです。

もうひとつの理由は、部屋の見通しをよくするためです。何かものが置かれるということは、子どもを見守る目が行き届かない場所ができてしまうということです。

保育室は子どもが主体となって暮らす部屋。保育者が心地よく過ごすことを優先してはいけない、ということは肝に銘じたいものです。

私たちの園では、保育室に飾っていいものは子どもによる造形物や絵だけと決めています。コロナ禍以前から保育者による壁面装飾も、子どものお誕生日表もありません。

廃材コーナーのストックを見直した

造形活動に使う廃材のコーナーは、デザートのカップなど、人の唾液がついたかもしれない食品の容器は収集をやめました。感染症予防の観点からです。

また、自然素材のものは入手したら、すぐに使うようにしました。木片をストックしていた箱が、ゴキブリの巣窟(!)になっているのを発見したことがあるからです。

ゴキブリの巣窟

倉庫の保管期限を最長1年とした

「運動会の入場門が何年分も倉庫に置いてあるけれど、いつ捨てていいかわからない……」。これ、思い当たる園があるのではないでしょうか。私たちの園はそうでした。

ほこりをかぶったままのものを放置しているのは不潔です。私たちの園は、次年度以降も使うもの、具体的にはラミネート加工した案内表示のボードだけを残して運動会のグッズは処分しました。基本的に1年使わなかったものは、捨てることを倉庫の保管ルールにしています。

雑然とものが積まれた倉庫は、万が一、子どもが入り込んでしまったときに発見が遅れてしまう危険性もあります。

週単位で「おそうじチェックシート」提出

週に1回、「おそうじチェックシート」を提出することにしており、保育室内のどの場所も1週間に最低1回は掃除をするようにしました。

12月の最後の勤務日と3月の最後の勤務日には、職員総出の大掃除をします。それ以外にも月単位や週単位、日単位で行う清掃作業があります。園の実情に合わせて掃除の内容と頻度を決めましょう。

園の係活動に「清掃係」を追加しよう

園行事にそれぞれ「係」があるように、園の「清掃係」を発足させてみてはいかがでしょう。倉庫の保管期限を決めてほかの保育者に守るよう働きかけたり、日単位、週単位、月単位の清掃内容が実情に合っているかどうかを見直したりするなど、掃除や整理整頓の環境をウオッチする係です。

子どもたちが安全に過ごせる環境をつくる第一歩として、私たちの園の取り組みを参考にしながら、掃除や整理整頓について園で話し合ってみましょう。ものが多くなるほど片づけが大変になるので、なるべく早く取り組んだほうがいいですよ!

文/佐藤 暢子 イラスト/上島 愛子

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