エピソードに臨場感が増す4つの小ワザ【豊玉保育園のクラスだより#3】

特集
クラスだより・園だよりの書き方&実例集

練馬区立豊玉保育園の保育者のみなさんに、おたよりの書き方を聞くシリーズの3回目です。前回【豊玉保育園のクラスだより#2】では『寄り添う気持ち』が伝わりやすくなる5つのテクニックを紹介しました。今回は豊玉保育園の保育者のみなさんが、エピソードを書くときなどに意識しているちょっとした工夫を教えてもらいました。エピソードにぐっと臨場感が増します。

エピソードに臨場感が増す小ワザ
1.オノマトペ(擬音語・擬態語)で五感を表現する
2.あえて季節のあいさつを書かずに本題に入る
3.あえてまとめの言葉を書かずに文章を終わらせる
4.1文にたくさんの様子を詰め込まない


協力/練馬区立豊玉保育園(東京・練馬区)
1961年開園、2021年より社会福祉法人高洲福祉会が運営委託。家庭から離れて生活する保育園の場で、子どもたちが不安なく過ごし、主体的に活動できるように真心のこもった丁寧な保育を行うことを大切にしている。0~5歳児、定員130名。

2023年4月、2歳児クラスのクラスだより。
2023年4月、2歳児クラスのクラスだより。
※個人情報に配慮して加工している部分があります。

1.オノマトペ(擬音語・擬態語)で五感を表現する

「わいわい」「どきどき」「ふわふわ」「くんくん」「ぽかぽか」「にっこり」……。オノマトペには子どもらしさを表現するのにしっくりくる言葉がたくさんあります。五感に訴える効果もあります。ただあまりに多用すると、読む人に子どもっぽい印象を与えてしまうこともあるので注意!

文例
「そうなんです。子どもたちがグンっと成長したのです」

「小さな隙間から見えるさなぎが、ピクッと動くたびに『あ! 動いた!』と成虫になる日を楽しみにしていました」

(2023年7月3歳児クラスのおたより)

2.あえて季節のあいさつを書かずに本題に入る

たとえば4月だったら、おたよりは「いよいよ新学期が始まりました。進級児〇人、新入園児〇人~を迎え……」などと始めるのが普通だと思いますが、あえて最初の文から本題に入って、読む人を一気に内容に引き込むのも効果的です。

豊玉保育園の『とよほっと新聞』の場合は、1面の園だよりのページで必ず季節のあいさつを書いていることもあり、そのあとに続く各ページのクラスだよりには、季節のあいさつを入れないこともよくあります。

文例(おたよりの最初の文)
「友達がしているあそびが気になったり、一緒に遊びたい姿がますます増えてきました」

(2023年6月1歳児クラスのおたより)

文例(おたよりの最初の文)
「戸外で体をたくさん動かして部屋に戻るときに『お腹すいたね~』という声が聞こえたり、配膳をしていると部屋に漂っているいいにおいに気づき、『なんのにおいかな?』『今日のご飯はなに?』と昼食のメニューを尋ね、食事を心待ちにする姿が見られます」

(2023年6月2歳児クラスのおたより)

3.あえてまとめの言葉を書かずに文章を終わらせる

「……かわいかったです」
「……家庭でも、ぜひやってみてください」
などのよくある締めの言葉を最後に入れると、文章がきれいにまとまった感じは出るかもしれません。しかし無理に締めの言葉で結ばずに、読む人が考える余地を残すのもときにはいいと思います。

文例
「また、心ひかれる魅力的な出来事に出合うと、すぐにそれをまねしてみたくなるのもこの時期です。心ひかれる魅力的なモノやコトがあれば2歳児はすぐにその気になって、その活動にのめり込みます」

(2022年7月2歳児クラスのおたより)

文例
「大盛況だったくじらまつり。お客さんの小さな子たちに優しくしたり、はりきっておみこしを担いだりと、最後までやり遂げた一人ひとりの表情がとても輝いていました。『もう力が残っていない…』とつぶやいた子どものひと言には、充実感があふれていましたよ」

(2023年10月5歳児クラスのおたより)

4.1文にたくさんの様子を詰め込まない

1文が長い文章より、短い文でたたみかける文章のほうが読む人は理解しやすいと思います。「Aちゃんは~していて、~と思いましたが、Bちゃんは~していて……」のような構成の長い文より、「Aちゃんは~していました」「~と思いました」「一方、Bちゃんは……」などのように、文を短く区切ったほうが読みやすくなることが多いです。

文例
「くじら組に電車ができました。積み木が何度も崩れてもそのたびに積み直してできた電車です。運転席にはしっかり計器も設置。板状ブロックでカードやスマホを作って『ピッ』とタッチして乗車です。駅員さんがドアの開け閉めをしてくれます」

「虫や花、生き物が大好きなくじら組の子どもたち。今、くじら組で暮らしている生き物たちは、メダカ、ザリガニ、ダンゴムシ、カブトムシの幼虫です。お当番が餌などお世話をしています。自分で見つけた幼虫の世話をしている子もいます」

(2022年6月5歳児クラスのおたより)


構成/佐藤暢子

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