新井洋行さん「毎日ワクワクしていた子どものころ」【表紙絵本館】

連載
表紙をかざった絵本作家が語る幼年時代 表紙絵本館 
関連タグ

『新 幼児と保育』は、毎号絵本作家さんの描きおろしの絵が表紙となっています。表紙を飾った絵本作家さんの幼年期のエッセイを紹介していきます。今回は、新井洋行さんです。

「毎日ワクワクしていた子どものころ」

2歳半くらいのころ、公園で遊んでいるときの写真。

子どものころは自然に囲まれた東京の郊外に住んでいたので、いつも野山をかけまわっていました。裏山に登っては虫を捕ったり、夏は友達と川に飛び込んだり、魚やカニなどを捕ったりしていました。うちにはゲームはもちろんのこと、絵本もおもちゃもあまりなかったのですが、木登りをしたり船を作って川で流したり、ダンボールのソリで坂を滑ったり、遊ぶことはいくらでもありました。近所にはクワガタやカミキリムシは各種いましたし、タマムシなどの今では珍しい虫もたくさんいました。水辺にはイモリやオオサンショウウオまでいました。何より虫や小さな生き物が好きだったので、毎日毎日ワクワクして、この世界で生きていることが楽しくてしょうがなかったです。

その一方で絵を描くのも大好きでした。幼稚園に入る前の話になりますが、家でひとりでヒヨコの絵を描きました。それが自分なりにうまく描けたので、近所に住むおばあちゃんの家まで持って行って、おばあちゃんにプレゼントをしました。そうしたら、おばあちゃんが大喜びしてくれたのです。よくあるエピソードではありますが、自分にはすごく衝撃的なことで、今でも覚えています。自分が絵を描いて、それをもらった人が喜んでくれる。自己肯定感が一気に芽生えた瞬間だったような気がします。

そんなこともあり、それからますます絵を描くことに夢中になっていきました。自分のためにも描きましたが、友達に頼まれた絵を描いたり、4コマ漫画を描いて人を喜ばせるのが大好きでした。幼いころワクワクした、この世界のキラキラした感じを絵本で表現して人に喜んでもらいたい。あのころから今の仕事までずっと地続きになっているのだと思います。

新井洋行

あらい ひろゆき。1974年、東京都生まれ。絵本作家・デザイナー。絵本に、『れいぞうこ』(偕成社)、『おおごえずかん』(コクヨ S&T)、『みず ちゃぽん』(童心社)、『ころころぽーん』(ほるぷ出版)、『いろいろばあ』(えほんの杜)、『モグモグ とらちゃん』(小学館)など多数。東京都在住。

『新 幼児と保育』2018年12/1月号より

【関連記事】
表紙をかざった絵本作家が語る幼年時代 表紙絵本館 シリーズはこちら!
・オームラ トモコさん「カエルの記憶」【表紙絵本館】
・中川貴雄さん「今でもハッキリ覚えている絵」【表紙絵本館】
・齋藤 槙さん「ミシンの音を聞きながら」【表紙絵本館】
・ささきみおさん「小さな庭のついたアパートでの思い出」【表紙絵本館】
・佐々木一澄さん「自転車に乗れるようになった瞬間」【表紙絵本館】
・高林麻里さん「私の子ども時代」【表紙絵本館】
・きもと ももこさん「自由に落書き」【表紙絵本館】
・森あさ子さん「絵本への落書き」【表紙絵本館】
・かとーゆーこさん「絵本への落書き」【表紙絵本館】
・庄野ナホコさん「れんげ草とドリトル先生」【表紙絵本館】
>>もっと見る

保育者のみなさんに役立つ情報を配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
表紙をかざった絵本作家が語る幼年時代 表紙絵本館 
関連タグ

絵本・本の記事一覧

雑誌最新号