寒い季節にぴったりのわらべうた【むかし遊び研究 Let’sわらべうた】
日本に古くから伝わる「むかし遊び」の世界を子どもと一緒に遊んでみましょう。ここでは、寒い季節にぴったりのわらべうたをピックアップ。幼児期に楽しめる鬼ごっこも紹介します。
★メロディーの参考に楽譜をつけていますが、歌いやすい音程で歌いましょう。
お話
郷右近博美 さん
(わらべうた講師)
ごうこん ひろみ ● 福島大学教育学部卒。中学校の音楽教師を経て、1998年より、多地域の伝承のわらべうた遊びを日本の文化とともに親子や子どもたちに伝える活動を始める。全日本カウンセリング協議会2級カウンセラー。岩手県奥州市在住。『こまった時はわらべうた うれしい時もわらべうた』(ひとなる書房)に協力・執筆。
全国各地に伝わるたくさんのわらべうたの中から、ほんの一部をピックアップして紹介しています。初めて聞くものもあれば、「知っているけど、自分が遊んでいた遊び(歌)と違う」と思うものもあるのではないでしょうか? ここで紹介している「おしくらまんじゅう」も、地域によって歌詞や遊びが少しずつ違っています。これは、わらべうた遊びが、その地域やそこで遊ぶ子どもたちと密接にかかわり、伝えられてきた証。ご自身で遊んだ経験がある遊びは、ぜひ、その言葉や遊びを使って遊んでみてください。そして、また次の世代へと大切につなげていってほしいと思います。
目次
体遊び「おしくらまんじゅう」(福島)
私が子どものころは、福島の寒い屋外で友達とこれをして体を温めました。友達の体温、体の柔らかさなどをじかに感じることができるふれあい遊びでもあります。
まんじゅうの皮とあんこに分かれ、押し合います。どのくらいの力で押せばみんながいやな思いをしないか、輪が切れないようにするにはどのぐらいの力加減にするといいか…。それらを考え、自然と体の動きをコントロールしながら遊ぶことができるようになるでしょう。あんことまんじゅうの皮を交代しながら遊んで、押され方の違いを感じるのも楽しいです。
遊び方
まんじゅうの皮になる数人が、内側に背を向けて腕を組んで輪を作り、その中に、あんこになる数人の子どもたちが入って、お互いに体を押し合いながら歌う。十数名の大人数で遊んでも楽しい。
おしくらまんじゅう
おされて なくな
あんまり おすと
あんこが でるぞ
鬼ごっこ「むこうのおばさん」(東京)
鬼ごっこはタフさが求められる遊びです。鬼という役目から解放されるためにはだれかをつかまえなければならないし、鬼にならないためには、一生懸命に逃げなくてはなりません。この時期の年中、年長クラスの子どもたちは、そろそろ「鬼ごっこ」のそんなハラハラ感や達成感を楽しめるようになってきます。比較的つかまえやすいのも、初めての鬼ごっこにはほどよい遊びといえるかもしれません。
とはいっても、子どもによってはルール自体が難しかったり、鬼ごっこの楽しさをまだ十分に味わえない場合もあります。クラスの成長、子ども一人ひとりの成長に配慮して、無理なく遊びを取り入れてみてほしいと思います。
遊び方
- 少し離れた場所2か所を陣地に決める(柱や木など、目印になる場所があるとよい)。鬼以外は好きなほうに集まる。
- 鬼は、2つの陣地の中間地点に立つ。
- 歌の問答(AとBが交互に歌う)が終わったら、走って場所を入れ替える。その間に鬼がひとりをつかまえる。つかまえることができたら鬼を交代。つかまえることができなかったときは、もう一度同じ子どもが鬼になる。
季節や自然を感じて歌いたいわらべうた「おおさむこさむ」(福島)
子どものころ、北風が吹く寒い外を歩いたり、遊んだりしていたときに、風や空に向かって大きな声で歌いました。歌うことで体が温かくなり、「こんな寒さなんかに負けないぞ!」と寒さに立ち向かうような気持ちになりました。園庭で遊ぶとき、ぜひ、みんなで声を合わせて歌ってみてください。
おおさむ こさむ
やまから こぞうが とんできた
なんといって とんできた
さむいといって とんできた
参考文献/『日本わらべ歌全集』(柳原出版)より「第7巻 東京のわらべ歌」
楽譜浄書/南舘 健
イラスト/島田恵津子
『新 幼児と保育』2019年2/3号より