ちょうどよい間仕切りを自分たちで作る!【 「思い」と環境をつなぐワークショップ #2】

早稲田大学人間科学学術院教授

佐藤将之

保育環境を変えたいけれど、何から始めていいのかわからない、以前挫折した…
そんな方にぜひ読んでほしい!こども環境学の専門家、佐藤将之先生による連載です。

第2回は、宝光保育園が取り組んだ、オリジナルの間仕切りづくりの変遷をレポートします。

(この記事は、『新 幼児と保育』増刊『0・1・2歳児の保育』2021春 に掲載された連載「保育空間ビフォア→アフター」を元に再構成しました)

お話

佐藤将之先生
早稲田大学人間科学学術院教授。専門はこども環境学、環境心理学、建築計画学。建築や都市におけるフィールドサーベイを通じて人間行動と環境との相互作用に関する研究を進めている。2020年に出版された著書『思いと環境をつなぐ保育の空間デザイン 心を育てる保育環境』(小学館)は、2020年度 こども環境学会 こども環境論文・著作奨励賞受賞。

取材協力/宝光保育園(東京・日の出町)
社会福祉法人八晃会が昭和48年に設立、「和」を大切に保育を行う。定員151人。

佐藤将之先生(前列右)と、宝光保育園のみなさん。

ちょうどよい間仕切りがない!

1歳児保育室のままごとコーナーづくりのワークショップを行う中で、2歳児以上の各保育室には夢中で遊び込めるコーナーをつくるための間仕切りが欲しい、という声があがりました。しかし適当な既製品が見つかりません。

2歳児保育室では、部屋が広く子どもが走り回ってしまうという問題を抱えていた。

プラダンでのさまざまなトライアル

まずはプラダン(ダンボールの形状のプラスチックの板)を使って間仕切りを試作しました。

下の写真は2枚のプラダンをL 字形に組み合わせてブックエンドと粘着テープで固定したもの。脚がなくても自立します。

また、L字金具を利用して支えにしたものも作ってみました。L字金具は、棚をDIYで作るためのもので、ホームセンターに売っています。支えがスリムなので、歩いていて引っかかることが少ないのが利点です。

次に、板が浮いて下に隙間ができるように、脚を取りつけて支えにしました。こうすると間仕切りの向こうにいる子どもの足が見えて安心できます。

丈夫な木製の間仕切りを量産

プラダンはダンボール紙に比べると丈夫で、汚れを拭き取ることもできて衛生的です。ただ断面を覆う粘着テープの傷みが早いのが難点でした。そこで木製の間仕切りを自作することにしました。

ホームセンターで購入できる畳サイズ(90センチ ×180センチ)の木板を60センチごとに3分割、1枚から3つの間仕切りを作りました。木板1枚あたり2,000円程度です。

現在は宝光保育園では、この木製の間仕切りが主に使われています。

既製品の間仕切りと自作の木製間仕切りを組み合わせて、下の写真のようにままごとコーナーを作りました。天蓋も設置し、囲まれた感のある場所にしつらえました。

 写真手前が自作の間仕切り、左奥が既製品の間仕切り。

ポイント

間仕切りの高さ60センチで、2歳児は視界がさえぎられて遊びに集中できる。

すわることを想定した場合、間仕切りの高さを60センチにすれば隣のスペースが見えずに遊びに集中できることを試作を通して発見しました。また、間仕切りで区切る際に通り道の確保のために間隔をあけて置くと、同時に保育者から各スペースの様子が見やすくなることもわかりました。

撮影・構成/丸橋ユキ 写真提供/佐藤将之、宝光保育園

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