100%ORANGE 及川賢治さん「油ねんど」【表紙絵本館】

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『新 幼児と保育』2018年4/5月号 表紙

『新 幼児と保育』は、毎号絵本作家さんの描きおろしの絵が表紙となっています。表紙を飾った絵本作家さんの幼年期のエッセイを紹介していきます。今回は、100%ORANGE 及川賢治さんです。

『油ねんど』

おそらく2~3歳、近所で泥遊びしているところ

ぼくが絵を描くよりも先に好きになったのが粘土でした。

青緑色でいつまでも固まらない「油ねんど」と呼ばれるもので、粘土箱のふたを開けるとすぐに遊べて、ずっと好きなようにいじってられるので毎日やっていました。油粘土はけっこう匂いがあるので(ぼくにとってはいい匂いだったけど、家族にとっては臭かったみたい)、玄関ドアの外の屋根のあるスペースに粘土板を置いてアウトドア粘土してましたね。冬は粘土が硬くなってしまったり、雨の日は雨が吹き込んできて粘土がべちゃべちゃになってしまったり。

最初は粘土の大きい塊に坂道の溝を掘ってそこに銀玉くらいの粘土玉を転がす「コロちゃん」という遊びをしていました。上から下まで引っかからずに落ちてくるのがうれしかったです。そのうち、造作が複雑になってきて、買ってもらえない超合金の代わりに自分で考えたロボットや乗り物を作っていました。腕や脚を1本作るのに時間がかかりすぎていつも体半分だけの不思議なロボットでしたね。

ヘラとか楊枝とか使わないですべて指と爪で作っていました。そういえば今でも仕事の道具が少ないほうがうまくいく気がします。

夕飯とかの時間になって、作ったものをぐにゃっとつぶして粘土箱にしまうのが楽しかったのをよく覚えていますつぶさないと箱に戻せないのです。それにしても出来上がったものを飾ったり、眺めたりとか、全然記憶がありません作る過程こそが好きだったんだと思います。

100% ORANGE

イラストレーター。及川賢治さんと竹内繭子さんのユニット。東京都在住。イラストレーションでは「新潮文庫 Yonda?」(新潮社)、絵本では『ぶぅさんのブー』(福音館書店)、『思いつき大百科辞典』(学研プラス)、『ひとりごと絵本』(リトルモア)、漫画に『SUNAO SUNAO』(平凡社)などがある。『よしおくんが ぎゅうにゅうを こぼしてしまった おはなし』(岩崎書店)で第13回日本絵本賞大賞を受賞。

『新 幼児と保育』2018年4/5月号より

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