壁面・掲示物アイデア 新学期の製作を賢く&かわいく!
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「今年は新しい製作に挑戦してみたい!」そんな保育者を応援する企画です。アドバイスをしてくれるのは現役保育士で、保育系作家としても活躍中の近藤みさきさん。年度替わりの忙しい時期だから、限られた時間の中でできるワザを伝授します!
近藤みさき さん
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目次
自己紹介には手を抜かない!
担任はもちろん、それ以外の職員のことも、保護者に知ってもらうことが大切。陽だまりの丘保育園では、40人ほどもいる職員のことを知ってもらうために、毎年趣向を凝らして自己紹介グッズを作っている。今年は紙コップ人形。底面に、自分の性格を表す漢字1文字をそれぞれ書いている。
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「子どものため?」「大人のため?」と問い直そう!
年度替わりの今の時期は、とにかくやることがたくさんあります。そのすべてを凝ったものにしようとすると時間が足りませんが、最初に「これはだれのために作るのだっけ?」と問うてみると、重点の置き方が定まります。
たとえば玄関口の職員紹介ボード製作。一人ひとりの職員の顔写真を撮影して切り抜き、並べて貼っている園が多いと思います。中には、職員がうさぎさんとクラス別のトロッコに乗って……などと演出を施している園もあるでしょう。でも、職員紹介ボードは保護者=大人向けであることに立ち返って、その演出を再考してみてもいいのではないでしょうか。大人向けには、子ども向けとは違うアイキャッチの手法があります。
丸シールとマスキングテープで壁新聞をかわいく
イラストが得意ではないという保育者でも、丸シールとマスキングテープだけで、簡単にデコレーションできる。大人向けにも子ども向けにも使えるワザ。(近藤みさきさん提供)
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色えんぴつでニュアンスを出す
園だよりを作るとき、囲み線を、あえて手書きのかすれた線にするだけで温かみが加わり、読みやすくなる。(近藤みさきさん提供)
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大人向けの情報を壁面装飾に紛れ込ませる
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大人向けの、大事だけれど事務的な内容の掲示を壁面装飾にしのばせているので、保育室の雰囲気を壊さない。(陽だまりの丘保育園)
製作を効率化する4つのワザ
保育の仕事は、手をかけようと思えばいくらでもかけられますが、手間を省けるところは賢く省きましょう。捻出した時間が心の余裕を生んで、明日の保育への活力になります。
ふだん私が心がけている効率化のポイントを下に4つ挙げました。それぞれ、次ページ以降に具体例を示しますので、取り入れられそうなものから試してみてください。「去年と同じに」「前任者から聞いたとおりに」という習慣を、今年は打破してみませんか。
1 ベースは使い回してパーツで新鮮さを出す
定期的に作り変えるものや、たくさん作る必要があるものなどは、ゼロから作るのではなく、ベースになるものを再利用したり、市販品を使ったりすることによって省力化しましょう。その分、ほかの部分に力を入れることにもつながります。
2 作業を人的・時間的に分散させる
毎年新学期に向けて必ず作ることになることがわかっているものは、長期計画で少しずつ進めておきたいものです。簡単で同一の作業は、アルバイトのかたや実習生含め、だれかの手があいたらやるものと決めておいてもよいでしょう。
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3 はさみで切る回数を減らす、または切らない
はさみで曲線を切るのは神経を使いますし、時間もかかります。曲線より直線、連続切りより1回切りが簡単なのは子どもも大人も同じこと。曲線切りにしたほうが確実に子どもに喜んでもらえるものができるのか、そうでもないのか、考えてみてもよいと思います。
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4 保育に組み込んで子どもと一緒に作る
新学期準備の製作を「大人がやるもの」と決めずに、保育に組み込んでみてはどうでしょうか。0・1・2歳児でも十分にできます。たとえば素手で絵の具を混ぜたり、刷毛で台紙にのりを塗ったりするのは、小さい子たちが大好きな活動です。
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1 ベースは使い回してパーツで新鮮さを出す
壁面の土台を通年使えるものに
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壁の下側に、草色のクロスが貼られており(写真向かって右側)、それを利用して壁面装飾をしている。白いだけの左側の面に比べて、圧倒的に楽に構成できるとのこと。(こころ新橋保育園)
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貼る・はがすが簡単にできる職員紹介ボード
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クラスの台紙、職員の顔写真を、それぞれ別々にラミネート加工しておき、両面テープで貼りつけている。クラス替えや新しい職員が入ったとき、簡単に貼り替えができるうえ、長く使える。(こころ新橋保育園)
市販のハンガーを利用した壁飾り
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製作の効率を上げる接着剤選び
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貼り合わせた紙を簡単にはがしたり貼り直したりすることができる便利な接着剤を知っていますか。「紙用接着剤」や「スプレーのり」などの種類があります。
窓ガラスの装飾や掲示には、セロハンテープよりでんぷんのりがおすすめです。貼ったときにきれいなうえに、はがすときは水拭きできれいにとれます。片づけや入れ替えも見越して、接着剤を賢く選びましょう。
2 作業を人的・時間的に分散させる
現在の担当クラスの子ども次年度分を準備する
いろいろなところで必要になる個人のマークや写真を、陽だまりの丘保育園ではお正月明けから作製を始めているとのこと。現在担当しているクラスの子どもの、次年度分を作るようにすると効率がいい。(陽だまりの丘保育園)
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お誕生日カードの部品は1年分まとめて作る
2歳児クラスの、3歳の誕生日用カードの部品。裁断など、工程ごとにまとめて行うことで省力化している。(陽だまりの丘保育園)
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新年度の誕生日表をどうする?
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年度が改まるたび、長い時間をかけて毎年作って玄関先に飾っていた誕生日表ですが、私の園では個人情報への配慮ということで数年前に廃止しました。
結果的に新学期の業務集中が緩和されることとなり、誕生日当日の演出や小物の製作に、より力を入れることができるようにもなりました。
3 はさみで切る回数を減らす、または切らない
ふだんの保育風景をそのまま切り取らずに貼る
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職員紹介の掲示にスナップ写真をそのまま貼っている。写真を貼るときのレイアウトに気を使えば、こんな美しい掲示物に。保育風景をそのまま載せることで、その保育者がどんな保育をしたいと思っているのかを示せるメリットもある。(近藤みさきさん提供)
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折り紙を切るかわりに折る
個人のマークのかわりに、色で識別している連絡帳。一人ひとり違う色の折り紙を折って貼り、表紙全体をラミネート加工で覆っている。(近藤みさきさん提供)
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(写真の名前は仮名です)
直線切りだけで作れるメダル
円形を切り抜くより、直線切りだけで作るほうがずっと楽で、子どもにとって見劣りするということもない。誕生日以外にも、運動会のメダル、敬老の日の記念品などに応用できる。(近藤みさきさん提供)
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(写真の名前は仮名です)
4 保育に組み込んで子どもと一緒に作る
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新年度の保育室の飾りは在園児と一緒に作る
トレーに白を含む複数の絵の具を出し、それを使って子どもが手のひらで描いたマーブル模様。白はマーブル模様に欠かせない。(近藤みさきさん提供)
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新年度カレンダーは年長児の卒園製作
年長児が各縦割り保育グループに1冊ずつ作った4月始まりの新年度用カレンダー。(陽だまりの丘保育園)
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取材/撮影協力
こころ新橋保育園(東京・港区)
「当たり前の日常を丁寧に、心を込める」。そのくり返しの中で、子どもたち一人ひとりの心を大切に育んでいきます。定員60名(うち0歳児6名、1歳児10名、2歳児以上各11名)。
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陽だまりの丘保育園(東京・中野区)
陽ざしがあふれる園舎内は木のぬくもりを大切に、壁には絵画や子どもたちの作品、季節の飾りを飾っています。定員123名(うち0歳児15名、1歳児20名、2歳児以上各22名)。
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文/佐藤暢子
撮影/丸橋ユキ、藤岡雅樹(小学館写真室)
『新 幼児と保育 増刊』2019年春号より