身のまわりの「音」が楽しい! 0・1・2歳向け絵本【児玉ひろ美の注目本棚#4】
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- 児玉ひろ美の絵本ガイド
最近出版された絵本を中心に、子どもと一緒に読んでほしい注目作品をピックアップ。今回は、0・1・2歳児向けの絵本を2冊。子どもたちの身のまわりにある、あの「音」が出てきます。
児玉ひろ美さん
JPIC読書アドバイザー、東京・台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。大学にて「児童文化」の講師を担当するなど、幅広く活躍。著書に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。
目次
音と色と遊び=言葉と絵とコミュニケーションの世界
0・1・2歳児の絵本は、音と色と遊び=言葉と絵とコミュニケーションの世界です。なかでも言葉は読み手である保育者それぞれのリズムやイントネーションがあり、それはそのままそっくり、子どもたちを取り巻く環境ともいえます。どうぞ、絵本の読み聞かせで、シャワーのように乳児さんたちに言葉を注いでください。言葉の獲得には、それが何よりの栄養なのですから。
『なんのおと?』
作/こが ようこ
瑞雲舎
「とことこ ぴっぴっ なんのおと?」「りんちゃんの くまさん あるくおと とことこ ぴっぴっ とことこ ぴっ」なーんて気持ちの良いリズムなのでしょう。 さすが「語り手」こがようこさん! 本サイトでも「すきまの時間の小さなお話」でおなじみですね。
主人公のりんちゃんはお散歩が大好きな女の子。見るもの、聞くもの、触れるもの、すべてが不思議で喜びに満ちています。そう、タンポポまでが喜びの歌を歌うほど。さあ、りんちゃんと一緒に、楽しくお散歩しましょう。丁寧な貼り絵の絵は優しく柔らかい印象なうえ、ジャケット(紙カバー)を外すと、角丸の赤ちゃん絵本仕様になっています。読み手を選ばず、だれもが心地よいリズムで、楽しく読むことができますよ。
読み聞かせ〈基本情報とポイント〉
読み聞かせるなら…
- 対象:0歳~
- 時間☆:2分
- ポイント:りんちゃんのくまさん=くまの顔のついた靴、りんちゃんのぞうさん⇒ぞうの顔のバケツというように、絵と言葉で一体となって表現されているので、言葉のあとの絵を見る間を大切にしましょう。オノマトペをくり返して読むのもいいですね。
☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。
ありそうでなかった、離乳食の赤ちゃん絵本!
赤ちゃん向けの食べ物の絵本はたくさんありますが、こんなふうに「離乳食」をテーマとした作品は初めてなのかもしれません。
『あーん ぱっぷん!』
作/山岡ひかる
くもん出版
タイトルにある「ぱっぷん!」も新鮮な音ですね。そう、赤ちゃんにとって離乳食は、モグモグやゴックンより、まずは「ぱっぷん!」と、口に入れてみることが、はじめの一歩なのでしょう。
「ぽっこん おちゃわん かくれているのは だーれかな?」「にんじんさん」「ブロッコリーさん」と、野菜のもとの形や色を楽しみながら、「あーん ぱっぷん!」と食べることへの興味を育てます。それにしても、発語を促す「あ」は、食を促して口を開ける「あ」でもあるのですね。
子どもの食で何より大切なことは、何を何グラム食べたかではなく、その時間をどんな気持ちで過ごせたか? といわれています。「あーん ぱっぷん!」で、食事の時間が楽しいひとときになりますように!
読み聞かせ〈基本情報とポイント〉
読み聞かせるなら…
- 対象:1歳児~
- 時間☆:1分30秒
- ポイント:「だーれかな?」の問いに、まだ言葉では答えられない子どももいることでしょう。でも子どもの中には「あ」「それ好き」「イヤ」など心の動きはあります。喃語(なんご)も含め、子どものさまざまなリアクションに対し、頷きやアイコンタクト、笑顔などの反応をしながら読み進めていきましょう。「あーん ぱっぷん!」は何回でも望まれるままに。そして、読み終えたら「上手にぱっぷんできました」「ごちそうさま」など、会話を弾ませましょう。
☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。
イラスト/小泉直子
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