憧れの傘やレインコートで、雨の日もウキウキ楽しくなる絵本！【児玉ひろ美の注目本棚＃５】

最近出版された絵本を中心に、子どもと一緒に読んでほしい注目作品をピックアップ。今回は、雨の日が、きっともっと大好きになる絵本をご紹介。

児玉ひろ美さん

JPIC読書アドバイザー、東京・台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。大学にて「児童文化」を担当するなど、幅広く活躍。著書に『０～５歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』（小学館）。

身近な野菜やくだものたちが、色鮮やかな傘を持って登場

子どもは、楽しいことを見つけるのが得意です。大人にとっては憂鬱（ゆううつ）な雨も、子どもたちには、楽しいことのひとつ。しかも、楽しみレベルはかなり「高」。ましてや、お気に入りの傘やレインコートがあればなおさらのこと！　 特に小さな人たちにとって、傘は憧れの対象のようですね。きっと、みなさんの園でも、傘やレインコートの楽しいエピソードは、さまざまあることでしょう。

『かさ さして』

作・絵／三浦太郎
童心社

表紙の小なすの色鮮やかさに、目が惹きつけられます。身近な野菜やくだものたちが登場し「れれれれれ」「げげげげげ」「ももももも」と、連なる音も楽しい『あかちゃん　ととととと』シリーズの5作目です。降ってきた雨に、小なすの子どもも、おくらのきょうだいも「ぱっと かさ さして いそいで  かえろ」と、それぞれ色鮮やかな傘を開いて歩き出します。その表情の晴れやかさが印象的です。そして、傘の色にも、ご注目！　巻末の「著者の言葉」にもありますが、みんなの傘の色には、それぞれ由来があるのです。答えは、どうぞ絵本を手に取り、お確かめくださいな。

読み聞かせ〈基本情報とポイント〉

読み聞かせるなら…

• 対象：0歳児～
• 時間☆：1分30秒
• ポイント：「あっ あめだ」「ぱっと かさ～」とくり返しの言葉でページが展開します。「ぱっ」と、ページをめくりながら（先行して）読むのも一案ですが、子どもたちが自発的に声を出してきた場合は、子どもたちのタイミングに合わせて読みましょう。

☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。

ありそうでなかった、離乳食の赤ちゃん絵本！

【児玉ひろ美の注目本棚＃１】でご紹介した、『こいぬのパッチ』シリーズ第3作は「レインコート」がテーマです。

『こいぬのパッチと　あかいレインコート』

作／デイヴィッド・メリング　訳／なかがわ ちひろ
小学館

好きなことがいっぱいあるパッチですが、新しいレインコートは嫌いです。きゅうくつで、ゴワゴワしていて、へんなにおいがします。「きらい きらい だいきらい！」（まるで園にいる「だれかさん」そっくりかもしれませんね？）。 でも、水たまりが大好きなパッチは、コートを着ずに外へ飛び出し、遊びます。ぴちゃぴちゃ・じゃぶじゃぶ・ばっちゃーん！　「ほらね、レインコートなんて いらないよ」と、得意ですが…。パッチ、本当に大丈夫かな？　読み終えたら、紙やビニール袋を使って、みんなで「わたしのレインコート」づくりをしても楽しいですね。

読み聞かせ〈基本情報とポイント〉

読み聞かせるなら…

• 対象：３歳児～
• 時間☆：３分30秒
• ポイント：＃１では、パッチの少し複雑な心の動きに注目して4歳児からと紹介をしましたが、今回のパッチの気持ちは3歳児でも十分共感できることでしょう。たくさんのパッチが描かれているページを読むのが大変に感じた方は、横1列３つを意識して、指さしをしながら読んでみてください。

☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。

イラスト／小泉直子

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