“うがい”をテーマにした、音を楽しむ絵本【児玉ひろ美のこだま文庫】
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- 児玉ひろ美の絵本ガイド
ここは、みなさんの記憶の隅にある懐かしい1冊や気になりながらも読まないままの1冊、そんな本に再び出会うためのオンライン図書館です。今回のテーマは、“うがい”。ごぼごぼ、がらがら…音も楽しいさまざまな絵本を集めました。
児玉ひろ美さん
JPIC読書アドバイザー、台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。大学にて「児童文化」を担当するなど、幅広く活躍。著書に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。
目次
“うがい”をするのが楽しくなりそうな3冊
子どもたちは水が大好き。今も昔も、世界中どこに行っても、どんなときでも、水とは大の仲よしです。新型コロナウイルスの感染予防に「手洗い」プラス「うがい」を習慣にした方も多いようですね。それらを見聞きするたびに、子どもが水を好きでよかった! と、思うのです。
『ごぶごぶ ごぼごぼ』
駒形克己/作
福音館書店
「これ、本能…ですか?」
『ごぶごぶ ごぼごぼ』は、水の音をテーマに、楽しい音とシンプルで明るく鮮やかな色で構成された絵本で、たくさんの赤ちゃんを笑顔にしています。作者の駒形克己さんが、当時3歳だった娘さんから「お母さんのおなかにいたときの音」の話を聞き、作られた絵本とのこと。
保護者の方は、ブックスタートのプレゼント絵本として出会うことも多いようですが、その日、6か月のお子さんに初めて絵本を読んだお父さん。「わかりますかね?」と、半信半疑で読み始めたものの、その反応の豊かさに驚いたようです。
連日の報道番組の中で、「のどのうがい」が日本独自の習慣であることを初めて知りました。そういわれて考えると、外国のドラマや映画で、歯磨きで口をブクブクとするうがいシーンはあっても、のどをガラガラとする「のどのうがい」を見た記憶がないように思います。
『うかいのうがい』
さくら せかい/作
ブロンズ新社
「“てあらい・うがい”が楽しくなる絵本はありませんか?」
とのお問い合わせがあり、ご紹介した中の1冊が、うがいの語源ともいわれる長良川(岐阜県)の鵜飼いをモチーフにした『うかいのうがい』です。たんこぶができていたり、あごが外れていたり、それぞれ困っていた5羽の鵜と、彼らを助けた漁師のハンさんが「がらがら うーうー がらがら うー」と、うがいの音で魚を集めて漁をするユニークな物語。
あるご家庭では、子どもたちは「がらがら うーうー」と、まずは声を出す遊びから始めたそうですが、3歳のお子さんはあごから胸元までびしょ濡れにして…。その夜、お風呂で楽しく特訓をしたそうです(笑)。
『ぼく びょうきじゃないよ』
角野栄子/作 垂石眞子/絵
福音館書店
『”クマシキ“って、わらべ歌をご存じですか?』
コロナ問題でにわかに思い出した…と、仕事の打ち合わせにいらした30代の女性に尋ねられました。幼いころ、2歳ずつ違う兄と姉が、うがいの際に必ず歌っていたのが、「クマシキ」。末っ子の自分は、「うがいもできない」と仲間外れにされ悔しかったというのです。うがいのわらべ歌は聞いたことがない…と思いながらもWEBで「クマシキ ウガイ」を検索。そこでヒットしたのが『ぼく びょうきじゃないよ』。
「クマシキ」って、「熊式」だったのね〜。と、大笑いをしました。クマ式うがいのポイントは3回続けること。さて、どんな歌なのでしょう? 近ごろは物事に、「○○に効く」「○○ができる、わかる」など、効果を冠することが目立ちます。絵本もさまざまな目的を課して紹介を求められますが、子どもは楽しむ天才です。きっかけは何であれ、子どもと多様な物語(絵本)が出会うチャンスとなればいいと願っています。
6月と7月のおすすめ絵本
テーマ「大好きな水」
『 ぐるぐるせんたく』
0歳から2歳向け
矢野アケミ/作
アリス館
まる、どろんこ、水、ぐるぐる…。子どもの好きなものを全部まとめて「まわして まわして」。「はい! みーんな きれいに なりました!」。爽快な満足感です。
『じゃぶじゃぶ じゃぐちくん』
0歳から2歳向け
新井洋行/作
講談社
「じゃぶ じゃぶ じゃぶ じゃぶ じゃぐちくん」と、声に出して読むだけでも、気持ちがよくなる手洗いの絵本。いろいろアレンジができそうです。
『みず ちゃぽん』
0歳から2歳向け
新井洋行/作
童心社
表紙のしずく60粒、それぞれに表情があり、子どもたちはじっと見入ります。本を開くと、雨粒のさまざまな形が表情と音で描かれています。自由に楽しく読めばOK。
『せっけん つけて ぶくぶく ぷわー』
2歳から4歳向け
岸田衿子/文 山脇百合子/絵
福音館書店
ことちゃんがリスさんやクマさんとお洗濯。もくもくもく、ごしごしごし…とっても楽しそう。本のサイズが小さく、お話はやや長めなので少人数向きです。
『みずくみに』
2歳から4歳向け
飯野和好/絵・文
小峰書店
家族のために沢までおいしい水をくみに出かけます。近くで見るより、少し離れたほうが、お話の流れをつかめます。文字なしのページは、しっかり間をとって。
『みずたまり』
2歳から4歳向け
アデレイド・ホール/作 ロジャー・デュボアザン/絵 こみや ゆう/訳
好学社
水たまりに映る自分を見て「まあ! たいへん」。雨上がりに、水たまりを覗(のぞ)く遊びをしてから読むと、全体の反応がよくなります。
『みずとは なんじゃ?』
4歳から6歳向け
かこ さとし/作 鈴木まもる/絵
小峰書店
加古里子さんが最後に手がけた1冊。素朴で膨大な疑問を、幼い子どもでもわかる平明さで解説しています。挿絵は鳥の巣観測などで著名な鈴木まもるさん。
『水の絵本』
4歳から6歳向け
長田 弘/作 荒井良二/絵
講談社
美しい詩と美しい絵。子どもには難しいと思う方も多いのですが、ぜひ一度お試しください。じっと聞き入ることでしょう。保護者会にもおすすめします。
『しずかな みずうみ』
4歳から6歳向け
山﨑優子/絵・文
至光社
「もりの むこうの もっと とおく やまの なかに しずかな みずうみ」。朝もやが広がり、かすかな水音が聞こえる。朝の始まりに間に合うよう、そっと小舟をこぎだして…。湖面の静けさを乱さぬよう、本をしっかり持ち、穏やかに読んでください。中扉のないタイプですので、美しい見返し部分をゆっくり見せてから、読み始めましょう。
『しずかな しずかな みずうみ』
異年齢
やまだ うたこ/作・絵
大日本図書
静かな静かな湖に、次々やってくる仲間たち。静かな静かな湖は、やがて愉快でにぎやかな湖に! 落ち着いた色調に柔らかで温かい絵が印象的。
『うしろにいるのだあれ みずべのなかまたち』
異年齢
accototo(ふくだ としお+あきこ)/作
幻冬舎
「ぼくの うしろに いるのは だあれ?」で始まり、前に、上に、下に…たどっていくと、やがて「ぼ
く!」。劇遊びやパネル遊びに生かせます。
『新 幼児と保育』2020年6/7月号より
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