どうぶつたちの世界【児玉ひろ美の注目本棚#12】
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- 児玉ひろ美の絵本ガイド
最近出版された絵本を中心に、子どもと一緒に読んでほしい注目作品をピックアップ。今回紹介する2冊の絵本には、子どもたちにも人気の動物たちが登場します。
児玉ひろ美さん
JPIC読書アドバイザー、東京・台東区立中央図書館司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。大学にて「児童文化」を担当するなど、幅広く活躍。著書に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。
目次
それぞれの方法で「やさしい気持ち」を届ける
何かと刺激の多い毎日。絵本を読み聞かせる時間は、読み手である保育者にとっても、心を落ち着かせ、気持ちを整える時間でもあります。絵本を読む前には、「すぅー!」っと、大きく息を吸い込むのではなく、「はぁ~」と、ため息のように息を吐き出し、心と体を緩めてみてください。
そして、そんなときにもおすすめの、タイプの異なる動物の絵本2冊をご紹介しましょう。
『どうぶつたちの やさしいきもちって?』
アン・ウィットフォード・ポール/文 デイヴィッド・ウォーカー/絵 福本友美子/訳
岩崎書店
表紙を見せると、子どもたちからは「ながっ!」「ぐるぐる巻き~」などの声が届きます。続く中扉では、マフラーを身につけていないキリンを見つけ「あれ?」「まだ、していないね」と、興味津々。よく見ているのですね。
ヤマアラシはキリンに、ワニはアライグマに、ライオンはヌーにと、それぞれ、やさしい気持ちを届けます。ゆっくりでも、不器用でも、相手が必要としていることを、自分ができる方法でしてあげるのです。やさしさの形はひとつではないし、もちろん完璧である必要もないのでしょう。ときには長い時間が必要なこともあるようです。なんだか、ホッとしますね。
ハリネズミがマフラーを仕上げ、キリンの首に巻くシーンでは、子どもたちもホッとするのでしょう。うれしそうに拍手をする子もいました。
読み聞かせ〈基本情報とポイント〉
読み聞かせるなら…
- 対象:3歳児~
- 時間☆:4分
- ポイント:一見、0・1・2歳児にもよさそうな絵ですが、「やさしさ」をテーマとしていますので、3歳児以上がおすすめです。「~かな?」の語尾を、必要以上に伸ばしたり、上げたりせず、子どもたちと会話をするようにテンポよく読むとよいでしょう。
☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。
キリンと一緒に、高く大きな世界を楽しむ
こちらの絵本にも、キリンが登場します。
『きりんのこが せのびをしています』
林 木林/作 山口マオ/絵
金の星社
お母さんみたいに背が高くなりたいキリンの子。「くびを まっすぐ ぴーんと のばして うんと うーんと たかーく ながーく あしの さきまで ぴーんと のばして」気がつくと、世界で一番背が高くなっていました。「くるん くるん ひゅるーん」と、風のマフラーを巻き、草原の向こうの向こうまで見渡すことができ、宇宙人とも友達に! お月さまをかじっておなかいっぱいになったら、眠くなり、雲のお布団にもぐり込んで眠ります。
キリンの背の高さを実感できる、縦開きの絵本です。子どもたちは、絵本の大きさ以上に大きい世界を感じることができますので、スムーズにページをめくる練習をしてください。
読み聞かせ〈基本情報とポイント〉
読み聞かせるなら…
- 対象:3歳児~
- 時間☆:4分
- ポイント:大きさのある絵本を、さらに縦に開きます。安定を優先して持ち方を工夫してください。文章は、息継ぎを意識して、ご自身のテンポで読みましょう。最後はそのまま裏表紙をめくりあげると、絵が反対になってしまいます。見返しを見せたら上から下へ表紙を下ろし、タイトルを読んでから裏表紙を見せてはいかがでしょうか?
☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。
イラスト/小泉直子
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