「こんなところにいた!」真冬の虫の隠れ家探し!【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#10】
ささき隊長 こんにちは。ささき隊長です。「冬って虫はどうしてると思う?」と子どもたちに聞くと、「死んじゃってる!」という答えが返ってきます。でも、ちょっと待って! そうだとしたら、春になったとき、虫たちはどこから来るのでしょう? 今回は、そんな不思議を胸に、冬の虫たちの隠れ家探検に出かけましょう。
ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)
目次
【虫の越冬】冬の間の虫たち、みんなの隠れ方は違うんです
虫たちは、それぞれ工夫して寒い冬を過ごしています。カマキリは卵の状態で、壁や木の枝にくっついて春を待っています。池の中をのぞくと、トンボの赤ちゃんであるヤゴが幼虫の姿で暮らしています。カブトムシも、土の中で幼虫として冬を過ごすんですよ。
アゲハチョウやモンシロチョウはさなぎになって、チョウチョウになる準備をしながら冬を越します。でも意外なことに、成虫のまま冬を過ごす虫も多いんです。テントウムシやカメムシは、園舎の壁や野外物置の壁に隠れています。
キタキチョウという黄色い蝶は、葉っぱの裏側でじっとしていることが多いです。ウラギンシジミという蝶も、園庭や公園などで冬を過ごしています。これらの虫たちは、まるで冬眠しているみたいに、あまり餌を食べずにじっとしているんです。
【観察方法】虫たちの隠れ家、どこを探す?
冬の虫探しで大切なポイントは、温度です。虫たちは寒暖の差が大きいところは苦手。たとえば、1本の太い木があったとき、お日さまがバーッと当たる場所ではなく、ひんやりとした日陰側に集まっています。昼も夜も温度変化の少ない場所を好むんです。
園庭で探すなら、建物の壁際や物置のまわり、木の幹の日陰側がおすすめ。石をそっとどけてみると、ダンゴムシに出会えるかもしれません。運がよければ、ヤモリが冬眠している姿に出会えることもあるんですよ。
雪が降る地域でも大丈夫。むしろ雪があると、虫たちは建物の軒先や木の幹など、限られた場所に集まってくるので、見つけやすいともいえます。
【観察のコツ】冬ならではの発見を楽しもう
冬は虫の数が少ない分、1匹見つけたときの喜びは格別です。「わー! ダンゴムシがいたー!」と子どもたちの歓声があがります。それから、虫たちは寒さで動きが鈍くなっているので、ゆっくりと観察することができます。
ただし、大切なお願いがひとつ。見つけた虫たちは、そっとしておいてあげましょう。もし手に取って観察したら、必ず見つけた場所に戻してあげてくださいね。見つけたその場所が、寒い冬を必死に耐えている虫たちの大切な“すみか”だからです。
冬の虫探しは、春の訪れを待つ生き物たちの知恵と工夫を学べる素敵な機会。寒い季節だからこそ見られる、虫たちの静かな暮らしを、子どもたちと一緒に観察してみましょう。
冬の虫をムシしないでね(笑)。
文/神﨑典子 写真/佐々木 洋
佐々木 洋(ささき隊長)
ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。近著に『生きものハイウェイ』(雷鳥社)がある。
【関連記事】
ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!シリーズはこちら!
・「こんなところにいた!」真冬の虫の隠れ家探し!【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#10】
・冬といえば野鳥観察! さまざまな種類のカモと仲良くなろう【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#9】
・落ち葉遊び3選!子どもが夢中になる自然遊びのアイデア【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#8】
・水面を滑る小さな生き物アメンボの不思議【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#7】
・みんな大好き!カブトムシと仲よくなるワザ【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#6】
・もっと知りたい!セミの世界(後編)【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#5】
・もっと知りたい!セミの世界(前編)【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#4】
・カタツムリのひみつ、教えます【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#3】
・魔法の絵の具・ツユクサで色遊び【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#2】
・ラッキー☆ダンゴムシを見つけよう【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#1】
>>もっと見る