キーワードから探る保育の奥深さ《第2講》テーマ:環境(汐見稔幸先生)セミナー映像〈約50分〉

汐見稔幸先生による全12回のオンライン講座です。これからの保育で大切になってくるキーワードを入り口に、保育者として理解しておきたい保育の根本を探ります。第2講のキーワードは「環境」です。

「環境が人を作る」という言葉があるように、子どもの成長に環境が与える影響は計り知れません。しかし、保育の世界で「環境」という言葉が使われる時、その意味は曖昧で、捉え方も人によって様々です。汐見先生による今回の講演では、「環境」の持つ二つの意味を明確に区別し、それぞれの意義を解説します。

一つ目は、幼稚園教育要領などで定められている五領域の一つとしての「環境」です。これは、子どもが周囲の環境に興味を持ち、関わり、生活に取り入れていく力を養うことを目的としています。汐見先生は、子どもの興味関心を引き出し、探求のプロセスを大切にすることの重要性を説きます。

二つ目は、「環境を通じた教育」という考え方における「環境」です。これは、子どもが環境とのコミュニケーションを通して自ら育っていく力(自育性)を支える状況を作り出すことを意味します。汐見先生は、物理的環境、構造的(制度的)環境、人的環境の三つの分野から、その在り方を探ります。

特に汐見先生が重視するのは「人的環境」、つまり保育者の姿勢や子どもへの関わり方です。保育者同士の関係性や、子どもを信頼し、温かく受け止める雰囲気が、子どもの主体性を育むというのです。

また、環境づくりを「家づくり」に例え、子どもにとって園が安心できる第二のおうちとなるよう、保育者自身が働きやすい環境を整備していくことの大切さを訴えます。

本講演を通じて、「環境」という言葉の奥深さと、保育の質を高めるための環境づくりのヒントを得ることができるでしょう。保育に携わる全ての人に、ぜひ視聴をおすすめしたい講演です。

※2022年4月15日(金)に行った「小学館せんせいゼミナール」オンラインセミナーの録画より、前半の講義部分を切り出して構成しました。

お話のトピック

  • 保育における「環境」の二つの意味
  • 領域「環境」で求められていること
  • 「環境づくり」というときの環境
  • 人的環境の重要性
  • いい保育園の共通点
  • 環境づくりは家づくり

講師:汐見稔幸(しおみ・としゆき)
1947年大阪府生まれ。東京大学名誉教授、元白梅学園大学及び白梅学園短期大学学長。専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。

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