子どもと一緒に育つ絵本【児玉ひろ美のこだま文庫】
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- 児玉ひろ美の絵本ガイド
ここは、みなさんの記憶の隅にある懐かしい1冊や気になりながらも読まないままの1冊、そんな本に再び出会うためのオンライン図書館です。今回は、保護者とも共有したい「育自」応援絵本を集めました。
児玉ひろ美さん
JPIC読書アドバイザー、台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。大学にて「児童文化」の講師を担当するなど、幅広く活躍。近著に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。
目次
子どもと一緒に、親に育てばいいんです
「子育ての時間は親育ての時間。だれでも最初から親ってワケじゃありません。子育てをしながら、子どもと一緒に親に育てばいいんです」。
私自身が産後45日で職場復帰をするとき、保育園の先生にいわれた言葉です。どんなにホッとしたことか! 『おやおやじゅくへ ようこそ』を読みながら、30年以上前のことを懐かしく思い出しました。
月謝無料、先生は優しくて優秀、成績必ずアップの「おやおや塾」。入塾の資格は「親」。そして先生は、子どもたちです。4時間の授業はちゃめっ気たっぷりでありながら、しっかり核心をついて子どもの気持ちを伝え、入塾した親を育ててくれます。
例えば、子どもの仕事は舐めたり、触ったり、破ったり、投げたりだから、親の仕事はそれをしやすくすること。親の体が子どもより大きいのは、子どもを抱っこするため、などなど。そして4時間目には仕上げのドリルです。これがまた、秀逸で読み手は真剣に取り組んでしまいます。
ある家庭教育学級の親子参加の場で読み聞かせをした際、子どもたちはドリルを全問正解し、とっても得意げでした。保護者会などでも紹介してみてはいかがでしょう? きっと会話が弾みます。
『おやおやじゅくへようこそ』
浜田桂子/作
ポプラ社
親子を育てるロングセラー絵本
『どれがぼくか わかる?』は日本国内では1970年から、アメリカでは1959年から読み継がれるロングセラー絵本です。ロングセラーの作品には必ず、子どもの望む達成感や肯定感、そしてそれらをもたらす子どもの望む大人像が描かれています。
本書の場合は、何があっても、どこにいても、あなたを見つけることができますよ、という、母親のゆるぎない愛情ですが、これらをくり返し声に出して子どもと読むことで、子どもは深い満足感から自己肯定感を育み、大人は親としての自分を育てていくのでしょう。ロングセラーの絵本には、そんな不思議な力もあると思います。
『どれがぼくか わかる?』
カーラ・カスキン/文・絵 よだ しずか/訳
偕成社
パパとママが対等に子育てをする作品
最近は、「絵本はワンオペ育児が多い」と若い世代の方にいわれてしまいますが、絵本の世界も多様性の時代になりました。2016年刊(原書は2014年)の『パパとママのつかいかた』は、妻と夫の完全に対等な子育ての作品です。
何組もの家族がいて、それぞれ、肌や髪の色が違います。どの家族も幸せそうです。「つかいかた」という言葉に違和感を訴える声もありますが、私自身は夫婦・親子ともによい意味でフラットで愛情深い関係をユーモラスに表現していると思いました。
「つかいかた」には子どもが親に対して抱いている、疑う余地のない、万能感や信頼感、安心感に満ちています。まさに子どもの望む大人像なのでしょう。
そうそう、最初にご紹介した保育園の先生、こうも仰っていました。「育ちの時間は、子どもも親も、失敗して当たり前。失敗しないと伸びませんよ〜」って!
『パパとママのつかいかた』
ピーター・ベントリー/文 サラ・オギルヴィー/絵 福本友美子/訳
BL出版
4月と5月のおすすめ絵本
テーマ「春を楽しむ」
『どのはな いちばん すきな はな?』
いしげ まりこ/文 わきさか かつじ/絵
福音館書店
0~2歳向け
春らしい、明るく華やかな作品です。「ぱー」「ぴゅーん」「ぽんぽん」など、一緒に声に出して、軽やかに楽しみましょう。言葉がシンプルなその分、絵をゆっくりと見せてください。
『ひよこ』
中川ひろたか/文 平田利之/絵
金の星社
0~2歳向け
あれあれあれ? あ! 殻を割って出てきたひよこ。とことことこと、まっしぐらに走った先は、そう、大好きなお母さん! シンプルで春らしい色彩の絵をじっくり見せてあげましょう。
『うさぎのおうち』
マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 ガース・ウィリアムズ/絵 松井るり子/訳
ほるぷ出版
2~4歳向け
「えだがめぶき はながひらきひながかえる」。そんな春に、こうさぎは自分のおうちを探しに出かけます。優しく美しい絵だからこそ甘くならぬよう、言葉をはっきりと読みましょう。
『いたずらこねこ』
バーナディン・クック/文 レミイ・シャーリップ/絵 まさき るりこ/訳
福音館書店
2~4歳向け
好奇心いっぱいの、小さなこねこと、マイペースなカメの物語です。全ページを通して描かれている地面の線の連なりを意識して、絵本がグラつかぬよう、まっすぐに持ってください。
『カピバラせんせいのバスえんそく』
大塚健太/作 くさか みなこ/絵
小学館
2~4歳向け
今日は「ねずみえん」のバス遠足です。バスの運転手さんは、みんなの大好きなカピバラ先生。「出発 進行!」。さあ、どこへ行くのでしょう? 絵をじっくりと見せてあげましょう。
『うえきばちです』
川端 誠/作
BL出版
4~6歳向け
植木鉢に土を入れ、のっぺらぼうずを植えてみました。すると「メ」が出て「ハ」が出て「ハナ」
が咲きました。風変わりなナンセンス絵本は、読み手が大真面目に読むことがコツ。
『ねこのかあさんのあさごはん』
どい かや/著
小学館
異年齢
ねこの母さんは、毎朝、家族5人のご飯作りに大忙し。「けさのごはんはなーにかな?」。毎日違ったメニューです。吹き出しなどそれぞれの言葉は、指さしをしながら読んでください。
『たからさがし』
中川李枝子/作 大村百合子/絵
福音館書店
4~6歳向け
「たから」探しに出かけたゆうじが見つけた魔法の杖。ところがうさぎのキックも「いいもの みつけ
た! ぼくがいちばん」。さぁ大変! ゆうじとキックの「いちばん」決め競争が始まりました。
『どこが ながいか わかる?』
みやにし たつや/作・絵
金の星社
異年齢
「どこがながいかわかる?」と、体のどこかが長い動物が、たくさん出てきます。クイズ形式にして読んでも楽しいですね。縦開きの本は、事前にしっかり開き癖をつけてください。
『ももたろう』
松居 直/文 赤羽末吉/画
福音館書店
異年齢
日本の5大昔話のひとつでもあり、卒園までに読んであげたい1冊です。端午の節句に合わせて読むのもよいでしょう。読み手がお話の筋やイメージをしっかりと把握して読むことが大切です。
『おばけの花見』
内田麟太郎/作 山本 孝/絵
岩崎書店
異年齢
今日はお化け長屋のお花見です。みんなウキウキしています。お花見が始まると、お姉さんのつまびく三味線にうっとりし、みんな浮かれて踊りだします。ところが急に……。
『新 幼児と保育』2019年4/5号より
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