かとう ようこ さん「桃の花畑のそばで」【表紙絵本館】

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『新 幼児と保育』は、毎号絵本作家さんの描きおろしの絵が表紙となっています。表紙を飾った絵本作家さんの幼年期のエッセイを紹介していきます。今回は、かとうようこさんです。

『新 幼児と保育』2022年春号 表紙

「桃の花畑のそばで」

3歳ごろ。幼少期を過ごした山梨の家の庭で、大好きなおばあちゃんに抱っこしてもらっています。祖母はよく着物でお茶の会に行っていて、私も連れて行ってくれました。

山梨県で生まれて、幼少期を過ごしました。住んでいた家のそばに桃の花畑があって、春になるとあたり一面桃色のじゅうたんを敷いたように桃の花が咲いていました。おうちの中では、祖母と一緒にこたつに入って、広告の裏面に絵を描いている時間が多かった記憶があります。どんな絵を描いていたのかは記憶にないのですが、とても楽しい時間でした。そのおかげか、今でも、白い紙に向かって何か絵を描こうとするときはワクワクします。

幼稚園には、近所のお友達のAちゃんと一緒に、片道20分くらいの幼稚園バスで通っていました。朝、幼稚園バスの乗り場に行く途中、道端に咲いているカタバミやオオイヌノフグリの花を摘んで「先生にプレゼントしよう!」と張りきってバスに乗るのですが、小さな花は幼児の体温でしんなりしてしまって、幼稚園に着く前にしおれてしまうのです。それでも、毎朝かわいいお花を見るたびに「プレゼントしよう!」といって、Aちゃんと一緒に花を摘んでバスに乗りました。

あるとき、しおれた花を思いきって先生にプレゼントしたら、とっても喜んでくれたので、私たちは満足しました。それで毎朝お花を摘むルーティンが終わったのだと思います。

今になって、絵本のお話を考えるときなどに、そのころの気持ちを思い浮かべます。

子どもの身長だからこそ見えるものがあって、小さな花などをすぐに見つけて、興味を持つのだなとか、身近な人にプレゼントしたい気持ちや誰かに喜んでもらいたい気持ちは、子どものころから持ち始める純粋なものなんだなと思います。

絵本のお話を考えるときなども、そういう気持ちを大切に作品を作っていきたいなと思う、私の原風景です。

かとう ようこ

大人向けの「心の絵本」から始まり、児童書の創作活動へ。絵本制作を中心に、幼児雑誌のお話やイラスト、カレンダーやキャラクターの制作なども手がける。絵本作品に『ふらふらみつばち』(作/うえきまさのぶ)、『みんなでんしゃ』(作/薫くみこ以上ひさかたチャイルド)、『みてみて!』(ポプラ社)、『でっかいたまごとちっちゃいたまご』(作/上野与志 WAVE出版)、『チェリーひめのかくれんぼ』(教育画劇)、『コブタくんもうなかないで』(絵/みやにしたつや 金の星社)などがある。

『新 幼児と保育』2022年春号より

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