「国の配置基準『1対6』の意味は?」【保育マメマメQ&Hints! with 大豆生田啓友先生

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保育マメマメQ&Hints! 保育の悩み、立ち話 with 大豆生田啓友先生
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玉川大学教授

大豆生田啓友

大豆生田 答えはひとつじゃありません。ぼくの考えるいくつかの対応例をあげます。みんなで対話して、考えていきたいですね。

※リール動画撮影中の様子(写真左は小学館編集スタッフ) 公式Instagramで今回のテーマの動画(約90秒)が見られます。(←文字をタップorクリックしてください)

大豆生田啓友先生

玉川大学教授。保育・子育て支援系が専門。特に保育の質が研究のメインテーマ。著書に『日本が誇る! ていねいな保育』『日本版保育ドキュメンテーションのすすめ』(ともに共著・小学館)など多数。

保育は、子どもの生活に丸ごとかかわるお仕事。
そして、同僚や保護者との関係も複雑に交ざり合って、
なかなか個人の思ったとおりにはいきません。
「こんな場合、どうしたら?」
そんな現場の保育者が抱える悩みや疑問に対して、
大豆生田啓友先生から、考え方のヒントをいただきました。
これをもとに、仲間とぜひ話し合ってみてください。

国の配置基準「1対6」の意味は?

Q子

Q子 質問です。うちの園では、0歳児クラスの子が1歳の誕生日を迎えた次の月から、配置基準を1:3から1:6で預かる計算にしています。これは法令上、問題ないんですか? 

マメ先生

個別の誕生日で考える

マメ先生 児童福祉法の下に「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」という法令があるんです。

そこの第5章 第三十三条 2項に「保育士の数は、乳児おおむね三人につき一人以上」と書かれています。

乳児は「1歳未満の者」、すなわち、0歳児のこと。

こんなふうに、0歳児「クラス」がおおむね1対3ではなく、「0歳児」がおおむね1対3なので、0歳児が1歳になったら、国基準に関しては、1対6で対応することも可能なんですよ。

同様に、2歳児の1対6も3歳の誕生日を迎えた子がいると、その子は1対20の対応が可能に、3歳児の1対20も4歳の誕生日を迎えたら、1対30の対応が可能になります。

自治体によってばらつきあり

マメ先生 ただし、あくまでこれは国基準。

自分の園のある、自治体の条例ではどうなっているのかを調べてみてください。

自治体によっては、誕生日がきても、そのままの配置を変えてはいけない、としているところもあるかもしれません。

逆に、たとえば1歳児クラスを国基準の「1:6」ではなく、「1:5」とか、「1:4」とか、保育士の数を増やしている自治体もあります。

本来、こんな地域差が出ないよう、国で余裕をもった形に揃えるようにしていきたいですよね。

Q子 本当にそう思います。

保育者が不足していて、配置基準を上げても、今は保育者の数が確保できない可能性が高いですよね。

でも、給与をもっとあげたり、保育の質が落ちないような方法で、資格の多様性をあげることで、保育者の数が増えていってほしいと思ってます。

乳児保育の配置基準は優秀だけど

マメ先生 実は、乳児保育の1対3については、世界的に見ると、日本は優秀な部類に入るんです。韓国やイギリスも同様の1対3ですが、ニュージーランドやアメリカのニューヨークは1対5とか、日本より条件の悪い国が多い。そもそも規制がない国もあります。

それが、1歳児になると、日本は1対6なのに対し、韓国やニュージーランドは1対5になるようで日本の条件のほうが低くなります。

日本の保育者は優秀だからできる?

マメ先生 さらに、3歳児以上の配置基準についてはもう、日本は先進国では最低レベルといわれています。

このひどい配置基準で保育できているのは、「日本の保育者がいかに優秀か」ってことなんだけど。

Q子 そのような評価よりも、実(じつ)がほしいです(笑)。

人手不足を感じずに、穏やかに仕事がしたいですね。

それにしても、マメ先生って、やっぱ、研究者なんだなーって思いました。

マメ先生 そう、ぼく、研究者なんです。

このリール動画やってると、エンタメ性が高くて、ちょっと不安になってきますよ。

(編集部より:ご協力、いつもありがとうございます!)

今回のまじめなマメマメHints!

★この記事は、小学館『新 幼児と保育』公式Instagram(←こちらをタップorクリック!)でリール動画を配信した内容にweb版として加筆・再構成したものです。また、小学館の雑誌『新 幼児と保育』では、ほかのリール動画で配信した内容に加筆・再構成し掲載していますので、どうぞご覧ください。また、このコーナーへの質問、疑問も募集中です。下から投稿できます。

お話/大豆生田啓友(おおまめうだ ひろとも)先生
玉川大学教授。保育・子育て支援系が専門。特に保育の質が研究のメインテーマ。著書に『日本が誇る! ていねいな保育』『日本版保育ドキュメンテーションのすすめ』『子どもが対話する保育「サークルタイム」のすすめ』(ともに共著・小学館)など多数。

構成・イラスト/おおえだ けいこ

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