「パソコンが苦手で困っています」【保育マメマメQ&Hints! with 大豆生田啓友先生】
大豆生田 今回の質問は、「園の仕事にパソコンを使うようになったのですが、苦手で戸惑っています。どうしたらいいのでしょうか?」です。答えはひとつじゃありません。ぼくの考えるいくつかの対応例をあげます。みんなで対話して、考えていきたいですね。
※公式Instagramで今回のテーマの動画(約90秒)が見られます。(←文字をタップorクリックしてください)。右下は、リール動画撮影中の様子(写真左は小学館編集スタッフ)
大豆生田啓友先生
玉川大学教授。保育・子育て支援などが専門。特に保育の質の向上が研究のメインテーマ。著書に『日本が誇る! ていねいな保育』『日本版保育ドキュメンテーションのすすめ』(ともに共著・小学館)、『子どもが中心の「共主体」の保育へ』(監修・小学館)など多数。最新刊は、『保育の「ヘンな文化」そのままでいいんですか!?』(柴田愛子先生との対談集・小学館)。
保育は、子どもの生活に丸ごとかかわるお仕事。
そして、同僚や保護者との関係も複雑に交ざり合って、
なかなか個人の思ったとおりにはいきません。
「こんな場合、どうしたら?」
そんな現場の保育者が抱える悩みや疑問に対して、
大豆生田啓友先生から、考え方のヒントをいただきました。
これをもとに、仲間とぜひ話し合ってみてください。
Q織 50代の保育者です。仕事にパソコンが入ってきて、戸惑っています。そういうメカが、とにかく、苦手です。みんな忙しくて、任せることもできません。やはり自分のスキルを上げるしかないんでしょうか?
目次
パソコン使用は仕事の一部
マメ先生 年齢が上がるにつれて、パソコンなどを使い始めるのに抵抗感が高まることがわかっています。
でも、パソコンは今や保育の仕事の一部です。そういう時代です。やはり慣れていくしかないでしょうね。
であれば“それが得意な若手”に聞くのがいいと思いますよ。
ベテランだとプライドとか遠慮があって、後輩に聞きにくいこともあるけれど、自分の保育を伝えたり、代わってやれることを提案して、その代わりにパソコンを教えてもらう。そういうギブ&テイクの関係で考えたらどうでしょう。
若手に出番を作ることにもなって、彼らの自己有能感にもつながると思います。
一方的に教わるのではなく
マメ先生 Q織先生は、保育の中でどんなことが得意ですか?
Q織 得意といえるほどではないですが、植物の栽培や自然環境のことは少し詳しいかな…。
マメ先生 いいですね!
まず、Q織先生から「パソコンの指導をしてくれそうな人」にピンポイントで「お願いできませんか?」と打診してみます。
そのお返しに、Q織先生が詳しい栽培や自然環境のことを伝えさせてもらうか、あるいは「代わってやれることがあるならやるので」と条件を話してみるんです。
もし、「いいですよ」と言ってくれる人がいたら、どういうやり方、時間帯なら可能かを話し合います。
独学でやれないこともない
マメ先生 もし、パソコンの基本的な操作(キーボードのタイピング、ショートカットキーなど)からつまずいているのであれば、独学する手もあります。
「パソコン初心者」「入門」などでネット検索すれば、これは同僚からでなくても学べますね。
パソコン教室に通って、一から丁寧に教えてもらう手もあると思いますよ。保育の研修会に行くのと同じです。そういう自己投資の学びは、自信になりますよね。
園で教えてもらうのは、独学でもわからないところや、園で使っているアプリの操作法、フォーマットの効率的な入力方法などに絞る。そのほうが、時間的ロスは少ないでしょう。
園でデバイス使用の研修会を
マメ先生 実は、パソコンについては、若い人ほど不得意な人が増えているという報告もあるんです。今の若い人は、パソコンではなくスマホで何でもすましてしまうからですね。
スマホのフリック入力で卒論を書いたという強者もいるようですよ。
それを踏まえて今後のことを考えると、事業者は、スマホやタブレットで作れる記録のフォーマットの開発を急いだほうがいいかもしれない。
また、新人研修で、園でのパソコンやスマホの使い方の研修会をやったほうが、のちのちのタイムパフォーマンスアップが期待できそうです。
Q織 それが実現するなら、新人だけじゃなくて、私のように苦手な人も参加させてもらえたら助かります!
デバイスの技術は必ず上達する!
マメ先生 最近のデバイスは、以前に比べて音声入力ができるようになったり、アプリもユーザーインターフェイス(使い勝手)が飛躍的に向上してます。
パソコンなどの端末利用は、人によって進度が違っても、必ず誰でも上達します。毎日コツコツトライしてください。
中には「パソコンのおかげで、私の脳が若返ってる!」と、前向きに楽しみながら取り組んでいる人もいますよ。
Q織 ああ、嫌わずに、「私はパソコンを愛している」と気持ちを切り替わればいいんでしょうか。パソコンにあいさつしたり、なでたり、抱きしめたりして。
マメ先生 それ、まさに「保育者アプローチ」ですね(笑)。それが、パソコン初心者の世界基準となるように頑張ってください。
今回のマメマメヒント
★この記事は、小学館『新 幼児と保育』公式Instagram(←こちらをタップorクリック!)でリール動画を配信した内容にweb版として加筆・再構成したものです。また、小学館の雑誌『新 幼児と保育』では、ほかのリール動画で配信した内容に加筆・再構成し掲載していますので、どうぞご覧ください。また、このコーナーへの質問、疑問も募集中です。下から投稿できます。
お話/大豆生田啓友(おおまめうだ ひろとも)先生
玉川大学教授。保育・子育て支援などが専門。特に保育の質の向上が研究のメインテーマ。著書に『日本が誇る! ていねいな保育』『日本版保育ドキュメンテーションのすすめ』『子どもが対話する保育「サークルタイム」のすすめ』(ともに共著・小学館)、『子どもが中心の「共主体」の保育へ』(監修・小学館)、『保育の「ヘンな文化」そのままでいいんですか!?』(共著・小学館)など多数。
構成・イラスト/おおえだ けいこ
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