アジサイとドクダミの不思議~五感で楽しむ6月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#25】
プロ・ナチュラリストのささき隊長と一緒に、「園庭いきものマップ」を作りながら、季節の自然を観察しましょう。見つけた生き物や草花を記録していくと、園庭(公園)はやがて“生きた図鑑”に。そして、その発見は、触れてみる、比べてみる、まねしてみるなど、さまざまな自然遊びへと広がっていきます。
今回は、梅雨の庭を彩るアジサイと、その陰でひっそり咲くドクダミに目を向けて見ました。
ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)

目次
自然遊び:見る! 触る! アジサイとドクダミの不思議
ささき隊長 こんにちは、ささき隊長です!
雨の日が続く時期、園庭を彩る植物といえば、やっぱりアジサイ。
そして、今回はアジサイのそばに咲いているもうひとつの植物にも目を向けてみましょう。
そう、ドクダミです。
実は、このふたつの植物、知れば知るほどおもしろいんです。
アジサイはなぜ色が変わる?|土のアルカリ性・酸性の不思議


アジサイが一番きれいに見えるのは、実は雨の日です。
水滴をまとった花びら——もとい、がく(萼)——が、しっとりと輝く。
梅雨とアジサイは、切っても切れない組み合わせですよね。
さて、同じアジサイなのに、青いものやピンクのもの、紫のものがあります。
あの色の違い、何だと思いますか?
答えは、土の性質です。
土が酸性だと青っぽくなり、アルカリ性だとピンクに近くなります。
おもしろいのは、同じ株でも、根っこが張っている場所によって土の性質が微妙に違うことがあって、1本のアジサイで、こちらの花は青、あちらの花はピンク、なんてことも起きるんですよ。
また、品種によっては咲き進むにつれて色が変わっていくものもあります。
「ゆっくり色が変わっていく」ことに気づいた子どもがいたら、「よく気がついたね!」と、ほめてあげてください。
園庭いきものマップで経過を追うと、その変化がよくわかると思います。
アジサイには毒がある!|虫を飼育するなら、近づけないで
実は、アジサイには毒があります。
虫に食べられないように、自分を守っているんです。
だからカタツムリは、アジサイにあまりいません(#21でお話したとおりです)。
保育の現場で注意してほしいのは、アジサイの葉っぱをままごとに使わないこと。子どもが口にしないよう気をつけること。
それから、もし教室でカタツムリを飼うなら、アジサイは入れないようにしてください。
「雨といえばアジサイとカタツムリ」というイメージで、
カタツムリの飼育ケースにアジサイの葉を入れてしまうケース(!)が実際にあるので、ご注意を。
「ドクダミ」という名前で損をしている植物|実は、万能薬草
さて、次はドクダミです。

「ドク(毒)」という字が入っているせいで、なんとなく危険なイメージを持たれがちですが、
ドクダミは毒どころか、昔から重宝されてきた薬草なんですよ。
「ドクダミ」の語源は、「毒痛み」——毒にも痛みにも効く、という意味です。
飲んでよし、塗ってよし。
お茶にしても、虫刺されに貼っても使える、万能薬草。
生薬としては十薬(じゅうやく)と呼ばれているほどなんです。
効き目がありそうですよね。
それなのに、一般的には「ドクダミ」で名が通っているため、名前で損をしている代表格ですね(笑)。
ドクダミが園庭に生えてきたら、「お薬になる草が生えてきた!」と、子どもたちに教えてあげてください。
ドクダミの花は何色?|「白い花」と答えた人は…惜しい!
ここでクイズです。
ドクダミの花は何色でしょうか?
「白!」と答えた人——残念! 惜しい!
実は、あの白いヒラヒラは「花びら」ではなく、「苞(ほう)」といいます。
本当の花は、真ん中の黄色いつぶつぶした棒状の部分。
つまり、ドクダミの花の色は「黄色」が正解です。
ちなみに、白い苞は普通4枚ですが、真上から見ると大きさが不揃いなのに気づきますか?
これはつぼみのころ、黄色い花の部分をくるくるとくるんでいた順番の名残なんです。
一番外側にいたものが一番大きく、一番内側にいたものが一番小さい。
植物って、細かいところまでよく見ると、興味深い物語が隠されているんですね。

「6月が好き」と言えるように|雨の日の自然観察のすすめ
実は僕、6月が好きなんです。
雨が降っているし、フィールドワークには不向きで、なんとなく地味な月に見えますが、カタツムリ、バナナムシ、アジサイ、ドクダミ……。
この時期にしか出会えない生き物や植物がたくさんいます。
雨の日だからこそ出てくる生き物がいる。
雨の日だからこそ美しく見える植物がある。
「雨だから外に出られない」ではなく、
「雨だからこそ、外に出ようぜ!」
「イェーイ!」
——子どもたちや先生方にとっても、そんなロックな6月になりますように(笑)。
おまけの雑学:アジサイのメガネ
雨に濡れて、きれいに咲いているアジサイ。
あの「花びら」に見えるヒラヒラ、実は花びらではありません。
アジサイのメガネをかけると……
あのヒラヒラは「がく(萼)」。本当の花は、真ん中の小さなつぶつぶです。
つまり、私たちが「きれいだな」と思って見ているのは、
花ではなく、花を引き立てるための「飾り」だったんですね。
しかも、この飾り(がく)が色を変えるのは、土の酸性・アルカリ性を反映しているから。
アジサイは、自分が根を張る土の性質を、色で表現しているアーティストなんです。

次回は「7月の園庭」へ。夏の生き物たちが主役になります!
文/神﨑典子 写真/神﨑典子、編集部、photoAC
佐々木 洋(ささき隊長)
ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。『どうぶつのないしょ話』『生きものハイウェイ』(ともに雷鳥社)、『新 都市動物たちの事件簿』(時事通信社)など著書多数。

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