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夏の主役はやっぱりセミ!〈後編〉~五感で楽しむ7月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#28】

連載
ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!

プロ・ナチュラリスト

佐々木洋

プロ・ナチュラリストのささき隊長と一緒に、「園庭いきものマップ」を作りながら、季節の自然を観察しましょう。見つけた生き物や草花を記録していくと、園庭(公園)はやがて“生きた図鑑”に。そして、その発見は、触れてみる、比べてみる、まねしてみるなど、さまざまな自然遊びへと広がっていきます。

今回は前回に続き、夏の主役ともいえる「セミ」に注目する後編。知っているようで知らない、その秘密をお届けします!

ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)

羽化したばかりのセミ。撮影/佐々木 洋

日本はセミ王国! 園庭の木の数だけ、セミが来る 

ささき隊長 こんにちは、ささき隊長です!

ここで、ちょっと誇らしい話をしましょう。

日本は、世界でも類を見ない「セミ王国」なんです。

北海道から沖縄まで、なんと30種類以上のセミが生息しています。

一方、『ファーブル昆虫記』で有名なフランスを含む広いヨーロッパ全体でも、数種類しかいないと言われています。

南フランスなどの暖かい地方にしかいないセミが、日本では列島全体に30種以上いる——日本がいかに豊かな自然を持っているかがわかりますよね。

その理由が、「木の種類と森のタイプが多いから」なんです。

日本は植物の種類が多く、針葉樹林・広葉樹林・混合林……さまざまな森が共存しています。

セミはそれぞれ好みの木があって、その多様さが「セミ王国」を生んでいるんです。

そしてこれ、実は園庭にも当てはまります。

どんな都会の幼稚園・保育園でも、ひと夏じっくり聞いていると、3~4種類のセミの声が聞こえてくるものなんです。

ニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ……そして夏の終わりにはツクツクホウシ。

いろんな木が植わっている園庭ほど、いろんなセミがやってくる。

「今年はどんなセミが来るかな?」

ワクワクしながら子どもたちと一緒に探してみると、園庭いきものマップがさらに豊かになっていきますよ!

ちなみに、ニイニイゼミはケヤキやソメイヨシノが特に好きです。

園庭にこの木があったら、夏の始まりを知らせる「ニイニイニイ……」と言う声が、聞こえてくるかも。

セミの初鳴きを聞くと、いつだって「ニイっと」笑ってしまう、隊長なのでした(笑)。

撮影/佐々木 洋

ささき隊長の質問ドンとコイ!

Q 「セミが鳴くのはオスだけ」なのは、なぜですか?
A 答えは「愛するメスを呼ぶため」です。

セミのオスは、メスを呼ぶために鳴きます。

おもしろいのは、その鳴き声が種類ごとにぜんぜん違うこと。

ニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ……それぞれ聞き間違えることのない、個性的な声を持っています。

クマゼミのオスの腹。オレンジの部分(腹弁)を使って、音(鳴き声)を出している。撮影/佐々木 洋

これはそれぞれの「言語」のようなもので、同じ種類のメスにしか届かないんです。

だから、ニイニイゼミのオスが鳴いても、アブラゼミのメスは振り向かない(笑)。

そういえば、あの有名な俳句——松尾芭蕉の「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」に出てくるセミは何ゼミか、ご存じですか?

じつは長い間、「アブラゼミ説」と「ニイニイゼミ説」で文学論争が続いていたんです。

アブラゼミ説を唱えたのが斎藤茂吉(歌人、精神科医)、ニイニイゼミ説を唱えたのが小宮豊隆(文芸評論家)。

この論争は、芭蕉がその俳句を詠んだ山形県の山寺(立石寺)に実際に行って確かめる、という方法で決着がつきました。

現地で鳴いていたのはニイニイゼミだったということで、ニイニイゼミ説が有力となったんです。

「現場で決着」というのが、なんともいいですよね(笑)。

ただ、今の時代に同じ場所に行ったら、クマゼミが鳴いているかもしれません。なぜなら気候が変わってきていて、自然の条件が同じではなくなっているから……。

機会があったら、足を運んで確かめてみたい案件です。

次回#29は、園庭でよく目にするカマキリとバッタの子どもたちに注目します。

「まだ子ども? もう大人?」——羽を見ればわかる、意外な見分け方をお伝えします!

文/神﨑典子 写真/佐々木 洋、photoAC  

佐々木 洋ささき隊長)

ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。『どうぶつのないしょ話』『生きものハイウェイ』(ともに雷鳥社)、『新 都市動物たちの事件簿』(時事通信社)など著書多数。

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