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五感で楽しむ春夏秋冬~8月の園庭いきものマップから【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#31】

連載
ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!

プロ・ナチュラリスト

佐々木洋

プロ・ナチュラリストのささき隊長と一緒に、「園庭いきものマップ」を作りながら、季節の自然を観察しましょう。見つけた生き物や草花を記録していくと、園庭(公園)はやがて“生きた図鑑”に。そして、その発見は、触れてみる、比べてみる、まねしてみるなど、さまざまな自然遊びへと広がっていきます。

気温と湿度が高くなる8月は、生き物が最も元気に活動する季節。園庭マップにも、虫や動物、さまざまな植物が記録されていました。今回はそのマップにもある「セミの抜け殻」に注目しましょう。

ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)

練馬区立北大泉幼稚園(東京・練馬区)の8月の園庭いきものマップ。

セミの抜け殻のひみつ  

ささき隊長 こんにちは、ささき隊長です。

8月の園庭いきものマップは、とてもにぎやかです。

さまざまな植物のほか、虫や小動物を待ち受ける「バナナトラップ」に「ライトトラップ」「あしあとトラップ」など、工夫もいっぱい。トラップを確認するときの子どもたちの歓声まで聞こえてきそうで、とてもうれしいです。

さて、元気に動き回る虫がたくさんいる夏ですが、この時期は、あちこちにセミの抜け殻もたくさん見つかります。今回は、その「セミの抜け殻」に注目してみることにしましょう。

セミの抜け殻って、じつは自然観察の入り口として、とても優秀なアイテムなんです。

北大泉幼稚園の園庭で見つけた抜け殻。

虫が苦手な子も、抜け殻なら触れるかも⁉

「虫はちょっと……」という子どもたちでも、セミの抜け殻なら触れることが多いんです。

なぜって、動かないから(笑)。

生きていないし、柔らかくもないし、ぐにゃっともしない。

「これ、本当にセミだったの?」という不思議さから、自然と手が伸びていくんですよね。

虫が苦手な子どもの自然体験の第一歩として、抜け殻集めはとてもおすすめです。

虫が苦手な先生も、抜け殻なら「いける!」という方も多いんじゃないでしょうか(笑)。

「こんなところに!」——抜け殻はどこについている?

抜け殻を見つけたら、採る前にまず「どこについているか」を観察してみてください。

セミの抜け殻は木の幹にあるというイメージがありますよね。

でも実際には、木じゃないところにもついているんです。

園舎の壁、しばらく使っていない自転車のタイヤ、置いてある箱の側面……。

要するに「体を固定できるところ」なら、どこでも脱皮しているんです。

だから抜け殻を探すときは、木ばかりじゃなく壁や建物のまわりも要チェック。

「あれ、こんなところに!」という驚きの発見がありますよ。

また、必ずしも高いところとは限りません。

低い場所にいくつもまとまってついていることもあって、どういうわけかある特定の葉っぱの裏に集中していることもあるんです。

「ここ、人気スポットだ!」なんて(笑)。

何がその場所を選ばせているのかは、まだよくわかっていないのですが……。

写真/photoAC

「なぜ落ちないのか」を、体で感じてみよう

抜け殻が見つかったら、ぜひ自分の服につけてみてください。

ポコッとくっつきますよ。

セミのブローチ。自分の服がセミだらけ——子どもたちは歓喜です(笑)。

ただ、つるつるした素材にはつきにくい。

トレーナーのような少し毛羽立った素材にはしっかりくっつくのに、つるつるのナイロンなどにはつきにくい。

「なんでだろう?」——ここで考えてみてほしいんです。

じつは、セミの前足の先が刺さるような仕組みになっていて、それでしっかり固定しているんです。

タオルにもくっつく!

脱皮するときは、全身でぐいっと抜け出してくるわけですから、その間に落ちたら大変ですよね。

だから、「絶対に落ちないようにする」ための仕組みが備わっているんです。

「風が吹いても落ちなかったんだね」

「雨が降っても落ちなかったんだね」

服につけてみた感触から、そんな話につなげていくと、子どもたちの目の輝きが、きっと変わりますよ。

8月の園庭いきものリスト

練馬区立北大泉幼稚園の8月(2025年)の「園庭いきものマップ」に登場したのは、こんな生き物たちです。

今月のマップには、先生方の工夫がぎっしり詰まっていました。

生き物たちを「待ち受ける」仕掛けがあちこちに!

  • セミの抜け殻…「むしたちがだいすきなにおいとあじ」というコメントが添えられていました。よく観察していますね。抜け殻がたくさんついている木は、セミたちが好む樹液のにおいがするんです。どの木に多いか、比べてみるとおもしろいですよ。また、抜け殻の形でセミの種類を調べることもできます。ニイニイゼミの抜け殻は小さくて泥つき、アブラゼミやミンミンゼミはひとまわり大きくてきれいな形をしています。
  • バナナトラップ…発酵させたバナナを木に塗って、甲虫類を呼び寄せる仕掛けです。カブトムシやクワガタムシが好む樹液の甘い香りに似せているんですね。仕掛けた翌朝が楽しみになる、夏の定番トラップです。
  • あしあとトラップ(たぬきがきたよ‼)…砂や土の上に足跡を残させる仕掛けで、「タヌキが来た!」という大発見につながりましたね。都市部の園庭にもタヌキはひっそりやってくるものです。夜の訪問者を「見えない形で記録する」観察のアイデアです。
  • ライトトラップ(ごみむし・すすめが)…夜間に白いシートにライトを当てて、光に集まる虫を観察するトラップ。ゴミムシやスズメガが来たんですね。夜行性の虫たちとの出会いは、子どもたちにとって特別な体験になります。
  • ネムノキ(はをとじてねむっているね)…7月に引き続き登場。夜になると葉っぱが閉じる様子を、ちゃんと観察していたんですね。夜の園庭探検で確認できた記録でしょうか。
  • ミンミンゼミ(めすはなかないよ)…前回のセミの話をしっかり覚えていてくれましたね! 「鳴くのはオスだけ」というのを子どもたちと確かめたのでしょうか。
  • カタバミ(よるになるとはをとじるよ)…ネムノキと同じく、カタバミも夜になると葉を閉じる植物です。小さなクローバーのような葉っぱが、夕方にはきゅっと折りたたまれます。
  • オシロイバナ(いいにおいがするよ)…夕方から咲き始めるオシロイバナ。においの報告もありました。
  • トウモロコシ…トウモロコシを「ぽっぷこーん」と呼んでいるんですね(笑)。
  • アサガオ(おおきくなってた。かたいよ)…夏の定番・アサガオ。大輪の花が開きました。きれいですね。

次回#32は、8月の園庭に現れる「赤トンボ」に注目します。

「赤トンボかな?」と思ったら、じつは違う種類のトンボかもしれません。

毎年お盆のころに集団でやってくる、「渡りトンボ」の話をお伝えします!

文・写真/神﨑典子 写真/神﨑典子、編集部、photoAC

佐々木 洋ささき隊長)

ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。『どうぶつのないしょ話』『生きものハイウェイ』(ともに雷鳥社)、『新 都市動物たちの事件簿』(時事通信社)など著書多数。

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