五感で楽しむ春夏秋冬~7月の園庭いきものマップから【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#26】
プロ・ナチュラリストのささき隊長と一緒に、「園庭いきものマップ」を作りながら、季節の自然を観察しましょう。見つけた生き物(や草花)を記録していくと、園庭(公園)はやがて“生きた図鑑”に。そして、その発見は、触れてみる、比べてみる、まねしてみるなど、さまざまな自然遊びへと広がっていきます。
今回は7月の「園庭いきものマップ」(練馬区立北大泉幼稚園)をご紹介します。7月は昆虫のオンシーズン! 夏の園庭は、ますますにぎやかになります。
ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)

目次
梅雨が明けると、夏本番がスタート!
ささき隊長 こんにちは、ささき隊長です。
雨の季節が過ぎると、いよいよ本格的な夏が始まります。
草花も咲いているし、木の実も育っているんですが、やっぱりこの季節の主役はなんといっても「虫」ですよね。
子どもたちの大好きな虫が大活躍する、まさに虫のオンシーズンです。
7月10日ごろになると、東京23区内でもセミが少しずつ鳴き始めます。
そして20日ごろには本格的に鳴いてくるんですね。
セミ、チョウ、トンボ、カブトムシの仲間……。
園庭でも、いろんな生き物が次々と姿を見せてくれます。
大きく分けると、場所によって見られる生き物が変わってきますよ。
池があればトンボが飛んでくるし、木立があればセミが鳴いて、コガネムシがやってくる。
花壇があればいろんなチョウチョウが集まってきます。
子どもたちが園に来るなり、もうずっと虫を追っかけている——そんな毎日が始まります。

植物たちが見せる、昼の顔と夕方の顔ってなに?
さて、今回の園庭いきものマップに「ネムノキ」が記録されていましたね。
幼稚園や保育園の園庭に、ネムノキは割と多く植えられています。
ネムノキの性質って、名前からなんとなく想像できませんか?
そう、夜になると葉っぱが閉じるんです。
昼間は葉っぱが開いているんですけど、夕方から夜にかけて、半分に折れたようにパタンと閉じて、まさに眠っているような感じになるんですよね。

夕涼み会など、夕方に外に出る機会があったら、ぜひネムノキの葉っぱを見てみてください。
昼間と夕方で葉の様子がぜんぜん違うのがわかりますよ。
「なんで葉っぱが閉じてるの?」って子どもたちに聞いてみると、みんなどんなことを言うかな? 楽しみですね。
夏の盛りには桜でんぶのようなふわふわしたピンクの花が咲いて、それもとてもきれいなんですが、このネムノキの花にはいろんな種類のチョウチョウが集まってきます。
ネムノキの花を見ると「ああ、夏だなあ」って思いますね。個人的にとても好きな木です(笑)。

一方で、「オシロイバナ」はどうでしょう。
どの園庭でも大概植わっていますし、みなさんも子どものころ、種を集めたりしませんでしたか?
じつはオシロイバナ、ほとんどの子どもたちが「咲いた花」を見たことがないんですよ。
なぜかというと、オシロイバナは夕方薄暗くなってから咲き始める花だからです。

幼稚園では子どもたちが早く帰ってしまうことが多いので、つぼみしか見ていません。保育園の子どもたちは、もしかしたら帰りの時間に見ているかもしれませんね。

オシロイバナは、黄色かったりショッキングピンクだったり、ハーフアンドハーフだったり、色もさまざまで、咲くととてもきれいです。
つまり、オシロイバナのある花壇は、夜だけ営業の「昆虫レストラン」というわけです(笑)。
もうひとつ、オシロイバナが咲くと、なんとも言えない甘い香りがするんです。コンビニで売っているかき氷のシロップ——あの甘いような香りにそっくりなんですよ!
咲いているときに近くを通ると、その香りがふわっとします。
夕涼み会などで夜の園庭を探検する機会があれば、この香りをぜひ嗅いでみてくださいね。
7月の園庭いきものリスト
練馬区立北大泉幼稚園の7月(2025年)の「園庭いきものマップ」に登場したのは、こんな生き物たちです。

- カマキリのたまご…カマキリは卵(卵鞘=らんしょう)の形で冬を越し、初夏に孵化(ふか)します。7月にこれが残っていたなら、中はもう空っぽのはず。「中から赤ちゃんが生まれたんだよ」と子どもたちに伝えてあげてください。よく見ると、小さな穴がたくさんあいているのがわかります。
- ネムノキ…桜でんぶのようなふわふわとしたピンクの花が咲く夏の木。昼間に開いていた葉が、夕方になるとパタンと折れたようになります。また、ネムノキの花にはいろんな種類のチョウチョウが集まってきますよ。
- 木の蜜…木の幹からにじみ出た樹液のこと。コクワガタやカブトムシ、カナブン、クワガタムシが集まるごちそうです。木の根元や幹をそっとのぞいてみると、虫が来ているかも!?
- キバナコスモス…鮮やかな黄色・オレンジ色の花が夏から秋にかけて咲きます。チョウチョウやミツバチがよく訪れる花。
- オシロイバナ…どの園庭にもよく植わっているおなじみの花ですが、夕方薄暗くなってから咲き始め、朝にはしぼんでしまう「夜に咲く花」。名前の由来は、種の中に白い粉があるから。
- ニンジンの花…白い小さな花が傘のように広がる「セリ科」の花の仲間。
- フジの実…春に美しい紫の花を咲かせた藤。花が終わった今は、サヤエンドウの親分のような平たい実がぶら下がっています。「豆みたい!」という発見はまさに正解で、フジはマメ科の植物です。
次回#27は、7月の園庭に響く「セミの初鳴き」についてお届けします。
セミのオスだけが鳴く理由や、セミにまつわる意外な事実など、たっぷりお伝えしますよ!
文・写真/神﨑典子
佐々木 洋(ささき隊長)
ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。『どうぶつのないしょ話』『生きものハイウェイ』(ともに雷鳥社)、『新 都市動物たちの事件簿』(時事通信社)など著書多数。

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