アトピー性皮膚炎・就学前の予防接種【園で気になる子どもの病気 #7】
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監修
澁谷紀子 先生
総合母子保健センター愛育クリニック 院長兼母子保健科部長。小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。
目次
アトピー性皮膚炎
【おもな症と原因】塗り薬は医師の指示どおりに使う
おもな症状は、かゆみのある湿疹。よくなったり悪くなったりしながら、長期間(2歳未満の乳児期なら2か月、それ以上は6か月以上が目安)症状が続きます。乳児期の場合、顔から湿疹が出はじめ、耳たぶのまわりや首、体や手足へと広がっていきます。体や手足の湿疹は左右対称に現れることが多く、湿疹ができた部位は、肌がジクジクしたりカサついたりします。発症には、肌が乾燥しやすい体質や環境が影響していると考えられています。
【薬の正しい使い方】塗り薬は医師の指示どおりに使う
塗り薬は、医師の指示に従って適量を使います。ステロイドの副作用を心配する人もいますが、皮膚から吸収される塗り薬の場合、ホルモンの異常など深刻な副作用が出ることはほぼありません。塗る量が不十分だと治療が長引き、結果的に薬の使用量が増えてしまいます。
体が温まるとかゆみが強くなるので、入浴はぬるめのお湯で。石けん類は低刺激のものを選び、よく泡立ててから、手のひらで肌をなでるように洗います。お風呂上がりに体を拭いたら、すぐに指示された薬や保湿剤を塗りましょう。
【治療の基本】炎症を抑える塗り薬&保湿が基本
病院でアトピー性皮膚炎と診断されると、多くの場合、炎症を抑えるステロイド軟膏や肌のうるおいを保つ保湿剤が処方されます。治療のポイントは、早い段階で炎症を治し、肌のバリア機能を回復させることです。肌が健康な状態になれば、薬の量を減らしたり、保湿だけで症状を抑えたりすることもできるようになります。
幼い子どもの場合、アトピー性皮膚炎などで皮膚が傷ついていることが食物アレルギーの原因になる場合もあるので、早くきちんと治すことが大切です。
【予防のためにできること】肌の乾燥を防ぎ、刺激を避ける
肌の乾燥は、アトピー性皮膚炎の原因のひとつ。子どもの肌は乾燥しやすいので、症状が落ち着いているときも保湿ケアは欠かさないようにします。湿疹が出ているときは、肌を刺激する素材の服を避け、体温が上がってかゆみが増すのを防ぐため、着せすぎや室温の上げすぎに注意します。肌をかきこわさないよう、爪が伸びていないこともこまめに確認しましょう。
就学前の予防接種
多くのワクチンは、予防効果を高めるため、適切な間隔で複数回の接種が必要です。ワクチンの予防効果は100%ではありませんが、接種しておくと、かかった場合も重症化しにくくなります。子どもを守るため、確実にワクチン接種を!
【ワクチンの意義】かかると重症化しやすい病気を防ぐ
ワクチンは、乳幼児期にかかると重症化しやすい病気を予防するためのもの。それぞれの病気にかかりやすい年齢に達する前に受けることが大切ですが、確実に効果を出すためには、複数回の接種が必要なものがほとんどです。
小学校入学前に受けるものもあるので、4歳児クラスから5歳児クラスに進級するタイミングで接種歴を丁寧に確認しておきましょう。
【ワクチンの接種漏れがあったとき】推奨されている時期を過ぎても受けられる
ワクチンは推奨されている時期に受けるのが理想ですが、一部のものを除いて、その時期を逃しても受けることができます。ただしワクチンの種類によって定期接種(原則として無料で受けられるもの)扱いとなる期間が決められており、それを逃すと任意接種(原則として費用は自己負担)となります。
また、ヒブ(Hib)ワクチン、肺炎球菌ワクチン、BCGについては、年齢が上がると発病・重症化する確率が下がるので、年長児であれば接種する必要はありません。また、乳幼児期の4回接種だけでは免疫が維持できない可能性があるため、百日ぜき、ポリオについては5回目の接種がすすめられています。
4歳〜5歳児にかかわるワクチンの接種時期の目安
【接種スケジュール】複数のものを同時に接種してもOK
ワクチンは、複数のものを同じ日に接種する「同時接種」が可能です。1種類につき1回の注射(または服用)が必要ですが、病院へ行く回数が減るため、接種漏れの防止にもつながります。同時接種しても有効性は変わらず、副反応に影響を及ぼすこともありません。
文/野口久美子
イラスト/河合美波
『新 幼児と保育』2020年2/3月号より
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