高林麻里さん「私の子ども時代」【表紙絵本館】
『新 幼児と保育』は、毎号絵本作家さんの描きおろしの絵が表紙となっています。表紙を飾った絵本作家さんの幼年期のエッセイを紹介していきます。今回は、高林麻里さんです。
目次
私の子ども時代
私が子どもだった1960年代、私は東京・江戸川区の社宅に住んでいた。同じ社宅に住んでいる子どもたちと、空き地で陣地取り、ゴム跳び、縄跳び、だるまさんがころんだなど、日が暮れるまで遊んだ。
また週に何回か紙芝居屋さんがやってきて、そのたびに社宅中の子どもが全員集まった。母に20円もらってソースせんべいや水飴を買い、紙芝居を見るのが大きな楽しみだった。
家の中では お手玉、おはじき、人形遊びといろいろしたが、私は、紙の着せ替え人形を作るのが大好きだった。色鉛筆でスリップを着た女の子を描いて切り取った紙の人形とたくさんの着せ替え用の洋服を作った。それをビスケットが入っていたきれいな箱に入れて取っておいたけれど、何かのときに捨ててしまったのだろう。どんな人形や洋服だったのかまったく覚えていない。今になって、写真に撮っておいておけば…と残念に思っている。
もう少し大きくなってからは、少女漫画を描くのに夢中になった。大人になったら漫画家になりたいと思った。だけど、張りきって描きはじめるのだが、1ページ目で次に何を描いていいかわからず挫折してしまうことが多く、そのうち漫画を描くのはやめてしまった。
でも常に絵を描いていた子ども時代だ。
高林麻里(たかばやし まり)
1960 年東京都生まれ。1990 年からニューヨーク在住。絵本作品は、『おひさまあかちゃん』(主婦の友社)、『おたすけやたこおばさん』(偕成社)、『ニューヨークからのおいしい手紙』(ポプラ社)、『おかえりなさいアレックス』(講談社)など多数。アメリカでも『I Live in Tokyo』『I Live in Brooklyn』(Houghton Miffl in Harcourt 社)などの絵本を出版している。
『新 幼児と保育』2019年10/11月号より
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