ビッグブックを読もう!【児玉ひろ美のこだま文庫】
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- 児玉ひろ美の絵本ガイド
ここは、みなさんの記憶の隅にある懐かしい1冊や気になりながらも読まないままの1冊、そんな本に再び出会うためのオンライン図書館です。今回は特別編として「ビッグブック」をご紹介。最近はその作品数も増えてきて絵本選びの幅が広がっています。特別な日の読み聞かせに活用してみませんか?
児玉ひろ美さん
公立図書館司書とJPIC(ジェイピック:一般社団法人出版文化産業振興財団)読書アドバイザーのふたつの立場から子どもの読書推進活動を展開。お話会の実践のほか、近年は大学にて「児童文化」「絵本論」の講義を担当。「2021・2022・2023年度ブックスタート赤ちゃん絵本選考委員」。著作に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)などがあり、雑誌やWEBでも活躍中。
目次
ビッグブックを読むときのポイント
ビッグブック(大型絵本)とは、その名の通り一辺の長さが概ね30㎝以上の大判の絵本のことで、ページを開くと左右で1メートル以上になるものもあります。通常版の絵本と内容は同じですが、大きい分だけ見やすく、特別な日や、広い場所での読み聞かせにはぴったり。作品数は限られるものの、最近は驚くほど種類も豊富で、ロングセラー絵本の大型版もたくさんあります。高価ですが、貸し出しをしている公共図書館も多くなりましたので、利用方法などを地域の図書館に相談してみるとよいでしょう。配送をお願いできる場合もあります。
専用のスタンドを用いればひとりでも読むことはできますが、大きさと重量があるので、基本的にはふたり(読み手と補助者)で読むことをおすすめします。ページをめくるタイミングが大切ですから、事前にしっかり練習をしましょう。
アドバイス
ビックブックと通常版を併用
読み手が通常版の絵本を手にして読みビッグブックをほかの人が扱う場合は、子どもの視線が迷わないよう、読み手とビッグブックは近い位置で、子どもの視野に一緒に入るようにするのがコツです。
通常サイズの絵本も用意
ビッグブックを読むときには必ず通常版の絵本も見せて「皆さんが読みたいときには、この絵本があります」と、子どもがあとでも読めるよう、紹介しましょう。
読む前とあとの管理もしっかり
数冊続けて読むおはなし会などでは、ほかの絵本を読んでいる間に、ビッグブックが倒れる、台から落ちるなどで子どもがケガをすることのないよう、置き場所に気をつけましょう。読み終えたあとは、子どもが興味を持ち、さわりたがります。補助者の方に管理をお願いするなど、役割分担を明確にしておくとよいでしょう。
大きいとより楽しい! 季節の行事に読みたい大型絵本&読み方アドバイス
夏
『ビッグブック なつのいちにち』
暑い夏の日、ぼくはクワガタをとりに山へ走った。「きょうはぜったいつかまえる。ぼくがひとりでつかまえる」。強い日差し、ぬけるような青空、緑のうみ、大きな牛、そしてクワガタ! 木の幹にクワガタを見つけるシーンでは、補助者がさりげなく指さしを。
秋
『ビッグブック パパ、お月さまとって!』
モニカのために、パパは、はしごをかけてお月さまをとることに。ご存じの方も多い仕掛け絵本です。仕掛けが、左右に、片面縦に、見開き上下に、片面下にと、大きく開きますので、絵本を置く位置に工夫して読み聞かせの練習をしてください。ふたりでは難しい場合は応援を頼み3人で。
『りんごがドスーン(大型絵本)』
大きなりんごが降ってきて、アリやモグラに始まり、キリンやゾウまでやってきて、もぐもぐ、ちゅうちゅう、むしゃむしゃ、ぱりぽりばりばり、「ごちそうさま」。大きな画面に並ぶ、おなかいっぱいの動物たち。ビッグブックならでは! の満足感を楽しめます。
冬
『大型絵本 I SPY 3 ミッケ! クリスマス』
大人気のミッケシリーズのクリスマスバージョン。行事でゲームにするもよし、ディスプレイのひとつとして飾って、全部で13見開きを毎日1見開きずつ13日間楽しむもよし。このビッグブックがあるだけで、お部屋が一気にクリスマスムードになります。
『『大型絵本 ウクライナ民話 てぶくろ』
もう、だれもが知っているロングセラー絵本のビッグブック。より鮮明な色彩が再現されました。すでに通常版で毎年、何回もお読みの方も多いことでしょう。でも、サイズが大きければ、間の取り方も、めくるタイミングも変わります。過信せず、必ず練習を!
春
『大型絵本 そらまめくんのぼくのいちにち』
大人気「そらまめくんシリーズ」のビッグブック。そらまめくんが仲間たちと春の野で過ごす一日が丁寧に描かれています。横長なので、16ページの解説のとおり、タイトルを読み上げてから本の位置をずらし、綴じの部分が子どもたちの中心に来るよう、心がけましょう。
『大きな絵本 まーだだよ』
子ブタくんがお母さんとかくれんぼ。春らしいおおらかな印象の作品です。アニメのような声など、特別な演出は必要がありません。通常の読み聞かせより少し声を張り、「もう いいかい?」「まーだだよ」は、伸びやかに、歌うよう
に読んでください。
いつでも
イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ニワトリ……次々増えてゆく動物たちの鳴き声がつみあげうたのような楽しさの絵本です。春に入園した0歳児さんも、これなら一緒に遊べそう。見開き左右で鳴き声と絵の位置が一致しています。指さしをしながら読むとよいでしょう。
『大型絵本 サンドイッチ サンドイッチ』
食べ物の絵本は、みんなを幸せな気持ちにしてくれます。新年度の始まりの緊張のなか、こんな絵本を読んでもらえたら、きっとうれしい。リズムのよい文章は明るく軽やかに、読んでください。通年大活躍の1冊ですが、野菜がおいしくなる季節にぜひ。
イラスト/奥 まほみ
『新 幼児と保育』2020年8/9月号より
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