カタツムリのひみつ、教えます【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#3】
ささき隊長 こんにちは。ささき隊長です。これからみなさんと一緒に、自然の世界へ冒険の旅に出かけたいと思っています。持ち物は、「おもしろそう!」「これ、なんだ?」「わー、不思議だな」という好奇心のみ。さあ、準備はいいですか?
雨が多くなる季節。そんな梅雨の季節によく見かける生き物といえば、カタツムリですよね。でも、みなさんはカタツムリについてどれくらい知っていますか? 今日は、カタツムリのひみつをたくさんお伝えします。
ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)
目次
左巻きのカタツムリを見つけたら、ラッキー!
まず、カタツムリには右巻きと左巻きがあるのをご存じですか? カタツムリを手に取って、殻の穴が自分に向くようにして見てみましょう。穴が右側にあれば右巻き、左側にあれば左巻きなんです。右巻きのカタツムリはたくさんいますが、左巻きのカタツムリは少ないので、見つけたらラッキーですよ!
では、カタツムリの触角についてクイズです。触角は何本あるでしょうか?
「2本!」と思った人が多いかもしれませんが、実は4本あります。長い2本の触角は目がついていて、短い2本の触角はにおいや味を感じるためのものです。カタツムリを見つけたら、よーく観察して、カタツムリの触角を数えてみてください。
たまに、カタツムリはヤドカリのように、殻の中に入っているナメクジのようなものだと思っている人がいるようですが、それは間違い。
カタツムリは殻が割れてしまうと大変なことになってしまうのです。殻はカタツムリの家であり、体の一部。だから、カタツムリを見つけたら、殻を割ったりせず、大事にしてあげてくださいね。殻が割れてしまうと、カタツムリは生きていけません。少しの傷なら自分で修復できる場合もありますが、大きな割れは命取りです。カタツムリを観察するときは、殻の傷つけに注意しましょう。
カタツムリはコンクリートが大好物⁉
みなさんは、どんな場所でカタツムリを見つけることが多いですか?
「アジサイの葉っぱ」
という声が聞こえてきました。
カタツムリはアジサイが好きだと思われていますが、実はそうではありません。アジサイの葉には毒があるため、カタツムリはあまり好んでは食べないんです。よくアジサイにカタツムリが描かれた絵がありますが、それはきっと、梅雨の風景イメージが先行してしまったためなんですね。
では、どこで見つけられると思いますか?
カタツムリはコンクリートの壁やブロックの上にいることが多いのです。これは、カルシウムを摂取するためにコンクリートを削って、食べているからなんです。なので、梅雨の時期に探しに行くときは、アジサイの周りだけでなく、コンクリートの壁やブロックの上もチェックしてみましょう。
カタツムリを見つけたら、そっと殻を持って、アクリル板や透明の下敷きに置いて、這わせてみましょう。裏から見ると、カタツムリが筋肉をエスカレーターのように動かして移動する様子が見られます。これをみんなで観察すると、とても楽しいですよ!
宝石のような緑色のカタツムリ、見つけた!
みなさんは、グリーンのカタツムリを見たことはありますか?
私は、最近よく見かけます。
このグリーンのカタツムリは「コハクオナジマイマイ」と呼ばれる種類で、鮮やかな緑色をしています。もともとは四国や西日本に多く生息していましたが、東京などの都市部でも見られるようになりました。
その美しい色から「宝石のようなカタツムリ」とも呼ばれることがあります。大きさは1円玉くらいで、ほかのカタツムリと比べて小さめ。このカタツムリも、ほかのカタツムリと同じく湿度を好むため、梅雨の時期に探すのがいちばん。葉っぱの裏や、湿った場所にいることが多いので、注意深く探してみてください。
飼育のときは、カルシウムを忘れずに!
カタツムリを飼育するときには、いくつかのポイントがあります。まず、カタツムリの住まいは、適度な湿度が保てる環境が必要。透明なプラスチックケースやガラスの容器に、湿らせた土やコケを敷いてあげましょう。
エサは、新鮮な野菜や果物が最適です。キャベツの芯やニンジン、リンゴの薄切りなどがよいでしょう。そして、忘れてはいけなのが、カルシウム。カタツムリの殻は、カルシウムからできているからです(笑)。料理に使ったあとの卵の殻を細かく砕いて与えてみてくださいね。
水分補給も重要です。容器の中に小さな水入れを置いたり、霧吹きで軽く水をかけたりして、常に湿度を保つようにしましょう。ただし、水はけの良い環境にしておかないとカビが生えるので注意が必要。また、糞や食べ残しは定期的に取り除き、容器を清潔に保つことで、カタツムリが健康でいられるようにしましょう。
文/神﨑典子 写真/佐々木 洋
佐々木 洋(ささき隊長)
ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。近著に『生きものハイウェイ』(雷鳥社)がある。
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