もっと知りたい!セミの世界(後編)【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#5】

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ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!
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佐々木洋

ささき隊長  みなさん、こんにちは! ささき隊長です。今日は夏の主役、セミの世界を前編に引き続き、探検しちゃいますよ。準備はいいかな? じゃあ、出発進行!

ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)

びっくりセミ爆弾! 爆発する・しないの見分け方

夏の夜、玄関の前で死んでいるように見えるセミを見つけたことはありませんか? 「あれ?」と思って近づいてみると、突然バタバタッと動き出して驚いた経験、きっとあるでしょう。これをぼくは、「セミ爆弾」って呼んでいるんですよ。

でも、本当に死んでいるのか生きているのか、簡単に見分けられる方法があるんです。セミの足を見てみましょう。足を開いていたら、まだ生きていますよ。逆に足を組んで閉じていたら、もう死んでしまっているんです。

生きているセミは、だれかが助けてくれるのを待っているのかもしれませんね。でも、人間を見ると怖がって暴れちゃうこともあるから、注意して観察してみてくださいね。

そしてもし、生きているセミが地面でひっくり返っていたら、そっと木の幹に運んであげるのも一案です。

「天使のセミ」を見たことがありますか?

セミが羽化する瞬間を見たことがある人はいますか? 羽化したばかりのセミは、まっ白なんですよ。これをぼくは「天使のセミ」って呼んでいます。

白いセミは、とってもデリケート。触ったりすると羽が伸びなくなっちゃうので、見つけても触らないでそっと見守ってあげてくださいね。約1時間くらいで普通の色になっていきます。

羽化の様子を見てみたいですか? チャンスは、7月下旬から8月上旬の間。夕方7時前後に外を観察してみるといいですよ。地面に指くらいの大きさの穴があいていたら、そこからセミの幼虫が出てくるかもしれません。

幼虫が地面から出てきて、木に登って、背中が割れて、中から大人のセミが出てくる…この一部始終を見られたら、すっごくラッキー! でも、絶対に触っちゃダメですよ。そっと見守ってあげてください。

羽化中のミンミンゼミ

セミのおしっこが降ってきたら…

セミが飛んでいるときに、突然水滴が落ちてくることがありますよね。これ、実はセミのおしっこなんです。でも、汚いものじゃないんですよ。

セミは木の汁を吸って生きているから、おしっこも木の汁そのものなんです。攻撃しているわけでもないし、毒でもありません。パッと飛び立つとき、瞬時に水分が出ちゃうんですね。

だから、もしセミのおしっこが落ちてきても、あわてないで大丈夫。もしかしたら、セミさんが「ごめんね、失礼しました〜」って言っているかもしれません。

セミと日本の文化

セミは日本の夏の風物詩として、古くから親しまれてきました。俳句や文学にもよく登場します。

たとえば、松尾芭蕉の有名な俳句「閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉の声」。この「蝉」がどの種類のセミなのか、文学者の間で議論になったことがあるんですよ。

ニイニイゼミか、アブラゼミか、それともヒグラシか。みなさんはどの声を想像しますか? セミの声を聞きながら、俳句の世界を想像するのもおもしろいですね。

ちなみに、関東と関西ではよく聞こえるセミの種類が違います。関東ではミンミンゼミが多いけど、関西ではクマゼミが主流。だから、テレビドラマで東京が舞台の話なのにクマゼミの声が聞こえたりすると、ちょっとおかしいなって、感じてしまいます。そして、そのドラマを作った人は「まだセミプロだな」と、ぼくは思うのです(笑)。

セミの不思議を探検して、夏を楽しもう!

セミの鳴き声をうるさいと思う人は少ないと思うけれど、単なる騒がしい虫じゃないんです。日本の自然や文化と深く結びついた、とってもおもしろい生き物なんですよ。

夏の時期、セミの声を聞いたら、ちょっと立ち止まって、耳を澄まし、目を凝らし、観察してみましょう。どんな鳴き方をしているのか、この声は何ゼミなのか、土の中からいつごろ出てきたのかななど…いろいろと思いを馳せてみてください。

そして、セミの声を聞くたびに、日本の豊かな自然のことを思い浮かべてほしいな。セミは私たちに、森や自然の大切さを教えてくれる先生なんですね!

文/神﨑典子 写真/佐々木 洋

佐々木 洋ささき隊長)

ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。近著に『生きものハイウェイ』(雷鳥社)がある。

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