みんな大好き!カブトムシと仲よくなるワザ【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#6】

連載
ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!

プロ・ナチュラリスト

佐々木洋

ささき隊長  こんにちは、ささき隊長です! きょうは、子どもたちが大好きな昆虫、カブトムシの世界へ冒険に出かけましょう。準備は「わくわく」する心だけ。さあ、一緒にカブトムシの不思議な世界をのぞいちゃえ!

ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)

カブトムシ、日本列島を北上中? 

みなさん、カブトムシって見たことありますか? じつは、私が子どものころ(50年ほど前)、北海道にはカブトムシがいなかったんです。でも最近、函館あたりでも見かけるようになったそうです。温暖化の影響かもしれませんね。余談ですが、あのゴキブリも北上しているみたいです。

さて、もともとカブトムシはフィールドで見つけるものですが、いつのころからか、お店で売られるようになりました。お店には外国のカブトムシも売られていますが、今回は日本のカブトムシに焦点を当てて話をしていきます。

カブトムシ、オスとメスを見分けられる?

まずは、カブトムシのオスとメスの見分け方を教えましょう。なんと、かたいはね1枚で違いがわかるんです! もし森でかたいはねを見つけたら、そっと触ってみてください。オスのかたいはねはツルツル、メスのかたいはねはちょっとガサガサしています。よーく見てみると、ほんの少し毛が生えているんです。

なぜかって? これには理由があるんです。交尾のとき、オスがメスをしっかりつかんで、滑らないためだといわれています。自然って、よくできていますね。

カブトムシとクワガタ、どう違う?

カブトムシとクワガタ、似ているけど違う昆虫です。何が違うと思いますか?

カブトムシには「角(ツノ)」があります。クワガタも、何やらツノのようなものがあります、さて、あれは何でしょう? 正解は「アゴ」なんです。クワガタのアゴは「大アゴ」と呼ばれることもあります。

子どもたちに、クイズを出してみるのも楽しいですね。ぼくはそんなとき、「クワガタのアゴをハサミや角(ツノ)と呼ばずに、大アゴと覚えておいてね」と、子どもたちに伝えています。「自分たちのアゴと比べて、どう?」なんて話すと、昆虫への興味と関心がますます深まります。

カブトムシ VS クワガタ、捕まえやすいのはどっち?

ところで、森にいるカブトムシとクワガタ、どっちが捕まえやすいと思いますか? 正解はカブトムシのほうなんです。カブトムシは木にしっかりつかまっているから、上から網をかぶせるだけで簡単に捕まえられます。

一方、クワガタは木からすぐにポロッと落ちちゃうので、下から網を使わないといけないんです。クワガタが地面に落ちると、草むらに隠れてしまって見つけにくくなります。ということは、鳥や人間から上手に逃げるのは、クワガタのほうなんですね。

木にしっかりとつかまっているカブトムシ。

「スーパーバナナトラップ」でカブトムシを呼ぼう!

さあ、ここからが本番です。「スーパーバナナトラップ」という裏ワザを教えちゃいます。これはぼくが考えた虫を捕まえる仕掛けで、とっても効果的なんですよ。

用意するもの(スーパーバナナトラップ)

熟したバナナ

ストッキング

黒酢

度数の高い焼酎

作り方は簡単! 皮をむいたバナナをストッキングに入れてグジュグジュとつぶし、そこに黒酢と焼酎をかけるだけ。これを木の幹に巻きつけて仕掛けると、30分くらいで昆虫たちが集まってきます。

このにおいがね、樹液そっくりになるんですよ。その芳醇な(?)香りに誘われて、続々と虫たちが集まってくる。さしずめ「森の昆虫酒場」です。

仕掛ける時間は午後3時か4時ごろがベスト。日没後と明け方に見に行くと、たくさんのカブトムシやクワガタが集まっているはずです。

ただし、大切なことがふたつあります。

1  トラップは必ず片づけること

2  虫捕りが許可されている場所かどうか確認すること

このトラップ作りは、子どもたちと一緒にやるととっても楽しいです。昼間にトラップを仕掛けて、夜に結果を確認する。まるで宝探しみたいでわくわくしますよね。

特にクヌギやコナラの木がある場所がおすすめです。これらの木はカブトムシやクワガタの好物なんです。でも、地域によってはほかの木でも効果があるかもしれません。いろいろ試してみるのもおもしろいですよ。

トラップを確認するときは、いくつか注意が必要です。ハチやムカデが寄ってくることもあるので、まず大人が先に確認するのがいいでしょう。もしハチがいたら、懐中電灯を当てずに、そっとその場を離れましょう。

日没後や明け方は子どもたちと一緒に出かけられない…そんな場合は大人だけで出かけて、写真を撮って、採取した虫を見せてあげましょう。

「森の昆虫酒場」に出かけて一杯やれるのは、20歳になってから、ということで。

文/神﨑典子 写真/佐々木 洋

佐々木 洋ささき隊長)

ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。近著に『生きものハイウェイ』(雷鳥社)がある。

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