和光幼稚園の場合【春の保護者会・懇談会 #2】
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テーマは、年度初めの保護者会・懇談会。
前回は渡邊 暢子先生(NPO法人「保育パラ・ピアカウンセラー協会」理事)に、その心構えやアイデアをうかがいました。
第2回からは、実際の園の保護者会の内容や工夫をご紹介。
渡邊先生も注目する、和光幼稚園(東京都・世田谷区)にお話を聞きます。
この企画は『新 幼児と保育』(2018年 4/5月号)に掲載された記事「ほかの園はどうしてる?幼稚園・保育園・認定こども園 春の保護者会 懇談会」より、4回連載で、保育現場で活かせる保護者会・懇談会のヒントをお届けしています。
取材した園
和光幼稚園(東京・世田谷区)
3歳児グループ/18名×3グループ、4~5歳児クラス/各28名×2クラス。子どもたちを中心に、「子どもとつくる幼稚園生活」を大切にしている。
目次
年度初めの 懇談会から子どもの様子を丁寧に伝える
学年ごとの全体会とクラス別の懇談会を行う
新入園や進級の直後に行われる春の保護者会は、「保護者に信頼感や安心感を持ってもらう」ことが大切な目的のひとつです。
そのために保育者が心がけているのは、子どもたちが園でどのように過ごしているのか、具体的に伝えること。担任の保育者と子どもたちのかかわりは始まったばかりですが、短い期間なりに子どもたちをしっかり見て、一人ひとりの様子を把握することを心がけています。
春の保護者会は、学年ごとに行う全体会のあと、クラス(3歳児はグループ)に分かれて懇談会を行います。
ただし、新入園となる3歳児は連絡事項が多いため、全体会を懇談会とは別の日に設定しています。
全体会では主に、年間の教育活動や子どもの育ちについての話をします。子どもの育ちに関しては、保育者が年齢別の特徴的な姿をまとめた資料を作成し、保護者に配布しています。
クラス別懇談会は、担任の自己紹介、保護者の自己紹介、入園・進級後の子どもの様子の報告などが中心です。
特に新入園の3歳児の場合、春の保護者会は、保護者同士が知り合う場でもあります。自己紹介の際には子どもに関することを少し話してもらう、簡単なゲームで緊張をほぐすなどの工夫もしているそうです。
毎日のお迎え+毎月の懇談会で生まれる「顔の見える関係」
和光幼稚園では送迎バスがなく、帰りのお迎えの際にはクラス全員の保護者が同じ部屋に集まることになります。また、8月以外は毎月、懇談会を行っているため、保育者と保護者さらに保護者同士の結びつきも自然に強まっていきます。
「みんなで子どもを見守り、育てる」という関係を春の保護者会からスタートさせ、じっくりと育んでいきます。
和光幼稚園の保護者会のスケジュール
全体会の資料作成(学年ごとに準備)
▼
直前の準備
・進行の整理
・子どもの様子をメモにまとめる
▼
4月上〜中旬の平日 (学年ごとに日にちをずらして行う)
第1回 懇談会
【3歳児グループ 】
時間 | 内容 |
---|---|
11:30 | 保護者のお迎え・帰宅 |
13:00 | 保護者集合・グループ別懇談会 ・名札づくり(子どもの名前を書き前に置く) ・担任自己紹介 ・入園後の子どもの様子を報告 ・生活上の注意などの諸連絡 ・保護者自己紹介 ・委員選出 |
15:00 | 終了 |
※グループ別懇談会とは別の日に学年全体の懇談会を実施。
【4〜5歳児クラス 】
時間 | 内容 |
---|---|
13:00 | 全体会 |
14:00 | クラス別懇談会 ・担任自己紹介 ・進級後の子どもの様子を報告 ・保護者自己紹介 |
15:00 | 終了 子どもと一緒に帰宅 |
資料を見ながらの説明は具体例をプラスする
全体会では、保護者に資料を配布。それぞれに読んでもらうことを前提に、保育者から口頭での説明も行います。説明する際は、資料の内容に具体例を付け加えるのがポイント。「たとえば……」と、子どもの姿と結びつけた説明を心がけます。
懇談会の日は保育体制を工夫
4~5歳児クラスは14時降園が基本ですが、保護者会の日は15時まで保育を延長。担任は保護者会に出席し、終了までの2時間は別の保育者がクラスの活動をフォローします。3歳児は、4月の懇談会のときのみ午前中で降園します。ただし、いったん帰宅するのが難しい場合は園でお弁当を食べ、保護者会が行われている保育室で過ごすこともできます。
懇談会の内容は事前にクラス便りでお知らせ
クラス懇談会の内容や話し合いたいテーマなどは、「クラス便り」で連絡しておきます。事前に知らせておくことで、当日には自己紹介で話すことをまとめてきてくれる保護者も!
子どもの様子を報告する際は全員の名前を挙げる
クラス懇談会で子どもの様子を報告する際は、一人ひとり名前を挙げて、クラス全員の姿を伝えます。具体的に何をしたのか、そのときどんな様子だったかなど、子どもの姿をきちんと伝えらえるよう、保育者は事前にメモをつくるなどして情報をまとめています。
若手保育者さんへアドバイス
保育者の役割のひとつが、「子どもの姿を楽しく伝える」ことです。保護者にとっては子どもの「トラブル」でも、大きな視点で見れば育ちのプロセスであることも。保育者ならではの視点を、保護者と共有することを目指してみましょう。
文/野口 久美子 イラスト/上島 愛子
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