RSウイルス感染症の症状・対応・予防【園で気になる子どもの感染症 #3】
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- 園で気になる子どもの病気
かぜなど感染症の流行が心配な季節です。
保育園で感染が広がる恐れのある病気について、主な症状や対応、予防について知っておきましょう。子育て支援にも役立ちます。
この連載「園で気になる子どもの感染症」第3回は「RSウイルス感染症」。
2歳までにほぼ100%が感染するといわれています。かぜのような症状から重症化することがあります。
(この記事は、『新 幼児と保育』2019年10/11月号に掲載されたものを元に再構成しました)
監修
澁谷紀子(しぶやのりこ)先生
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。
目次
おもな症状と原因
重症化すると気管支炎などを起こす
RSウイルスの感染によって起こります。鼻水やせき、発熱といったかぜに似た症状から始まり、軽症の場合はそのまま治まります。ただし年齢が低いほど重症化しやすく、特に初めて感染した生後6か月未満の赤ちゃんは、30%ほどの確率で気管支炎や肺炎を起こします。気管支炎や細気管支炎になると、息を吐くときにゼイゼイと音がするようになります。
治療の基本
吸入薬や飲み薬で呼吸を楽にする
気管が左右の肺へ向けて分かれる部分より先を「気管支」、気管支が細かく枝分かれした部分を「細気管支」といいます。RSウイルスが気管支や細気管支に感染すると症状が悪化するので、病院での治療が必要になります。
病院では、症状に応じて気管を広げる薬の吸入などを行い、飲み薬も処方されます。重症の場合は、入院が必要になることもあります。
ホームケア
苦しそうなときは上体を起こした姿勢に
乾いた空気は気管を刺激するので、室内は適度な湿度を保ちます。激しくせき込んだり呼吸が苦しそうだったりするときは、すわらせて体を支えたり枕などを使って上体を高くしたりします。のどからつながる空気の通り道が乾燥すると、たんが出にくくなって苦しいので、少量ずつ水分補給をして、たんを出しやすくします。
呼吸が浅くて速い、激しくゼイゼイする、水分がとれない、などの場合は、すぐに病院へ行きましょう。
予防のためにできること
こまめな手洗い&うがいが基本
感染している人の鼻水などにはウイルスが含まれており、せきやくしゃみをしたときに飛びちったものを吸い込んだり、手を介して体内に入ったりすることでうつります。予防の基本は、こまめに手洗いやうがいをすること。かぜのような症状が見られる子どもは、病気を広げないためにマスクをつけるのが理想です。
RSウイルスは一度の感染では十分な免疫ができないため、くり返しかかりますが、成長とともに症状は軽くなっていきます。
ドクターより
赤ちゃんの場合、症状が急速に悪化することがあります。RSウイルスの流行期には、かぜだと思っても油断せず、注意して様子を見守りましょう。
文/野口久美子 イラスト/河合美波
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