サンタさんは怖くない!楽しくサプライズにつなげる『クリスマスプラン』|0~2歳児

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子どもも大人も心躍るクリスマスですが、0・1・2歳児にとっては、まだまだ未知のイベント。サンタさんとの出会いが楽しい体験になるように丁寧に準備をして、その日を迎えましょう。

アドバイス

近藤みさき先生
まちのてらこや保育園(東京・中央区)園長・保育系作家。公立保育園の保育士として27年間勤務したのち、2020年より現職。対話会の開催や現場の悩みに応える活動などを継続して行っている。シアター製作も手がける。

「サンタさんは怖くない!」と感じてもらうための工夫が大切。
「いつもの日常」にほんの少しのスパイスがポイントです

クリスマスといえば、欠かせないのがサンタさんの存在です。でも、子どもたちがその登場に心躍るようになるのは「サンタさんが来ると楽しい!」というクリスマス体験を積み重ねてこそ。だからこそ、0・1・2歳児のサンタさんとの出会いは、「楽しい」「うれしい」体験であってほしいものですよね。

ところが、特に0・1歳児は、非日常のことが起こると、驚いて楽しむどころではありません。赤い服を着た見知らぬ人に、「怖い!」と感じて泣いてしまうこともよくあります。クリスマスまでに時間をかけて、その余計な驚きを、できるだけ取り除くための工夫をしたいところです。

2歳児は0・1歳児のときの経験もあり、柔軟性も出てきていますから、サンタさんのことを想像しながら、心待ちにできる工夫を取り入れられるといいでしょう。

いずれの年齢も、ポイントは「いつもの日常」。安心できる環境、見慣れたものにほんの少し違ったスパイスを加えて、楽しい驚きに変化させましょう。ここに紹介したのは、クリスマスに驚かせすぎない&サンタさんとの出会いが楽しみになる準備プラン。これを参考に、ぜひアレンジしてみてください。

「サンタさんって何?」
「サンタさんに会いたい!」


まずは、サンタクロースが登場する絵本や紙芝居などを楽しみながら、少しずつサンタさんの存在に触れていきましょう。

プラン1 登場遊び<0~2歳児>クリスマスソングが聞こえたら「 だれかがやってくる!」

クリスマスが近づくとクリスマスソングをかけることが多いと思います。このときに、曲と同時に「だれかがやってくる!」という場面をくり返し作ることがおすすめです。

クリスマスソングが聞こえると保育者が登場したり、子どもが登場したりして「登場遊び」をするのです。保育者が「友達を連れてきたよ」と言ってぬいぐるみを持ってきたり、別の保育者を連れてきたりするのも楽しいでしょう。

クリスマスソングがかかると楽しい! だれかが来る! という雰囲気を普段から味わっておくことで、クリスマス当日に同じシチュエーションで保育者がサンタさんを連れてきても、驚きが軽くなります。

★さらにコツ★
このとき、ぬいぐるみに赤いリボンをつけたり、実際に赤い服を着た保育者が登場したりすると、なおGOOD。赤はインパクトが強い色で、このためにサンタを怖いと感じることも多いようです。少しずつ見慣れたものにするといいでしょう。

プラン2 ソリ作り&ソリ遊び<2歳児>子どもたちが遊んでいるソリを引いてサンタさんがやってくる!

クリスマスが近づいたら、子どもたちと一緒にダンボールでソリを作りましょう。みんなで引っ張って遊んだり、ソリに玩具を載せて遊んだりして、「自分たちのソリ」になじんでおくのがポイント。

クリスマス当日、サンタさんが、いつも子どもが遊んでいるソリにプレゼントを載せて登場します。「みんな、重いから引っぱるの手伝って!」とサンタさんが呼びかけてもいいでしょう。サンタさんが来たことに驚きはありますが、「いつもの日常」が重なることで、うれしい気持ちがより大きくなるでしょう。

「自分たちのソリ」が際立つように、子どもたちと一緒にソリの飾りつけも楽しもう。

プラン3 サンタさんの大きな袋ごっこ<1・2歳児> プレゼントの入った大きな袋で「何が入っているのかな?」

サンタさんの姿がイメージできるようになった子どもたちにとっては、サンタさんの持ち物は、とても魅力的です。そのひとつ、プレゼント用の大きな袋を遊びに活用しましょう。プレゼント袋に見立てた大きな袋を用意して、何が入っているか当てるゲームをしたり、中に風船を入れてふんわりと飛ばして遊んだり、天井からぶら下げて揺らして楽しんでもいいでしょう。

当日、その袋が保育室から消えたと思ったら……その袋を持ってサンタさんが登場します。このプランも、安心感のポイントは「いつも見慣れたもの」をサンタさんが持っていること。いつもは風船が入っているのに、「きょうはプレゼントが入っていた!」ということも、うれしい驚きのひとつになると思います。

風船などを入れて遊ぶほかに、中に入っているものを当てっこしたりしても楽しい。

プラン4 大好きな長靴と一緒に<1・2歳児>みんなが「知っている」大きな長靴をサンタさんが履いて登場!

1・2歳児は晴れの日も長靴を履いてくるほど、長靴が大好きです。そこで、この長靴を使ってクリスマスまでの期待を高めていきましょう。大きな長靴を保育者が用意し、子どもたちに見せたり、保育者が実際に履いたりして、子どもたちと遊びます。その後、絵本や紙芝居などを楽しみながら、サンタさんが長靴を履いていることを(偶然にも!)発見します。

「サンタさんも長靴を履いているね」「玄関に長靴を置いておいたら、サンタさんは来るかな?」といい、玄関に置いておいたり、みんなで長靴を履いて、サンタさんを探しに行ったりしても楽しいでしょう。

クリスマスの日、「その長靴をサンタさんのプレゼントにするのはどう?」という提案をし、長靴にリボンをつけて、置いておきます。しばらくすると、その長靴を履いてサンタさんが登場するのも楽しいですし、「みんなありがとう!」と言いながら、長靴を履きにサンタさんが登場するのもいいでしょう。

自分たちの用意した長靴をサンタさんが履いてくれて、子どもたちはびっくり! うれしいサプライズになるはずです。

サンタさんの持ち物を、絵本や紙芝居などを見ながら子どもと一緒に「発見」しましょう。

そのアイテムを遊びに取り入れていくのがコツ。出会うことへの期待が高まり、出会ったときの喜びが増します。

プラン5 窓からサンタさん<0歳児>サンタさんとの初対面は「距離感」と「分量」がポイント

当日、サンタの登場の仕方にも工夫が必要です。特に0歳児は大きな赤い服を着た人が怖いと感じ、泣いてしまうことも多いのです。ですから、「全身を見せない工夫」をすることがひとつ。たとえば部屋の窓からサンタさんが顔を出すというのもいいでしょう。上半身のみ見せることで、さほど驚かずにいられる子どもも出てきます。

距離感もすごく大切なポイントです。このときに、子どもの位置(あるいはサンタの位置)も、窓から距離をとること。大丈夫そうなら近づいていきますが、泣きだしそうになったらそれ以上近づかないことです。

窓から保育者がプレゼントを渡すところを見せたり、手を振ったりするサンタさんを見る、というだけでも十分楽しめます。「楽しかった」「うれしかった」という体験になるように、ほどよく加減をしましょう。

プラン6 窓からサンタさんとかくれんぼ<1・2歳児>「どこにいるかわかるかな?」サンタさんのメッセージに大興奮!

サンタさんが来るのを心待ちにできるようになった1・2歳児におすすめのアイデアです。この年齢はかくれんぼが大好き。そこで、いつもかくれんぼをしているところにサンタさんが隠れています。

サンタさん探しは、サンタさんからのメッセージでスタート。「きょうは〇〇園に遊びに来たよ! みんなで探してね」などと、園内放送または電話、動画などでメッセージを送りましょう。子どもたちはサンタさんを探しに行って、見つけると大喜び! 少し怖いと思っていた子どもも、自分で探し出すことで、見つけたうれしさが大きくなるのではないかと思います。


構成/木村里恵子
イラスト/小泉直子

『新 幼児と保育』増刊『0・1・2歳児の保育』2022秋冬より

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