0・1歳児担当へのアドバイス【乳児保育の8つの「困った!」check&advice #1】
たとえ3歳以上児の保育経験が豊富な保育者であっても、初めての乳児保育は「こんなはずじゃなかった……」なんてことの連続です。
乳児保育者が悩まされがちな8つの困りごとについて、東京家政大学ナースリールーム施設長の工藤佳代子先生からアドバイスをいただきます。
第1回は、0歳児と1歳児の保育でよく聞かれる「困った!」をとりあげます。
(この記事は、『新 幼児と保育』増刊『0・1・2歳児の保育』2019春 に掲載されたものを元に再構成しました)
お話を聞いた人
工藤佳代子先生
東京家政大学ナースリールーム施設長(取材当時は主任保育士)。
「乳児保育は、保護者にも“初めて”のことが多いもの。子どもに加えて、保護者や家庭も受けとめていく姿勢が大切です」
目次
「困った!」① ミルクを飲んでくれません
check!
味・温度・乳首は子どもの好みに合っていますか?
アドバイス
「私の飲ませ方がよくない?」なんて落ち込まなくても大丈夫! 飲む場所も飲ませてくれる人も変わると、子どもは緊張するものです。
たとえば、自宅で母乳を飲んでいる子は哺乳瓶に慣れていません。ふだんからミルクを飲んでいる子だって、味や温度、乳首の違いなどが気になることもあるでしょう。新しい環境になじむには、時間が必要です。
ミルクの種類や哺乳瓶など、可能な範囲で「家と同じ」にする工夫をし、子どもがリラックスできるようにしてみましょう。
「困った!」② 離乳食を食べてくれません
check!
「食べたくない理由」を考えてみましたか?
アドバイス
しっかり食べてほしい! という気持ちはわかりますが、「食べてくれない」は保育者目線の受けとめ方。事実は「食べない」です(笑)。
どんなに幼くても、子どもには意思があります。つまり、食べないのには理由があるということ。子どもの様子をよく見て、環境、味、食材の大きさや形などを見直してみましょう。
また、保育者との信頼関係が深まっていけば、「大好きな人と食べる時間」を楽しむようになり、食べる量も自然に増えていきますよ。
「困った!」③ おむつ替えを嫌がります
check!
おむつ替えが「想定外のできごと」になっていませんか?
アドバイス
動ける月齢の子にとって、おむつ替えは「イヤなこと」です。まずは「おむつ替えしようか?」と声かけで予告します。子どもがうまく話せない時期だからこそ、言葉かけは重要です。予告なしのおむつ替えは「想定外のアクシデント」のようなもの。子どもが拒否したくなるのも当然です。
そして、いやがられても、叱ったり強制したりするのはやめましょう。「あ~残念」とふざけてがっかりしたりすると、子どもの気持ちも緩み「しょうがないな」と受け入れてくれたりもします。
「困った!」④ 気難しい保護者と、どう接する?
check!
保護者の顔色をうかがいすぎていませんか?
アドバイス
緊張、不安、自信のなさ……。保護者にも、いろいろな思いがあります。仮に不機嫌そうに見えても、それをすべて「私の力不足のせい」と思う必要はありません。
子どものことを第一に、誠実な対応を心がけましょう。同時に、保護者にはそれぞれ「抱えているもの」がある、という意識をもつことも大切。家庭の問題などに踏み込むことはできませんが、相手を思いやる気持ちは、対面や連絡帳でのやりとりをする際、言葉の端々ににじみ出るものだからです。
文/野口久美子 イラスト/すみもとななみ
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