不思議なかわり絵「あれれ!」【紙で作ろう! #2】
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さまざまなパターンの「かわり絵」(絵が変わるしかけ)を作ります。描いたふたつの絵が合体して見えたり、折り方やたたみ方で絵が入れ替わったり。手元で絵が変化する「かわり絵」の不思議に、子どもたちは「あれれ」と驚きの声を上げることでしょう。
指導
田代耕司 先生
造形作家
岡山県で中学校の美術教諭を経験。上京後、出版社に勤務し、幼児・保育者向け出版物を編集。教材・玩具類の企画開発を行うかたわら、紙を素材にした造形作品を展覧会・各種出版物などで発表。現在は、道灌山保育福祉専門学校講師を経て、保育者・親子を対象に全国で造形実技指導を行っている。
目次
感性を大きく刺激する「かわり絵」
回したり、めくったり。ちょっとの動作で見えている絵が「変わる」不思議に、かわり絵を手にした子どもたちはびっくり! 驚くことは子どもたちの感性を大きく刺激しますし、「うれしい」「おもしろい」という刺激は、クリエイティブな気持ちを前向きにします。
特に自分で作ったもので、みんなの気持ちを引きつけることができると知ることは、造形活動の基本である「伝える」ことの体験にもつながります。
保育者自身が「不思議」を感じてみる
「おもしろい!」「やってみたい!」「作ってみたい!」
子どもたちの驚きを引き出すには、なんといっても最初の見せ方、演じ方が肝心です。
それぞれのかわり絵は、しかけはとても簡単ですが、スムーズにかえて見せるにはちょっとした予習が必要です。まずは保育者が自分の手で作ってみて、その仕組みを理解しておきましょう。
ここでは、ベースとなるしかけを「台紙」と記しています。「かわり絵」の台紙は、保育者があらかじめ人数分を製作して用意しておくといいでしょう。子どもたちが思い思いに絵を描いて仕上げます。
くるくるかわり絵
「目」の錯覚を利用したおもちゃです。絵の残像があることで、ふたつの絵が重なって見えます。
あれれ!
ストローを両手にはさんで前後にずらすと、カードがくるくる回ります。この動きによって、表と裏の絵が一体になって見えます。
「台紙」の作り方
- 画用紙(9㎝×18㎝程度)をふたつに折って戻す。
- ストローの先を5 ㎝程度つぶして、イラストのように中央に貼る。
- 画用紙を折ってストローにかぶせ、両側と下をセロテープでとめる。
絵の描き方
顔の輪郭と目・鼻・口など、重なって見えるとおもしろい絵柄を考えて、裏と表に絵を描く。
パッチンかわり絵
簡単な「カメラ遊び」ができるカードです。
あれれ!
重なる2枚の窓の部分(「レンズ」と「顔」)を重ね合わせるようにしてカードをセットします(「レンズ」が表に出るようにする)。カードの前後を別々の手で持って、後ろ側を持った手をパッと引くと、レンズがするっと抜け、そこに顔が現れます。
「台紙」の作り方
- 画用紙(9㎝ ×18㎝程度で厚めのもの)をふたつに折る。
- 窓の位置を決め(目安として、面積を9等分にした真ん中部分)、角を目打ちなどの先がとがった道具で印をつけて開く。ここでは複数の台紙を作るので、これを型紙として使う。
- 2を別の画用紙(複数枚)に重ねて、同じように窓の位置に目打ちなどで印をつける。
- 角の4つの点を目印にして、カッターでイラストのように切り込みを入れる。
絵の描き方
- 表に「レンズ」を描く。
- 裏返して「顔」(写したいもの)を描く。まわりを飾ると、より楽しくなる。
マジックかわり絵
右から開いたときと、左から開いたときで違う画面が現れる不思議なカード。最初は、そのタネ明かしをしないで見せるのがポイントです。まるでマジックのようなかわり絵です。
組み合わせの例
・「お菓子」と「皿」
・「おたまじゃくし」と「かえる」 など
あれれ!
絵の描かれたカードをたたんで、もう一度開くと違う絵が現れます。展開を考えて、ふたつの絵の組み合わせを工夫してみましょう。
「台紙」の作り方
- カード(10 ㎝ ×30 ㎝程度)をふたつに折る。
- カードをもう一度ふたつに折って戻し(折りスジをつける)、袋になっているほうから、折りスジのところまで、イラストのようにはさみで切り込みを入れる。
- イラストのように真ん中を立てるようにしてから、2か所にのりづけする。
- 上を右側に、下を左側に倒すようにして貼り合わせる。
- できあがり。
絵の描き方
- カードを半分に折り、片側から開いて絵を描く。
- カードを半分に折り、今度は反対側から開いて絵を描く。
※カードを半分に折った状態で、左右の端の中央に違う印をつけておくと、どちらを開けばよいかわかりやすくなる。
アレンジ
紙をのりづけしないで、真ん中の隣り合う面(イラストのA同士、B同士)をつまむようにたたむと、ふたつの絵が合体する、おかしなかわり絵カードになります。たたみ方を変えて、ふたつの画面にそれぞれ顔を描いてみましょう。上下の絵の端が合うように確かめながら絵を描くことがポイントです。
変わる! また変わる! 3面かわり絵
伝承玩具の中には、かわり絵の要素を持ったものがいくつかあります。その中でも代表的なのが、この「六角返し」です。
あれれ!
六角形をたたむと真ん中から開いて違う絵が出現! さらに同じようにたたむと、また違う絵が現れます。3つの絵がくり返し現れるので、展開を考えて絵を描いてみましょう。
「台紙」の作り方
- 長くテープ状に切った紙を用意する。
- イラストaのように紙の端を斜めに折り、そのままじゃばらに10 回折って戻す(三角形が10個できる)。
- 両端を切り落とし、折りスジに沿って、もう一度じゃばらに折る。
- イラストのように、下にある三角を手前に起こしてから半分にたたむようにして、一番下の三角(10)の面と、一番上の三角(1)の面をのりで貼り合わせる。
- のりが乾いてから開くと六角形のできあがり。
絵の描き方
連続して3つの絵を出すことができるので、次々に出てくると楽しい絵柄を工夫して描きましょう。
組み合わせの例
・卵→ひよこ→鶏
・種→芽→花
・朝→昼→夜
文/田辺泰彦
撮影協力/道灌山幼稚園(東京・荒川区)、子どもステーション(東京・町田市)
撮影/藤田修平、茶山 浩、藤岡雅樹(小学館写真室)
イラスト/marupon
『新 幼児と保育』2019年6/7月号より
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