3ステップで備える「子どもの健康早わかりシート」~麻疹&熱中症~

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子どもに起こりがちな体調トラブルに直面したときの対処法を、3ステップでわかりやすく指南。今回は「麻疹」と「熱中症」を紹介。初期の段階で症状に気付くことで、悪化を未然に防ぎます。

監修

澁谷紀子 先生

総合母子保健センター愛育クリニック 院長兼母子保健科部長。小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。

麻疹(はしか)

感染力がとても強いため、ワクチンを接種して確実に予防することが大切です。

step1.おもな症状と原因

かぜに似た症状に続いて発疹(ほっしん)と高熱が

発熱、せき、くしゃみ、鼻水、目やにといったかぜのような症状が3日ほど続き、いったん熱が少し下がります。その後、半日~1日たってから全身に発疹が現れ、高熱が出ます。このとき、頬の内側に「コプリック斑」と呼ばれる白いブツブツが出るのが特徴です。

最初の発熱から1週間~10日ほどで熱が下がって回復しますが、黒ずんだ発疹のあとがしばらく残ります。麻疹ウイルスに感染することが原因で、感染した場合、免疫がなければ100%発症します。

▼おもな症状

step2.治療の基本

受診する際は、必ず事前に連絡を!

麻疹が疑われる場合は、必ず事前に病院に連絡してから受診します。ウイルスが原因なので特効薬はなく、対症療法が中心です。ただし、感染者と接触して3日以内であればワクチン接種、4~6日以内であればγ(ガンマ)グロブリンの注射によって発症を防げる可能性があります。

麻疹は、肺炎や脳炎など深刻な合併症を引き起こすことがあるので、注意して経過を見守り、回復後も1か月ほどは無理をさせないようにしましょう。

step3.予防のためにできること

ワクチン接種で確実に予防する

麻疹ウイルスはせきやくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染に加え、空気感染もするため、感染者と同じ部屋にいるだけでうつる可能性があります。手洗いやうがいでは防ぐことができず(アルコール消毒は有効)、予防法として確実なのはワクチン接種だけです。保育者や保護者についても、ワクチンの接種状況によっては予防効果が不十分なことも。1回しか接種していない人は、追加接種を受けておくと安心です。

▼麻疹・風疹混合(MR)ワクチン接種のスケジュール

熱中症

蒸し暑い環境などで起こります。体温調節機能が未熟な子どもは、特に注意が必要です。

step1.おもな症状と原因

暑さなどのために体温調節機能が乱れる

体温調節機能がうまく働かなくなり、体にこもった熱を発散できなくなるために起こります。幼児の場合、体温が上がってぐったりする、顔色が悪い、吐き気・おう吐などの症状に注意します。大人なら、めまい、頭痛、けん怠感などの自覚症状があります。

おもな原因は、暑さや強い日差し、湿度の高さなどです。さらに、こうした環境で運動をしたり、もともと体調がよくなかったりすることも原因にかかわっています。

step2.治療の基本

体を冷やして体温を下げ、水分をとらせる

熱中症が疑われる症状が見られるときは、すぐに涼しいところに移動して衣服をゆるめ、頭を低くして寝かせます。首、脇の下、足の付け根などを冷たいタオルや保冷剤などで冷やして体温を下げ、水分をとらせます。

経口補水液が理想ですが、ない場合はイオン飲料(大人用でもよい)や麦茶、水などでも構いません。様子を見ながら少しずつ、飲めるだけ飲ませます。意識がはっきりしなかったりけいれんを起こしたりした場合は、救急車を呼びましょう。

▼熱中症の応急手当て

step3.予防のためにできること

遊ぶときは、休憩&水分補給をこまめに

熱中症を予防するためには、環境に気を配ることが第一です。暑い時間帯の外遊びは避け、保育室の室温や湿度の調整も忘れずに。体を動かして遊ぶときは、子どもの様子を見ながら適度に休憩をとらせます。また、水分補給をこまめにすることも大切です。

特に子どもの場合、体調の変化を自覚できなかったりうまく伝えられなかったりするので、本人がのどの渇きを訴える前に水分をとらせるようにしましょう。

▼熱中症を予防するために

構成/野口久美子 イラスト/河合美波

『新 幼児と保育』2018年8/9月号別冊ふろくより

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