【四季の園ぐらし】秋の保育園アイデア集(環境・あそび・製作)天野珠路先生|せんせいゼミナールの講座より
せんせいゼミナール「四季の園ぐらし〜全国の園実践から得られた環境やあそびのヒント〜」オンライン講座では、保育者として長く現場で活躍し、また、厚生労働省保育指導専門官、保育者や学生の指導者として多いときには年間400もの園を訪問してきた天野珠路先生(鶴見大学短期大学部教授)が、環境構成、あそび、製作、絵本、食などの事例やアイデアをたくさんの写真とともに紹介しています。このページでは、その中からいくつかをピックアップしてお届けします。
目次
ハイイロチョッキリ
ハイイロチョッキリを知っていますか?
どんぐりの木の枝をチョッキリと切る虫です(その幼虫はどんぐりの中で育ち、やがて穴をあけて外に出て来ます)。
長野県の園に行ったときに、ハイイロチョッキリを飼っているというので観察させてもらいました。
興味がある子も多い昆虫の世界ですが、とても奥深くて、まだまだ誰も知らないことが山ほどあって、調べたり、観察してもわからないことも多いと思います。
でも、こんなふうに飼ってみるなどして、そのほんの一端でも子どもと一緒に「不思議だね、おもしろいね」と感じられたらいいですよね。
そういう体験をした子どもたちの中から、虫博士が現れるかもしれません。
お月見を楽しむ
特に日本には月を愛(め)でるという風習、伝統があるのではないでしょうか。子どもも大人もお月見を味わい、楽しんでいます。
お月見の時期に、コーナーを設置するのもいいですね。
月の絵本と調理師さんが作ってくれたお菓子を飾ったり、ススキ、子どもたちが作ったお団子、秋の収穫物(さつまいもやかぼちゃ、さといも)などをお供えしたり。
月への感謝の気持ちや、自然に対する共感のようなものが感じられますね。
お月見の由来、十五夜の由来、お供えのものについての説明をボードにまとめて書いている園も多いと思います。
子どもたちに向けて書くものでもありますが、こういうものがあると、保護者の方ともお月見を一緒に味わうことができます。
説明をお父さんが一生懸命読んでくれて「あぁそうか!」なんて言ってくださっているのを見ると、とてもうれしかったものです。
秋のケーキ
自然物は創造の宝庫。秋は、葉っぱや木の実などの素材を、比較的簡単に集めることができます。
集めた素材は、種類ごとに分類して扱いやすくしておき、子どもたちが自由に遊んだり使ったりできるといいですね。「僕はこれを使う!」「私はこれ!」と好きなものを選べるようにしておくのがおすすめです。
秋の素材を使って、ケーキやピザを作るのはいかがでしょう?
丸や四角、三角に切ったダンボールの土台に、子どもたちが好きなようにデコレーションしていく製作です。素材は木工用接着剤で貼りつけますが、ダンボールの上に紙粘土をのばしておくと固定しやすいです。
工作に不慣れな子どもや、小さい年齢の子が活動するときには、紙粘土を厚めにして、木の実を押しつけて埋め込むようにするのもひとつの方法です。
天気のよい日は、園庭で製作をするのも気持ちいいですね。また、作ったケーキで、ごっこあそびをしたり、作ったケーキにひもをつけてアクセサリーにしたり、ほかのあそびに発展させても楽しいです。
都会の園など、園のまわりで、素材を見つけることが難しい場合は、保護者や近隣の方の力を借りてみましょう。
お手紙などで、「まつぼっくりがあったら、持ってきてください」などと伝えると、出かけた先で見つけたものを持ってきてくださることもあります。
素敵な収穫物
大きい子も小さい子も(大人も)、見つけたり拾ったり集めたりすることが大好きですね。
口に入れてしまう危険もあるので、乳児さんは難しいですが、みんなで葉っぱや木の実を拾いに行くのも楽しいです。
そのときに、袋でもいいですが、子どもたちそれぞれに、入れものを用意できるといいですね。
ペットボトルの上を切り取って、切り口を危険のないように処理して、持ち手をつければ、かわいらしいバッグのできあがりです。
こういったものがあると、見つけたものを簡単に入れて持ち帰ることができますし、園に帰ってバッグを吊るしたり、並べたりするだけで、素敵なアートにもなりますね。
どんぐりころころ、どんぐりざざざざー!
『どんぐりころころ』という歌がありますが、どんぐりを転がすのは楽しいですね。
もし材料が手に入るようでしたら、どんぐりの滑り台を作ってみてはいかがでしょうか。
長い滑り台作りに挑戦するのも楽しいですが、大きめのダンボールが手に入ったら、ぜひ、大きな坂の滑り台を作ってみてほしいです。
ひとつ転がしたら、「ころころころ」とかわいらしい音がきこえてくるどんぐりですが、バケツいっぱいのどんぐりを一気に転がすと…「ざざざざざー!」と、ものすごい音がします。
ぜひ、この音を子どもたちと一緒に体験してみてほしいです。
滑り台の坂の下のほうに受け皿のようなしかけを作って、ゲームを楽しんでいる子どもたちもいましたよ。お皿に入ったどんぐりを数えて「天野先生58点!」というように。
こういった経験は数に対する興味・関心を広げるきっかけにもなりそうですね。
【注意】どんぐりや小さな実は口に入れると窒息する恐れがあります。子どもが口に入れないように気をつけましょう。0歳児が、手を触れないようにしましょう。
「せんせいゼミナール」は小学館がプロデュースする研修講座シリーズです。信頼できる専門家や力のある実践者を講師に迎え、せんせい方の悩みや学びたい気持ちに寄り添う講座をお届けしています。
文/小野寺裕美(せんせいゼミナール事務局)
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