ごっこ遊びにつながる!台所用品で水遊び

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子どもたちに大人気の水遊び。毎日でも飽きずに遊びますが、ひと工夫して変化をつけてみませんか。家で見て知っているけれど、触ったことがない。触らせてもらえない。そんな台所用品を思い切り使って、楽しむアイデアをご紹介します。

監修/平山許江 先生(保育楽者)

「使いたい!」「やってみたい!」遊びの意欲を育てる「本物」の道具

注ぎ口のある計量カップや片手なべを小さな子どもが使うとき、だれに教わるわけでもないのに、きちんと注ぎ口から水を注ぎます。これは、注ぎ口がそのような行為を引き出すデザインをしているからです。おたまやざる、片手なべやじょうごなど、調理に使う身近な道具は、このようにアフォーダンス(※)に満ちています。

※もの(環境)が発信する情報によって、人が行動するという考え方。

「金魚すくっちゃった!」
「これで水を入れると、こぼれないよ!」

台所用品には耐久性があり、サイズや素材にもバリエーションがあり、未満児の遊びたいという気持ち、こんなふうに使いたいという自主性や意欲を育てるのに、最適です。

「水の感覚を味わって、びしょぬれになってものびのびと」というのも水遊びの醍醐味ですが、それとはひと味違う、台所用品を使った水遊びのアイデアです。

すべての年齢で楽しめるカラフル金魚すくい

魚型のしょうゆ入れに食紅で色をつけた水を入れて、三色くらいの金魚を作り、それをすくいます。魚以外のものもぷかぷか浮かせておき、障害物をよけながら魚をすくう遊びです。

魚をすくうほかに、自然と水の移し替えなどの水遊びも始まります。いろいろな道具を手にとって水をくんだり、こぼしたりしながら、自分の遊びを展開する姿が見られるでしょう。

用意するもの

0歳の遊び

※遊びを始める年齢は目安です。

水の触感や動きへの興味

たらいに浅く水を張って浮かべておけば、そのまわりにすわり込んで、飽きずに遊びます。おもちゃや道具は種類を絞ったほうが、遊びやすいでしょう。

0歳は、まだ両手で同じ動作をする時期で、片手でボトルを押さえてもう片方の手で注ぐなどの動作ができません。ぬれたスポンジを両手で押して絞ったり、ふわふわ逃げる魚やボールをつかもうとする姿が見られます。自分のまわりに水をこぼしてぬらし、それを楽しみながら、水の触感と動き方などへの興味を持ちます。容器に水を入れたり、こぼしたり、音や触感を楽しみながら、延々と水の移し替えをする様子が見られるでしょう。蛇口からポタリと落ちる滴を待って、延々と飽きずにコップで受けたりするのも、この時期の子どもたちです。

「コップから水がじゃ~って出てきたよ…」
水をこぼしたり、感触を楽しむ遊びは、1 歳児も大好き!

1歳の遊び

積極的に道具を使ってみる

より積極的に道具を使う姿が見られたり、「今度は赤いのを取ろう」など、ある程度目的をもって遊ぶようになります。

水をこぼしたところの地面の色が変わったり、乾いた土が泥になることに気づき、何度もくり返し、どろをこねたりする様子も見られます。

ざるで水はすくえない。おたまは傾けるとこぼれる。注ぎ口のあるものは、水を注ぎやすい。一気に水が出るものと、ちょろちょろ出るものがある。このように、知らずのうちに道具の特性を知るようになりますが、それを行動に結びつけることは、まだしないようです。

「いろいろなもの、使ってみたい!」

2歳の遊び

遊び方のバリエーションが増える

金魚すくいそのものを、熱心に楽しむ様子が見られます。全部すくって「もうない」とわかると、またたらいにざっと戻して、最初からやり直しします。

すくったものを魚・ボール・あひる……というふうに分けて、「魚屋さん」「ボール屋さん」などと、並べたりする姿も見られます。他人と数を比べるような姿は、この時期にはまだ見られないでしょう。すくったものでままごとのような遊びが始まったりします。

道具使いが上手になってきて、スポイトも、手のひらでぎゅっと握る程度ですが、扱うことができます。スポイトの先を水につけると水が上がってきて、水から出すとぽたりとたれることに気づくと、何度もくり返してじっと観察したりします。

ほかの子の道具使いを観察する様子も見られますが、それによって自分の道具使いを工夫するような姿は、まだあまり見られません。

「ざるは魚を運ぶのにぴったり」
「これ、1滴ずつ落ちるよ」
「こんなふうに縦にするとこぼれない」

ジュース屋さんごっこに最適 卵パックの色水遊び

子どもたちの大好きな色水遊びのアイデアです。卵パックに少量ずつ、濃いめに食紅各色を溶いた「色水のもと」を入れておきます。パックは2枚重ねると安定します。スポイトやスプーンで色を取って水に加えて色水にしたり、混色して色の変化を楽しみましょう。

ひとりひとつずつあると、自分専用のパレットとしてじっくり遊べます。混色してあっという間に黒っぽくなりますが、卵パックなら惜しげもなく捨てられるのが、よいところです。

3原色を濃いめに溶いておき、空いた場所にスプーンやコップなどで移して新しい色を作ってみる。
きれいな紫色は、ピンクの食紅から作る。乳酸飲料の容器が、小さな手に握りやすく、便利に使える。

色水は水よりもよく「見える」ので、道具や水を扱う操作を楽しむのに向いています。赤は「イチゴジュース」、オレンジができたら「オレンジジュース」など、見立てがしやすく、自然とごっこ遊びに発展していくでしょう。

目的別に色を作るのは 3歳以降ですが、移し替えたりして起こる色や水の変化そのものを体験するのは、1歳からでも楽しめます。

0・1・2歳児の水遊び、ここに注意しよう!

0歳児の水遊びの注意

  • 頭が重いので、たらいをのぞきこもうとして頭から落ちる場合があります。たらいの水はごく浅くしておき、常に目を離さないようにしましょう。
  • すのこの上にお風呂マットなどを敷いておき、その上で遊ぶようにすると、水をこぼしても汚れなくてすみます。

全年齢を通じての注意

  • 肌の露出を避け、上着を着て遊びましょう。半日陰を選んで遊びます。
  • 水遊びでは、つい保育者が錯覚して水分補給を忘れがちです。水遊びができるような暑い日は水分補給が必須。水遊び中でも、熱中症は起こります。
  • 遊びの水を飲むこともあるので、水道水や、着色には食紅を使うこと、目を離さないこと。
  • ぬれて体が冷えると「おもらし」が増えます。服がぬれていたりするとそれを見逃しやすいので、注意します。
  • ぬれた足で保育室を走ると転倒しやすくなります。水遊び場よりも床のほうが滑りやすく、一斉に終わるときよりも、途中でトイレに行く場面などに要注意です。

取材協力/社会福祉法人造恵会 めぐみ第二保育園( 東京・府中市)
文/清水洋美
撮影/藤田修平

『新 幼児と保育』増刊『0・1・2歳児の保育』2021夏より

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