野菜の苗を育てよう【プランターで手軽に栽培 育てて食べよう! #1】
野菜を育てることは、食べる楽しみはもちろん”芽が出る“”花が咲く“”実がなる“など、植物の不思議に触れ、植物を身近に感じることができます。みんなで協力して育てることで、コミュニケーション力も育ち、子どもたちと”食“を考える、いい機会になります。だれでも手軽に挑戦できる、野菜のプランター栽培を紹介する、新連載のスタートです。
教えてくれる人
中村陽一 先生
秋草学園短期大学教授。専門は植物資源学、環境教育。保育所における飼育・栽培活動や自然験活動を実践、研究している。共書に『コンパス保育内容 環境』(建帛社)。
目次
野菜を育てることは、野菜好きを育てる近道です
一般的に野菜が嫌いになるのは、小学生の高学年までといわれています。野菜好きにするためには、小さなころから野菜と親しむことが重要です。
「子どもは自ら野菜を育てることによって興味と意欲がわき、楽しさも膨らむ。野菜に親しむ時間が生まれることで、自然にたくさんの野菜を摂取することにもつながっていきます」
と、中村陽一先生。自分たちの手で野菜を育ててみると、スーパーなどで並んでいる野菜とは違うことがわかります。キュウリは曲がっているし、キャベツは虫食いだらけ。いろいろな発見をすることができます。また、当番を決めて水やりするなど、みんなで協力することで、コミュニケーション能力も育っていきます。
「栽培計画では、子どもにとって日ごろから食べていてなじみ深く、育てやすい野菜や、大きさや形、育ち方がおもしろいものを選ぶといいでしょう。3歳児ごろから育てやすいものを選んで少しずつ栽培を始め、5歳児に至るまでの活動の連続性を考えて、年間計画に組み入れるようにしたいですね」
植物の栽培は、慣れないうちは病気で枯れたり、害虫が発生するなど、うまくいかないこともあります。失敗を恐れず、子どもたちと相談しながら、くり返し取り組むことが大切です。
その1 プランター栽培に必要なもの
野菜作りに欠かせない道具類は、子ども用にミニサイズのものがあると、小さな手にもなじみ、作業を楽しく進められます。野菜を健やかに育てるためには土が重要ですが、初めての場合は、数種類の園芸用土がブレンドされた市販の野菜専用培養土がおすすめ。肥料も腐葉土や数種類の有機肥料が混ざったものを使うと、手軽にできます。
その2 苗を準備
トマトやナスなどの夏野菜は、プランター栽培でも人気の野菜。ただ、タネから苗を育てると温度管理も難しいもの。春になると園芸店やホームセンターで苗を購入できるので、まずは苗から育ててみましょう。茎が太く、葉と葉の間隔が狭い、ガッシリした苗を選びましょう。
その3 みんなで植えてみよう
苗の準備
苗の根元を指と指の間に挟む。ポットの側面の底に近い部分をつまむと、苗とポットが外れやすい。ポットをそっと逆さにし、土を崩さないように取り出す。苗の根が下のほうでグルグルに回っていたら、その部分だけ取り除く。
植えつける
鉢に防虫ネット、鹿沼土 (2cmほど) の順に入れたら、その上に培養土、培養土と有機肥料を混ぜ合わせたもの、さらに培養土の順に土を入れる。苗のポットと同じ高さになるまで穴を掘り、そこに苗を置いたら、土で隙間を埋める。苗と苗の間隔は30cm ほど離す。
日々の管理
晴天が続き、土の表面が乾燥していたら水やりする。水は一度にたっぷりと。鉢底から流れ出るぐらいまで与える。水のやりすぎは根腐れの原因になるので、注意が必要。トマトはわき芽が出てきたら、小さなうちに手で摘み取る。成長ととともに支柱を立ててツルを誘引するが、詳しい説明は次回に。
column 野菜の起源
私たちの食べている野菜は、もともと野生の植物です。遠い昔にだれかがそれを見つけ出し、栽培を始め、長い年月をかけてよりよいものを選び出すうちに今の野菜になりました。
写真はナスの原種です。色は緑、大きさはウズラの卵ぐらいです。故郷はインドで、日本には6世紀までに中国を経て伝わりました。江戸時代の『農業全書』という本には、“ナスビには紫、白、緑の3色がある。また丸いものや長いものがある。このうち丸くて紫のものを作るのがよい”と書かれています。こうして、主に紫色のナスが作られるようになりましたが、地域によっては緑や白の品種が今も残されています。
『新 幼児と保育』2019年4/5月号より
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