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ジカキムシ(字書き虫)って知ってる??~五感で楽しむ春〈5月〉【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#18】

連載
ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!

プロ・ナチュラリスト

佐々木洋

プロ・ナチュラリストのささき隊長と一緒に、「園庭いきものマップ」を作りながら、季節の自然を観察しましょう。見つけた生き物や草花を記録していくと、園庭(公園)はやがて“生きた図鑑”に。そして、その発見は、触れてみる、比べてみる、まねしてみるなど、さまざまな自然遊びへと広がっていきます。

今回は、葉っぱに描かれた不思議なくねくね模様、「ジカキムシ」に注目します。

ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)

自然遊び:触る! 葉っぱに絵を描く虫を発見! 

ささき隊長 こんにちは、ささき隊長です!

5月の園庭で、ちょっとした宝探しをしてみましょう。

園庭に生えている植物の葉っぱをよーく観察していると、白いくねくね模様が描かれているものが見つかります。

細い線が、だんだん太くなって……。

まるで、だれかが一筆書きで絵を描いたみたいですよね。

この線を描いたのが「ジカキムシ」です。

「ジカキムシ」って、何者?|あだ名には理由がある

「ジカキムシ」は、正式な名前ではなくてあだ名です。

正式には「ハモグリバエ」や「ハモグリガ」の仲間の幼虫のこと。

でも「ジカキムシ(字書き虫)」って、なかなかうまいネーミングですよね。葉っぱに文字を書くように、模様を残すことから、このニックネームになりました。

実はあの葉っぱにできた模様は、虫が「通った道」なんです。

葉っぱの表の皮の下に潜り込んだ虫が、薄〜い層の中にトンネルを掘りながら、葉っぱを食べて、進んでいきます。

まず、触ってみよう|「デコボコしていない!」

くねくね模様のところを、指でそっと触ってみてください。

どうですか? デコボコしていない、でしょ?

上から削ったり、表面をなぞっているんじゃなくて、葉っぱの薄い層の中にちゃんとトンネルを掘っているから、触っても凹凸(おうとつ)がないんです。

「あ、中を進んでいるんだ!」

葉っぱを触ってみてのこの実感が、ジカキムシ観察の最初の一歩になるでしょう。

線が細いところから太くなる|これが成長の記録

もう少しよく見てみると、模様に細いところと太いところがありますよね。

これ、ジカキムシの成長の記録なんですよ。

最初は小さな卵が葉っぱの中に産みつけられて、そこからかえった幼虫が、食べながら進んでいく。

体が大きくなるにつれて、トンネルも太くなっていく——。

つまり、細い線が「始まり」、太い線が「今」。

1匹の虫の一生が、1枚の葉っぱに描かれているというわけ。

「成長の記録みたいな感じですね」——ある園の先生がそう言ったとき、

僕も思わず、大きくうなずいてしまいました。

懐中電灯で照らしてみよう|葉っぱが透けると、さらにすごい

ジカキムシの成長の記録を見つけたら、ぜひ、やってほしいのが、これ。↓

ジカキムシの模様がある葉っぱを1枚取って、

懐中電灯を当てながら白い壁に映してみる。

トンネルの道がくっきり見えて、そこに小さな黒っぽい点——フンの跡——も見えてきます。

よく見ると、まだ中にいるのか、もう出ていったのかもわかりますよ。

葉っぱのどこから入って、どこから出たか。

その行動パターンが、全部1枚の葉っぱに残っているんです。

ちっちゃな生き物の、ちっちゃな一生。

なんか、神秘的でしょ。

自然遊び:見る、探す。ジカキムシ遊びの決定版!

ジカキムシというだけに、その模様は、ひらがなや数字に見えることもあります。

なので、ジカキムシのいる葉っぱを見つけたら、「自分の名前の文字を探してみる」のも楽しいですね。

「あった!『の』みたいな形!」「これ『た』に見える!」

盛り上がること間違いなし。

ちなみに僕は、「ささきひろし」と読める模様を探すのが密かな楽しみです。なかなか揃いませんけどね(笑)。

どこで探す?|聖地はオオアラセイトウ

ジカキムシは、柔らかい葉っぱが好みです。

特によく見つかるのが、「オオアラセイトウ」。

紫色の小さな花が咲く、菜の花の仲間です。「ハナダイコン」や「ショカッサイ」という名前でも呼ばれていて、園庭や道端にひょっこり生えてくることが多い、ポピュラーな植物ですよ。

オオアラセイトウは、ジカキムシの聖地。

5月いっぱいが旬なので、この時期にぜひ園庭に出て、探してみてください。

         次回#19は、春になると真っ先に園庭にやってくる⁉

みんな大好き「テントウムシ」をクローズアップします。

文・写真/神﨑典子 

 

佐々木 洋ささき隊長)

ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。『どうぶつのないしょ話』『生きものハイウェイ』(ともに雷鳥社)、『新 都市動物たちの事件簿』(時事通信社)など著書多数。

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