子どもも大人も、心が軽くなるような絵本【児玉ひろ美の注目本棚#3】

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児玉ひろ美

最近出版された絵本を中心に、子どもと一緒に読んでほしい注目作品をピックアップ。今回は、子どもも大人も、ふっと心が軽くなるような絵本から。

児玉ひろ美さん

JPIC読書アドバイザー、東京・台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。大学にて「児童文化」の講師を担当するなど、幅広く活躍。著書に『0~5歳子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。

声に出して読むことで、肩の力が抜けてくる

保育者は悩みやストレスが多い職業でもありますね。検索エンジンで「保育 ストレス」をキーワードに検索してみると、瞬時に133,000,000件ものヒットがありました。子どもが好きで仕事にやりがいを感じる一方で、悩みやストレスを抱えやすい職業であることの表れなのかもしれません。そんなあなたに、声に出して子どもたちに読み聞かせることで、自然と肩の力が抜けて、心が軽くなるような2冊をご紹介しましょう。

『ふっと…』

文/内田麟太郎 絵/松成真理子
BL出版

「ふっと…」頭に思い描くことは何ですか? ときにそれは、自分でも思いもよらぬことであったりして、潜在的な自分の気持ちに驚かされたりもしますね。「ふっと…」で始まるこのお話、象は雲にぶらさがり、ビルは富士山の頂上で横になるなど、心地よく意表を突く展開に気持ちが解放されます。たった2分足らずの作品ですが、ページをめくるごとに緩急のある「まさか!」が詰まっています。子どもたちと絵本の世界を楽しみながら、がんばりすぎたり、緊張して硬くなったりしているあなた自身の心も、やわらかくほぐされますように。

読み聞かせ〈基本情報とポイント〉

読み聞かせるなら…

  • 対象:3~5歳
  • 時間☆:2分
  • ポイント:本の中心をしっかり開き、見開きいっぱいに広がるおおらかな絵を、子どもたちとたっぷり堪能しましょう。

☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。

「まかせろ まかせろ おれに まかせろ」

でも、いくらがんばっても、あがいても、自分ひとりの力ではどうにもならないときってありますね。そんなときは無理をせず、いっそのこと、マルっと何かに頼ってしまいましょう。意外とうまくいくかもしれませんよ。

『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』

作・絵/高野文子
福音館書店

「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん あさまで よろしくおねがいします あれこれ いろいろ たのみます」

朝までおしっこが出ませんように、手足が冷たくなりませんように、怖い夢を見ませんようにと、男の子は丁寧にお願いします。すると、お布団たちは「まかせろ まかせろ おれに まかせろ」と、全力で男の子を守ってくれるのです。ああ、なんて心地よいのでしょう! 子どもたちもこのシーンは大好きで「まかせろ まかせろ」と大合唱。なかには「まろかせ まろかせ」と一生懸命言う子もいて…。笑ったり、ジンとしたりするかも!

読み聞かせ〈基本情報とポイント〉

読み聞かせるなら…

  • 対象:2~4歳
  • 時間☆:2分
  • ポイント:会話のようにリズミカルに、楽しく読んでください。

☆時間は表紙から裏表紙を経て、表紙まで読むのにかかる時間。

イラスト/小泉直子

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