いろいろな色で描こう!「わー、すてきだね」【絵画・造形 ゆたかな表現 #5】
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- 絵画・造形 ゆたかな表現
子どもたちは、クレヨン・絵の具・カラーペンなどの画材を使います。いろいろな色を使うことを条件に設定することで表現の幅が広がることもあります。今回はいろいろな色を使った表現方法を、その作品とともに紹介します。
監修
田代耕司 先生
造形作家
岡山県で中学校の美術教諭を経験。上京後、出版社に勤務し、幼児・保育者向け出版物を編集。教材・玩具類の企画開発を行うかたわら、紙を素材にした造形作品を展覧会・各種 出版物などで発表。道灌山保育福祉専門学校講師を務めたのち、現在は保育者・親子を対象に全国で造形実技指導を行っている。著書に『ふれあい造形遊び』(小学館)など。
目次
「色」は「言葉」
子どもたちの使う描画材料は、基本色を中心に十数色セットされています。ところが、その使われ方を見てみると、とても偏りがあることに気づきます。子どもたちは、どうしても使い慣れた色に手がいき、使う色が限られる傾向があります。
「言葉」の数が増えると表現の幅が広がるように、いろいろな色を使うチャンスをつくり、使う「色」の数が増えると、子どもたちの描画表現の可能性がどんどん広がります。
いろいろな色を使って描こう
「いろいろな色を使って描く」ことを条件に、カラーペンやクレヨンで絵を描いてみましょう。いつも描いている絵とは違う雰囲気の作品に仕上がり、色に対する感覚を刺激することができます。
用意するもの
- カラーペン
- クレヨン
- 画用紙 など
方法
線を描くたびに使う色をかえて、絵を描きます。
※チョウチョウ・魚・花など子どもたちが取り組みやすい形を描くことから始めるといいでしょう。
描いた線をにじませてみよう
水溶性インクの特徴を生かした表現にチャレンジしてみましょう。描いた線の色が溶け出してにじみ、どんどん変わっていく様子に子どもたちは大喜びです。こういった製作は、何度かくり返すうちに、にじみの効果を考えながら計画的に表現することができるようになります。
用意するもの
- 水性カラーペン
- 水
- 筆
- 水
- 画用紙
※紙の種類によってにじみ具合が違うので、作業前にテストをしましょう。
方法
1 いろいろな色の水性カラーペンを使い、線で絵を描きます。
2 できあがった絵を、水で湿らせた筆でなぞります。
※筆に含ませる水が多くなりすぎないように注意し、水が多すぎた場合は布やティッシュペーパーで吸い取ります。できあがった絵が乾いてから、加筆してもいいでしょう。
いろいろな色で塗ろう
クレヨンや油性ペンの「水をはじく性質」を利用して、カラフルな絵を描いてみましょう。最初にこれらの画材で線描きをして、絵の具(水性)や水性ペンで色を塗ることで、色塗りをスムーズに行うことができます。これは「はじき絵」の技法です。
用意するもの
- 油性ペン
- クレヨン
+
- 水性カラーペン
- 絵の具(水彩)
遊び方
1 クレヨンや油性ペンを使って、線で絵を描きます。
2 できあがった絵に水性カラーペンや絵の具で色を塗ります。
油性ペン + 水性カラーペン
クレヨン + 絵の具
子どもたちの作品から
できあがった作品を見ると、あらためて子どもたちの発想がクリエーティブで新鮮な色彩感覚を持っていることに驚きます。このような「デザイン的・装飾的」な色彩表現は、幼児期の表現に見られる特徴のひとつであると考えられています。こういった表現活動のチャンスをできるだけ提供していくことが大切です。
今回使用した作品例は、幼児の絵画指導にご尽力された太田昭雄先生の資料を使わせていただきました。
文/田辺泰彦(アスク・ミュージック)
写真/藤田修平
モデル/千葉珠与
イラスト/marupon
写真協力/町田こひつじ幼稚園(東京・町田市)
『新 幼児と保育』2020年12/1月号より
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