0歳児の発達に合わせたふれあい運動遊び

特集
ドキドキわくわく 運動遊び

日本女子体育大学体育学部子ども運動学科教授

森田陽子

0歳児の日々の保育に、運動遊びを取り入れましょう。目と目を合わせ、大人とふれあう遊びを通して、さまざまな身体機能が身につきます。

※活動前後の手洗いなど地域のガイドラインに沿った感染症対策を行ったうえで実施してください。

プラン・お話

森田陽子 先生
(日本女子体育大学教授)

協力

神渡 栞 ちゃん(6か月)
東海林 清華 ちゃん(5か月)

6か月を過ぎると動きが活発に

寝てばかり、泣いてばかりだった赤ちゃんも3~6か月ごろには首がすわり、寝返りができるようになります。すると活発な動きが増えていき、6か月を過ぎるころにはずりばいからよつばい、高ばい、さらには伝い歩きも身につけて、行動範囲が広がります。子どもの発達しつつある身体機能を十分に使うことで、発達はますます促されていきます。

身体機能発達の目安

※子どもの発達には個人差があるので、あくまでも目安として参考にしてください。

0~3か月

母体内から外界への環境に適応し、発育・発達の基礎がつくられる。

  • 両手を握る
  • 首がすわりはじめる など

3~6か月

首がすわり、寝返りができるようになるなど、活発な成長が続く。

  • 目の前のものをつかもうとする
  • 腹ばいの姿勢で、ひじで体を支える
  • おもちゃを握る
  • 腕、手首、足を自分の意志で動かす など

6~12か月

行動の自由が広がり、大人のまねもするようになる。

  • ひとりですわる
  • 両手にものを持って打ちつけたり、たたき合わせたりする
  • 道具の操作ができるようになる
  • 「ずりばい」から「よつばい」、さらに「高ばい」で移動する など

導入〜体ほぐしのマッサージ

0~3か月】【3~6か月】【6~12か月】

まだ会話はできなくても、大人の言うことを子どもなりに理解しています。大人は機を逃さず、表情豊かに「じょうず!」「できたね!」とほめましょう。楽しいときには喃語(なんご)を発することもあります。

この時期の子どもにとっては、泣くこともコミュニケーションのひとつ。

導入〜体幹を使う

3~6か月】【6~12か月】

大人の体の上に子どもを寝かせるとき、マットの上と違って子どもの体勢は安定しません。姿勢を保つために、子どもは自然に足を動かしたり、腹筋や背筋を使ったりすることになるので、体幹が鍛えられます。

子どもは足を突っ張らせてバランスをとる。

おもちゃを使って遊ぶ

3~6か月】【6~12か月】

6~7か月前後で、ガラガラなどのおもちゃを持てるようになります。周囲の大人が喜ぶのを見て、子どもは「うれしい!」と全身で喜びを表現します。右手で握ったら、左手でも握るようにしてみてください。左右バランスよく動かすことを意識しましょう。

格子状のボールは、指を引っかけて持ちやすい。
たくさん子どもに話しかけ、子どもを見ることが大切。

全身を使って遊ぶ

大人の補助で上体を起こしたり、高い高いをしてもらったりしていつもと違う景色を見ることは、子どもにとっての大きな喜びです。子どもの興味や身体発達に合った遊びに、子どもは夢中になります。

シーソー遊び

3~6か月】【6~12か月】

高い高~い

3~6か月】

原始反射※(自動歩行反射)が残っている子どもは、歩くように足を突っ張らせる。
※生まれつき備わっていて教わらなくてもできる動き。6か月くらいまでに消失する。

もうすぐはいはい

3~6か月】

手でさわったり、口に入れたりして感触を確かめようとしている。

飛行機ブーン

3~6か月】

足の裏で拍手

0~3か月】【3~6か月】【6~12か月】

0歳は体が一番柔らかいとき。足の裏で自分の頬に触れることができます。中には足指しゃぶりをする子もいます。この時期ならではの遊び方です。成長するにつれて体は硬くなっていきますが、日々、運動遊びをしている子どもは柔軟性が高いです。

ゆらゆらだっこ

0~3か月】【3~6か月】【6~12か月】

最後はゆらゆらだっこでリラックス。揺らすときには一定の速度で。子どもが心地よいと感じるのは、子守歌のリズムです。そのときどきで縦だっこや横だっこ、外向きや内向きなどバリエーションを楽しみましょう。

首がすわるまでは、だっこは横だっこで。
首がすわると、縦だっこもできるようになる。
たまには外向きのゆらゆらだっこで、子どもにいつもと違う景色を見せたい。

0歳児の発達段階を知り
ほめて伸ばそう

赤ちゃんの体は全身が一様に成長するのではなく、上半身が先に、下半身が遅れて発育していきます。身体機能の発達も同じように、体の上から下、中心から外側へと発達していくので、まず首の力や腹筋、背筋がある程度備わってから、手の力がつき、足の力が育っていって、歩けるようになるまでに1年程度かかります。月齢が低いうちは上半身を使う遊びを楽しみ、だんだんと足も使う遊びを楽しむようになります。

0歳児にとっては生活そのものが遊びであり、運動です。それぞれの発達段階で、日々の生活の中に夢中になれる遊びを見つけ、それを大人が認めてほめることで、子どもはますます活発に動くようになって、身体機能の発達が促されていきます。

森田陽子 先生

日本女子体育大学体育学部子ども運動学科教授。日本幼児体育学会、国際幼児体育学会理事。NHK E テレ『いないいないばあっ!』の体操「ピカピカブ~!」の監修を務める。


文/中根里香
撮影/藤田修平
構成/古屋雅敏、西沢悠希
イラスト/林けいか
協力/二階堂幼稚園(千葉・我孫子市)

『新 幼児と保育』増刊『0・1・2歳児の保育』2023春より

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