新聞紙でヨーヨー&大玉転がし【「多様な動き」を引き出す運動遊び 】

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日本女子体育大学体育学部子ども運動学科教授

森田陽子
新聞で大玉転がしする園児

幼児期に必要な多様な動きの獲得や体力・運動能力の基礎づくりのために1日60分以上体を動かすことが求められています(※)。毎日の保育に取り入れたい運動遊びを日本女子体育大学の森田先生に教えてもらいます。新聞紙を使って指先から腹筋、背筋まで全身を存分に動かしましょう!

(※)平成24年に文部科学省が策定・周知した「幼児期運動指針」において示された目安。この指針は、3歳~6歳の小学校就業前の子どもたちに必要な多様な動きの獲得や体力・運動能力の基礎を培うとともに、さまざまな活動への意欲や社会性、創造性などを育むことを目指すためのものです。  

プラン・お話

森田陽子 先生
(日本女子体育大学准教授)

協力

二階堂幼稚園(千葉・我孫子市)

二階堂幼稚園の外観
日本女子体育大学を擁する学校法人二階堂学園が昭和51 年に設立。教育目標は「元気な身体作りと豊かな心を育てる保育」。3 歳児~5 歳児、定員各90名。(写真提供/二階堂幼稚園)

なりきり遊び

3歳児 4歳児 5歳児

まずは準備運動を兼ねて、身体表現にチャレンジ。子どもたちに「新聞紙」になりきってもらいました。目で見て、耳で聞いて、考えたことを自分の体で表現するところから運動は始まります。

保育者が新聞紙を持ち、ひらひらと動かす
子どもたちに新聞紙になりきってもらいます

おにぎりボンボンヨーヨー

3歳児 4歳児 5歳児

みんなでヨーヨー作り

半分に破った新聞紙を小さく丸めて「おにぎり」に見立て、もう1枚は「のり」にします。「破る」動きは指先や手首だけでなく、腕全体を使う運動です。おにぎりを袋に入れたら、袋の口をくるくると、指を回転させてねじります。

みんなでヨーヨー作り1
みんなでヨーヨーづくり2

輪ゴムの結び方

輪ゴムの結び方

下向きヨーヨー突き

輪ゴムを中指の根本にかける
下向きに突いて遊ぶ
突いた回数を数えても楽しい

上向きヨーヨー突き

上向きヨーヨー突き
少し難しい動きなので、できなくてもOK! 挑戦する姿勢を大切にする。

ちぎって遊ぼう!

3歳児 4歳児 5歳児

新聞紙をひたすら小さくちぎる遊びです。すべてちぎったら、上に向かって投げ、舞い落ちる紙片をすくって、また投げる。これをくり返すと結構な運動量になります。

ひと通り遊んだら、みんなでお片づけ。時間はかかっても、自分たちが使ったものは自分たちで片づけましょう。どうすれば早く集められるか、子どもたちなりに工夫していました。

新聞紙のほかに、90リットルのゴミ袋、養生テープを用意。
新聞紙のほかに、90リットルのゴミ袋、養生テープを用意。
新聞紙をダイナミックに破る。ちぎることをくり返し、細かくしていく
ちぎった新聞紙を上に投げて遊ぶ。友達にかけたり、上を泳いでみたり、自由な発想で遊ぶ
あらかじめ保育者がちぎっておいた新聞紙を追加すると、量が増えて遊びがより盛り上がる。

遊んだ新聞紙の片づけ

はいながら全身を使って集める
はいながら全身を使って集める。
大きく両手を広げてすくい、両手いっぱいに抱える。
大きく両手を広げてすくい、両手いっぱいに抱える。
ばらまいた新聞紙を集めてゴミ袋に入れる

大玉転がしの準備(大玉作り)

集め終わった新聞紙をグループの数に合わせて保育者が分け、ゴミ袋に詰めて養生テープで閉じる。あまり詰め込みすぎず、空気を含んだ状態で閉じるとボール状になりやすい。

集め終わった新聞紙をグループの数に合わせて保育者が分け、ゴミ袋に詰めて養生テープで閉じる。

大玉転がし

3歳児 4歳児 5歳児

新聞紙をちぎって遊んだ後は、新聞紙を詰めた大玉を転がしたり、押したりして、リレーを楽しみましょう。転がす動作、押す動作で腹筋や背筋といった体幹が鍛えられます。この動きは、とび箱やマット運動などにもつながります。

新聞紙を詰めた大玉を転がしてリレーを楽しみましょう
グループに分かれてリレーをする
8人ずつ3グループに分かれた。場所の広さや子どもの人数、年齢に応じてグループを編成する。
大玉を転がすのが難しければ、押して動かすなど、子ども自身が考えて工夫する
まっすぐ前を見て転がす(押す)と動かしやすい
上手に押すことができた子がお手本を見せている。
上手に押すことができた子がお手本を見せている。本人の自信となり、子ども同士認め合いや教え合いにもつながる。

身近なものから遊びを編み出す

1枚の新聞紙から、いろいろなものを作って遊びました。身近にあるもので自由に遊びを編み出すのが本来の子どもの姿です。運動遊びもしかり。高価な遊具がなくても、特別な場所に行かなくても、子どもは遊べるのです。

幼児期は、何かに特化した動きをするより、走る、跳ぶ、投げるといった基礎的で多様な動きを、いかに楽しく経験できるかが大切。たとえ上手にできなくても、楽しければ次につながります。最後までがんばったとき、できなかったことができるようになったときには、その瞬間を見逃さず、ほめてください。保育者が一人ひとりの子どものためにどこまで真剣になれるかです。保育者も子どもと一緒に成長したいですね。

森田陽子 先生

日本女子体育大学体育学部スポーツ健康学科幼児発達学専攻准教授。日本幼児体育学会理事。研究のかたわら、大学付属幼稚園や東京都内の公立幼稚園、保育園の幼児体育指導も行う。


文/中根里香
撮影/丸橋ユキ
構成/三木瑞希、西沢悠希、古屋雅敏
イラスト/林けいか

『新 幼児と保育』2022年2/3月号より

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