カナブンとコガネムシはどう違う⁉~五感で楽しむ10月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#43】
プロ・ナチュラリストのささき隊長と一緒に、「園庭いきものマップ」を作りながら、季節の自然を観察しましょう。見つけた生き物や草花を記録していくと、園庭(公園)はやがて“生きた図鑑”に。そして、その発見は、触れてみる、比べてみる、まねしてみるなど、さまざまな自然遊びへと広がっていきます。
今回は、秋の果実に集まる「カナブン」に注目します。カナブンとコガネムシ、同じ虫だと思っていませんか? じつはこのふたつ、そばとうどんくらい違うんです!
ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)

目次
ふわふわ飛ぶトンボのひみつ
ささき隊長 こんにちは、ささき隊長です!
カナブンとコガネムシ。
このふたつ、同じ虫のことだと思っている方、けっこう多いんじゃないでしょうか。
じつは、まったく別もの。“そばとうどん”くらい違う──というのが、隊長の説明です(笑)。
そばとうどんは、どちらも細長い麺類で、見た目はちょっと似ている。でも、そもそも材料が違います。
カナブンとコガネムシも、まさにそんな関係。
ちなみに、カナブンにもコガネムシにも、それぞれいろいろな種類がいます。
今回お話しするのは、「カナブン」という名前のカナブン。あだ名や総称ではなく、これがちゃんとした正式名称です。
名前の由来は、はっきりしたことはわかりません。お金のような色をしてブンブン飛ぶから──と隊長は思っていますが、みなさんはどう思いますか?
さて、このカナブンとコガネムシを見分けるポイントは、大きく3つあります。
見分けポイント① なで肩か、いかり肩か
まずは体型、体のフォルムです。
カナブンは、肩パッドが入ったような「いかり肩」。
どちらかというと長方形に近い形をしています。
一方のコガネムシは、どちらかというと「なで肩」。涙のような形をしています。
頭が小さくて、おしりのほうが大きい、というイメージですね。
並べて見ると、「あ、ぜんぜん違う」とわかるはずですよ。
見分けポイント② 飛び方——ここが最大の違い
次は、主な活動時間です。
100パーセントとは言えないのですが、カナブンは主に、昼に活動する虫です。
反対に、コガネムシの多くは夜に活動します。
夏の夜、家の中に飛び込んできて、電気のまわりをブンブン回っている、あの虫。
「うちにはよくカナブンが入ってくるのよ」とおっしゃる方がいますが──それは、かなりの確率でコガネムシなんです。
カナブンは昼の虫なので、まず家には入ってきません。
夜、電気に向かって飛んでくるのはコガネムシ。ぜひ覚えておいてください。


見分けポイント③ 飛び方——ここが最大の違い
そして3つ目。これが一番大きな違いです。
カナブンもコガネムシも、翅(はね)は4枚あります。硬い翅(前ばね)が2枚と、その下に薄い翅(後ろばね)が2枚。
カナブンは、硬い翅を開きません。閉じたまま、ほんの少し持ち上げて、その下から薄い翅だけを出して飛ぶんです。
だから飛んでいる姿が、ちょっとハチのように見えるんですよ。
コガネムシは、この硬い翅も薄い翅も、しっかり4枚とも開いて飛びます。
これは肉眼でも十分に見分けられます。「今のは4枚だったかな、2枚だったかな?」と目で追ってみてください。
ちなみに、飛ぶ力はカナブンのほうが強くて、スピードも速い。
なぜカナブンは、こんな飛び方をするのか?
昼間に活動する虫ですから、ハチに擬態しているんじゃないか──というのが、隊長の見立てです。
ハチが来たと思えば、みんな逃げていきますからね(笑)。
なお、色や大きさで判断するのは、かなり難しいでしょう。
緑っぽいもの、茶色いもの、黒いもの——どちらのグループにもいろいろな色がいて、大きさもよく似ています。
見分けるのは、あくまで「体型」「活動時間」「飛び方」の3つ。慣れてくれば、そんなに難しいことではありませんよ。
割れたイチジクは、カナブンの大宴会場
カナブン自体は、春から秋までいる虫です。
それなのに、どうして10月に紹介しているのか──?
それは、秋になると、果実にごっそり集まってくるからなんです。
コガネムシはだいたい葉っぱを食べているので、果物には集まりません。
でもカナブンは果実が大好き。特にイチジクや柿が好きです。
夏のカナブンは、樹液に集まるのですが、園庭に樹液の出る木はなかなかありませんので、園庭で待ち構えるなら、実りの秋が一番。
イチジクが熟して、10月ごろにパカッと割れると──そこにカナブンがごっそり集まります。
1匹だけ、ということはまずありません。イチジクが1個割れれば、4〜5匹はくっついていると思ってください。
多いときは、1本の木に15匹、30匹と集まって、それはもう大宴会のよう!
観察の前に、必ず大人が確認を
ひとつだけ、大事な注意があります。
割れた果実には、スズメバチの仲間が来ていることもあるので要注意。
子どもたちが近づく前に、必ず大人が先に「ハチが来ていないかどうか」を確認してから、近づくようにしてください。
安全を確かめたうえで、ぜひ、あの“大宴会”をのぞいてみてくださいね。
もしも、「あなたも一杯、どうカナ?」と聞かれたら、首を「ブンブン」横に振って、丁寧にお断りしましょう(笑)。
クイズ! ホントの本当? これ、知ってた?
クイズ
飛び方でグループ分けをすると、カブトムシは「カナブンのグループ」と「コガネムシのグループ」、どちらに入るでしょう?
① カナブンのグループ
② コガネムシのグループ
③ どちらにも入らない
正解は…
②のコガネムシのグループ!
「カブトムシって、なんとなくカナブンの仲間っぽい」──そう思いませんでしたか?
見分けるポイントは、やっぱり飛び方です。
カブトムシが飛び立つところを思い出してみてください。
背中の硬い翅が、パカッと開いて、その下から薄い翅が出てくる。しっかり4枚の翅で飛んでいますよね。
これはまさに、コガネムシの飛び方です。
ついでにもうひとつ。クワガタムシも、同じくコガネムシのグループなんです。
では、カナブンのグループには何がいるのか。
代表選手はハナムグリ。カナブンと同じように、硬い羽を閉じたまま持ち上げて、下から薄い羽だけを出して飛びます。
「大きくて立派だから、こっちの仲間だろう」──そんな見た目の印象は、あっさり裏切られてしまうわけですね。
園庭で甲虫を見つけたら、そっと飛び立つのを待ってみてください。
翅が4枚開いたか、2枚だけだったか。
それだけで、その虫がどちらのグループかわかってしまう。なんだか、ちょっと得意げな気分になれますよ(笑)。
次回は、子どもたちが大好きな「ネコジャラシ」に注目します。じつは、ネコジャラシ、本名は「イヌ」だったのです! って、どういうこと⁉
文/神﨑典子 写真/photoAC
佐々木 洋(ささき隊長)
ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。『どうぶつのないしょ話』『生きものハイウェイ』(ともに雷鳥社)、『新 都市動物たちの事件簿』(時事通信社)など著書多数。

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