オレンジ色の秋の宝もの・カラスウリで遊ぼう~五感で楽しむ9月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#39】
プロ・ナチュラリストのささき隊長と一緒に、「園庭いきものマップ」を作りながら、季節の自然を観察しましょう。見つけた生き物や草花を記録していくと、園庭(公園)はやがて“生きた図鑑”に。そして、その発見は、触れてみる、比べてみる、まねしてみるなど、さまざまな自然遊びへと広がっていきます。
秋になると、フェンスや生垣にオレンジ色の実がぶら下がります。カラスウリです。食べられないけれど、遊びのタネがぎっしり詰まった実なんですよ。
ささき隊長/佐々木 洋(プロ・ナチュラリスト)
目次
カラスウリのタネで遊ぼう!
ささき隊長 こんにちは、ささき隊長です!
秋の木の実の中で、ぼくが一番好きなもの。
じつは、カラスウリなんです。
栗より好きかもしれません(笑)。
フェンスや生垣にツルをからませて、鮮やかなオレンジ色の実をぶら下げています。
とにかく目立つので、お散歩コースでも見つけることができると思います。
おいしそうに見えますが、食べることはできません。
でも、それでいいんです。
窓辺にひとつ置いておくだけで、絵になります。秋の部屋飾りには、もってこい。
ただし、口に入れないよう、子どもたちには前もって伝えておいてくださいね。

開けるのは先生の役目。「パフッ」という音を聞き逃さないで
さて、カラスウリを手に入れたら、ぜひ開けてみてください。
けっこう力がいるので、ここは大人の出番です。
そして、開ける瞬間。
「パフッ」
空気が抜ける音がするんですよ。
これがなんとも気持ちのいい音がします。
「耳を澄ませて……」と、子どもたちに静かにするように伝え、この音をみんなで聞いてほしいんです。
「今、なんて聞こえた?」
そんなひと言から始まる観察も、いいものですよ。
開けると、中からタネが出てきます。
見た目は、からしをたっぷりまぶした納豆、といったところでしょうか(笑)。
ぬるぬるした部分をきれいに洗い流すと、タネの形がはっきり見えてきます。

カマキリの顔? 打ち出の小づち?
洗ったタネをよく見てください。
ぼくには、カマキリの顔に見えるんです。頭の形がそっくり。
ところが、ある園で子どもたちに見せたら、こう言われました。
「男の子のパンツに似てる!」
……確かに(笑)。
そういう発見が出てくるのが、見立て遊びのおもしろいところですよね。
そして、昔の人はこのタネを、大黒さまの打ち出の小づちに見立てました。
財布に入れておくとお金が貯まる、という縁起物なんですよ。
ぼくも何度か試していますが、今のところ成果は出ていません(苦笑)。
打ち出の小づちと言っても、子どもにはピンとこないかもしれませんね。
そんなときは、一寸法師の絵本を開いて「ほら、これだよ」と見せてあげてください。
物語と実物がつながる瞬間、子どもの顔つきが変わります。

おばあちゃんの、足が速くなるおまじない
もうひとつ、ぼくの思い出話を。
ぼくが子どものころ、運動会は秋に開催されることがほとんどでした。
秋の大運動会。
その前の日になると、祖母がどこからともなくカラスウリを持ってくるんです。
「明日、どの靴で駆けっこに出るの?」
これだよ、と見せると、その実を靴にこすりつけてくれる。
そうすると足が速くなる、というんですね。
大人になってから、各地の自然観察会でこの話をしてみました。
すると、80歳くらいの方々が口を揃えて「うちもやった」とおっしゃるんです。
でも、なぜそうすると足が速くなるのか。由来はまったくわかりません。
「昔からそう言うんだよ」で終わってしまう(笑)。
それだけ、昔の人にとってカラスウリは身近な存在だった、ということでしょうね。
秋は運動会のシーズンです。
前の日に、みんなの靴にちょっとこすりつけてあげる。
「足が速くなるおまじないだよ」
そんな時間があっても、いいかもしれませんね。
クイズ:ほんとの本当? カラスウリとカラスの関係は?
さて、みなさん、気になっていたでしょう。そこで問題。
「カラスウリ」の「カラス」。この名前の由来として有力なのは、次のうちどれでしょう?
① カラスが大好きな実だから
②「唐朱(からしゅ)」——中国から伝わった朱色の墨に、色が似ているから
③ カラスのくちばしのような形をしているから
正解は② 「唐朱」の色に似ているから!
「カラスが食べるからカラスウリ」——一番ありそうですよね。
でもぼくは、長年カラスウリを観察してきて、鳥のカラスがあの実を食べているところを、ほとんど見たことがないんです。ほかの鳥にもあまり食べられません。
たぶん、おいしくないんでしょうね(笑)。
そこで有力になるのが、②の説。
昔、中国から渡ってきた「朱墨(しゅずみ)」の、あの朱色。それによく似ているから「唐朱瓜」——というわけです。
確かに、あのオレンジがかった赤は、ただの赤ではありません。どこか深みのある、独特の色をしています。
ただし、これも諸説あるうちのひとつ。「絶対にこれ」とは言えません。
ちなみに、カラスウリよりずっと小さい「スズメウリ」という植物もあります。大きいほうがカラス、小さいほうがスズメ。
じつはこれ、植物の名前によくあるパターンなんですよ。カラスノエンドウとスズメノエンドウ、というのもあります。
次回#40は、9月の終わりから10月の初めに、山から帰ってくるアキアカネに注目。“避暑地”に出掛けていた赤トンボのお話です。
文/神﨑典子
佐々木 洋(ささき隊長)
ささき ひろし 1961年、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。(財)日本自然保護協会の自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、プロの自然案内人として自然解説活動を展開。子どもたちへの自然観察指導など、自然のおもしろさや大切さを案内している。『どうぶつのないしょ話』『生きものハイウェイ』(ともに雷鳥社)、『新 都市動物たちの事件簿』(時事通信社)など著書多数。

【関連記事】
ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!シリーズはこちら!
・オレンジ色の秋の宝もの・カラスウリで遊ぼう~五感で楽しむ9月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#39】
・都会っ子⁉ 山からアキアカネが帰ってくる!~五感で楽しむ9月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#40】
・世界一、音楽的なセミ⁉ ツクツクボウシの4楽章~五感で楽しむ9月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#38】
・五感で楽しむ春夏秋冬~9月の園庭いきものマップから【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#37】
・「鳴く虫たち」のコンサートへ!~五感で楽しむ8月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#36】
・夜の園庭の秘密を探しに行こう!〈後編〉 ~五感で楽しむ8月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#34】
・バッタやコオロギで小さな秋を発見!~五感で楽しむ8月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#35】
・夜の園庭・公園には秘密がいっぱい!〈前編〉 ~五感で楽しむ8月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#33】
・長距離を旅するトンボの話~五感で楽しむ8月【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#32】
・五感で楽しむ春夏秋冬~8月の園庭いきものマップから【ささき隊長と 身近な自然でとことん遊ぼう!#31】
>>もっと見る